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志々島の大クス 2023


FUJIFILM GFX50S II / FUJIFILM GF 32-64mm F4 R LM WR

年が明けて以降、再び動き出すため開戦の狼煙を上げようと考えておりましたが、目的地はここしか思い浮かびませんでした。
香川県三豊市の離島、志々島にそびえる「志々島の大クス」。

初めて訪れたのはもう3、4年前になるか。
一目見て完全に惚れこんでしまい、ここに来るのは既に10回目くらいになるかもしれません。
大クスだけじゃない。私は志々島の全てが大好きだ。


ただ今回ちょっと残念な出来事が。
とうとうクスの周囲にトラロープが張られ、近付いて直に触れることができなくなってしまいました。


実は前回昨年末に訪れたとき、こうなるかもしれないということは耳にしていたのです。
年始に樹木医に診てもらって診断結果次第ではクスに近付けなくなってしまうかも、と。
我々他所からの来訪者以上に島の方はクスに愛着がありますから、極力そうならないようにと以前から伝えてくれていたようです。
しかし今回の診断によると大枝が倒壊する可能性があるということなので、これはもう仕方がないのかなと。
怪我人など出そうものならトラロープどころではない。一層厳しい措置が施されるに違いありませんから。


あの頼もしく温かい幹に触れることができない。正直なところ、私にはまだ実感が湧きません。
こうなるとクスも我々人間と同じ一個体のイキモノでしかないのだという当たり前の事実を痛感します。
我々が緩やかに死へと向かっているのと同様、当然クスだって緩やかに死へと向かっているのです。

思えば私が初めて志々島にやってきたときはイノシシ除けの柵だってなかった。
もっと自然に近い状態でクスを眺めることができました。
今当たり前に眺めている目の前の景色が明日も同じ景色だとはかぎらない。
分かっていながらつい忘れてしまうそんな現実を、まざまざと見せつけられた気分です。


いつだって素晴らしい姿で迎えてくれる大クス。
そうだよな。私の膝や首がボロボロになっていくように、あなただって歳を取り続けてるんだよな。


少しでも多くの時間をこの大クスの下で過ごし、たくさんの写真を残しておこう。
改めてそう思いました。


それにしても本当に素晴らしいクスノキです。他に言葉が出てこないくらい。
「巨木の世界」の小山さんも、このクスを見たらこの後行く予定だった巨樹のことがどうでもよくなってしまうくらい凄かったと仰っていました。
※ちなみに写っている方は小山さんではありません。こちらの方は滋賀県から来られたそうです。まさかの隣県!


触れることができなくなったのは残念ですが、決して大クスの魅力が損なわれたわけではありません。
実際私なんか今すぐにでも再訪したいくらいですよ。日本巨樹界の宝だ。
いつまでもお元気で。そしてまた幹に触れられる日が戻ってきますように。

昨年志々島に連れて行った友人が今度は志々島に泊まってみたいと言っているので、ひょっとしたら近日中に志々島に泊まるかも。
大クスの下で眺める夕景、そして朝露に濡れる早朝の大クス…想像するだけでたまらないです。

コメント:4

23-04-10 (Mon) 8:26

巨樹からの落枝は実際にあり得ることですし、怖いですね。
自分もぜひ近いうちに訪ねたい大クスですが、これだけのインパクト、同じように求めて旅先に選ばれる方も急速に増えてるはず。
ここらへんである程度距離をとって土を踏み固めないようにしておくのが良いだろうなと、残念半分、ほっとしたのも半分です。
木道を、とも思いますが、この大クスの野趣を損なうし、テーマパーク化に拍車をかけそう。

写真撮りとして考えても、これだけの巨大クス、接近戦挑んでもお手上げになるだけだろうなと……笑
そう、その点で自治体等の方々にお願いしたいのは、保護に力を入れるあまり変なトコに看板とか立てないでくれよ! ですね。
看板カブリ被害、全国的に深刻です……。

to-fu 23-04-10 (Mon) 11:21

> 狛さん
そこまでの太さでもない枝ですら目の前に落ちてくるとドスッ!と響きますから、大枝なんか即死ものでしょうね…
志々島の大クスに限らずですが、この数年の間だけでも本当に多くの巨樹が倒壊、枯死してしまいました。
毎年のように襲い来る異常気象…もう地球規模で環境がおかしくなってますよね。

巨樹の保護に関しては頭が下がる一方で、ちょっとこれは過保護では?と思うものが増えてきた印象があります。
樹木にとっては最善でも、保護が行き過ぎると我々人間との間に距離ができてしまって結果見向きもされなくなる。
そんな寂しげな巨樹を何本も見てきました。特にクスなんか、地元の子供が木登りして遊んでるくらいがちょうどいいような
気がします。そんな思い出が郷土愛や巨樹への愛着につながって、将来彼らを救うことにもつながるのではないかなあ。

123 23-04-10 (Mon) 16:20

志々島の大クスは他に無い特徴のある巨樹で現地で見たらさぞ見事なのでしょうね
地方では全体的に触れ合いやすくなっている場が多いですが、木その物が弱ったり
物を捨てたり木に損傷を加えられたりと保護の理由で囲われるようになったりその時で状況は
どうしても変わってしまいますからね

自分が知ってる天然記念物指定の木でも壊死している部分ではありますがどこぞのカップルの相合傘の
掘り込み等複数されてるのも知っているので何とも言えない気分になります
今後巨樹への愛着と同じ生物としての敬意や認知が広がっていけばと思います

to-fu 23-04-10 (Mon) 17:30

> 123さん
四国のクスノキとしては加茂の大クスと双璧をなすと思っています。
瀬戸内の離島というロケーションの良さもあり、巨木を愛する者であれば見ておいて絶対に損はない存在かと。

巨樹に限らずですが、天然記念物や文化財に対して敬意を持てない人間がいることにはガッカリしますね。
一部の愛好家しか来ないような山奥の巨樹を訪問してもペットボトルが捨ててあったり…こんなところまで来るほどの
熱意を持った人間がゴミをポイ捨てして帰るのか?と理解に苦しみます。そもそも我々とは倫理観が違うのでしょう。

巨樹は神様仏様のような遠い存在でなく我々と同じ命ある生物ですからねえ。
自治体によるパワースポット的な売り出し方も結構ですが、彼らの健康を害さないよう
敬意を持って接する意識を啓発するのも忘れないようにしてもらいたいものです。

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