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徳島県鳴門市 津慈八幡神社のクスノキ


FUJIFILM GFX50S II / FUJIFILM GF 32-64mm F4 R LM WR

徳島県の宿に宿泊し、帰りのルート上からほど近いところに巨樹があるということで立ち寄ったクスノキ。
このまま直帰するのももったいないからと期待せず寄ってみたというのが率直な動機ですが、予想に反して良い巨樹でした。


神社の入口に佇むクスが真っ先に目に留まりますが、社殿の手前にも同等サイズのクスがもう一本。
ええ、一粒で二度楽しむ的な?二本の大クスが楽しめる神社なのです。


鳴門市大麻町津慈。地名を取って「津慈八幡神社のクスノキ」として市の天然記念物に指定されています。
以前は単に八幡神社のクスノキとして登録されていたようですが、現在は地名を冠する模様。
流石に八幡神社のクスノキだけでは情報の海に埋もれてしまうので正解だと思います。

冒頭のもの(南株)が幹周7.05m、社殿側のもの(北株)が7.43mと7m級のクスが2本立ち並ぶ様はなかなか圧巻でした。


周囲がやや窮屈だからか地上にこんもりと盛り上がった根回りが特徴的な南株。
7mというと巨樹的にも十分な数値ですがスラッと伸びる形状から実際の数値よりスリムに見える。
背の高い大クスということで真下からの眺めが最も迫力を感じたような気がします。


空洞化など目立った損傷は見られないものの枝先が枯れていたり道路にかかった枝が切断されていたりと、樹冠は少々寂しく感じます。
(新芽が芽吹く直前の訪問だったため、4月以降に見ていたら随分印象が変わったかも。)
現時点ではそこまで樹勢の衰えを感じないのですが…それでもこのアスファルトと家屋に囲まれた立地の窮屈さは心配になります。
せめてもう少し社殿側に寄ったところに生えてたら。


こちらが北株。先程の南株と真逆で実際の数値よりもずっと大きく見える。というか実際既に8mに迫っているのではないかと。
個人的には巨樹として見たらこちらの北株の方が見ごたえがありました。近寄った瞬間に「おお…」と声が漏れてしまうあの感じ。


まるで風に流されているかのような立派な樹冠。
南株よりも伸び伸びと、自由に成長しているであろうことが窺えます。


大枝が根元から欠損していますが、むしろこの姿だからこその凄みがあると言いますか。
他に目立ったダメージは見られず健康的な印象を受けました。
樹冠の葉の付きだって明らかに南株より良い。


これまた立派な根回りだなと。
裏側の根は隣家の敷地内に達しており流石に勝手に立ち入るわけにもいかず、参道側からのみ楽しむことにしました。
ここまでゴツゴツしていると晴天下よりむしろ雨の日のツヤっぽくて立体的な姿が見てみたくなります。


拝殿前より臨む。同等サイズの2本のクスが負けじと張り合って成長している様が見事。
全景を収めようとすると広角レンズに頼らざるを得なくなるので迫力が5割減してしまいますが、実際は写真よりずっと気持ちのいい眺めでした。
県下において目立った数値ではない7mということであまり期待していなかったものの、これはこれでいいじゃないか。


境内を出て旧吉野川の土手から一枚。
一番右が南株、真ん中が北株…あれ?もしかして、もう1本ある?


ええ、戻ってみると社殿の脇にひっそりともう1本のクスが立っていました。
幹周は恐らく5mほど?天然記念物ブラザーズと肩を並べるほどではありませんでしがた樹勢は上々で今後が楽しみなクスノキです。
願わくばやや衰弱傾向にあるようにも見える南株がこのまま弱ることなく成長してくれるとよいのですが。


総括すると結局一番印象に残っているのも一番写真を撮影したのもこの北株でした。
が、もしこの北株だけしか生えていなかったら果たしてこれだけの満足感が得られたかどうか。
やはり切磋琢磨する2本あってこそ「津慈八幡神社のクスノキ」ではないか!と思わずにいられません。

徳島県で優先的に見ておくべきクスノキ…とまで言えませんが、アクセスも容易なので他の巨樹を回られる際はルートに加えて損はないと思います。
1本ではクスの大物に張り合えない。それなら徒党を組めばいいじゃないか、というある意味潔いクスノキ。
いつか3兄弟で天然記念物指定される日を夢見て。

2023/3/21訪問
「津慈八幡神社のクスノキ」
鳴門市指定天然記念物
樹齢 不明
樹高 北株:約20m 南株:約18m
幹回り 北株:7.43m 南株:7.05m

徳島県鳴門市大麻町津慈字宮ノ本154

コメント:6

RYO-JI 23-05-19 (Fri) 20:45

遠景の等間隔に三本並んだ景色が圧巻ですねぇ。
これは情報が無くとも確実に吸い寄せられます。
確かに南株は環境的に厳しい状態に置かれていて心配ですが、そこはクスの生命力に期待したいところ。
舗装された参道がちょうど北株を避けるように作られているような気がしますが、そのお陰か北株はまだまだ大きくなりそう。
そして三本目のはまだ若さを感じますが、それでも5mで樹高は負けていませんから勢いは一番ありそうです。
今の時期に訪問すれば、新緑が目に優しく生命力に溢れた三兄弟を目にできて心地良い時間が過ごせそうですね!

to-fu 23-05-20 (Sat) 0:35

> RYO-JIさん
神社の入口から眺めると雑然と植えてあるようにしか見えませんでしたが、離れてみるとおおっ!と。
事前に情報を仕入れてなくても、この光景が視界に入ったらとりあえず寄ってみるでしょうね。

クスは一見健康そうでも中身がスカスカの空洞になっていたりするので南株がちょっと心配です。
最悪、参道のアスファルトはめくってしまっても問題ないのでは?という気も。
徳島のクスはどの個体も大切に扱われているのが伝わってくるので、このクスたちも末永く守っていただきたいものです。

123 23-05-20 (Sat) 4:37

ここは近辺の河川敷を移動していると必ず目に入りますよね
数年前に測った限りどちらも8mを大きく超えていましたのでこの神社全体を天然記念物してとして保護して欲しい所
奥にある事もあり目立ちにくく、この神社のクスノキを紹介されいてる方でもこのクスノキに気付いてなかったり
する事の方が多い何とも目立たない存在となってしまっている最奥のクスノキですが
それでも6m近いサイズだったので決して悪いサイズじゃないんですよねえ

個人的には北株のクスノキが少し心配です
数年前は損傷がほぼ無い状態だったのですが画像の状態を見ますとこの木としてかなり大きい大枝が折れてしまっており
その影響だと思いますが根周り付近の樹皮が大きく剥げてしまっています
どちらも私が最後に確認した際は無かった損傷なのでしっかりとケアをして欲しい所

南株は立地の問題で前からあのような状態でしたし成長著しい最奥のクスノキが
2本とサイズが追い付くような日が来るかもしれませんね

to-fu 23-05-20 (Sat) 17:21

> 123さん
北株の大枝は最近まで健在だったのですか!
それは一気に見方が変わりますね…枝が折れた個所は内部が少し空洞になっているように見えるので、幹の内部も
実はあまり状態がよくないのかもしれません。枝の切断部分は折れてから随分時間が経過しているような質感ですが、
比較的色味の新しい枝の下部分の樹皮だけで何年も支えていたのでしょうか。壮絶ですね。
せっかくアクセスのいい場所だけに、仰るように一度樹木医がしっかり診てくれるといいのですが。

既に8mを超えていましたか。南株は樹形がすらっとまっすぐ伸びているのでそこまで立派なサイズだとは思いませんでした。
このまま上手く育ってくれたら、将来は10m級のクスノキが3本立ち並ぶ素晴らしい社叢になる可能性も…
鳴門はあのエリアにしてはクスの巨木が少なめなので、この希少な存在を未来に残してあげてほしいですねえ。

23-05-20 (Sat) 21:32

徳島の中にあってはこれほどのクスも並盛サイズ……と、王国ぶりを実感させられると思いきや(というか、実感させられたんですが)、この三本巨樹が並び立つランドスケープは圧巻ですね。
変哲ない風景のはずなのに、なんだかすごくカッコイイと感じてしまいました。これこそが徳島の真骨頂かと。
徳島に行ったあの旅の帰り、台風でフェリーが二時間遅れましたが、知ってたらおかわりで訪ねたくなったに違いない。
「岡の宮の大楠」の近くと言えば近くですしね。あれも良かったよなあ。
……と言いつつ、一度の旅であれ以上巡るのは無理があるなとも。やりがいありすぎですね、徳島。苦笑


がっちりした根張りに安心感ありますが、やはりクスには空洞化の宿命がつきまとうのでしょうね。
まあでも、と気軽に書くもんじゃないでしょうが、洞窟級の空洞を抱えたまま立ち続けている大楠も多いことを思い出せば、このクスたちにはまだまだ先がありそうに見えます。
葉の入れ替えの時期と見えて茶色がぱらぱら混じっているのも、常緑ながら季節を感じさせていい眺めですね。

to-fu 23-05-21 (Sun) 21:45

> 狛さん
この並び立つ姿は想像力を掻き立てられますね。
昔はこのクスが船から見えると「おお、そろそろ鳴門か!」なんて灯台的な役割だったのだろうな…とか。
このエリアはとにかく吉野川沿いを突っ走れば近隣に何らかのクスの大物とぶつかるので、下道をのんびり行くには
文句なしだと思います。欠点はあまりにクスばかりが多すぎて、シイでもカシでも何でもいいから違う樹種を…と
他樹種欠乏症になって、陰の巨樹成分に飢えてくることくらいでしょうか…(冗談抜きでコレ)

クスやケヤキのように超特大サイズになり得る巨樹は、もう空洞化が宿命のようなものですよね。
この数年はやれ台風だ震災だと大忙しなので、せめて大災害起因の倒壊だけは勘弁してほしいものです。
倒壊なんて想像すらしなかった、岐阜の「大湫神明社の大杉」ですら倒れてしまう時代ですからねえ…

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