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岡山県倉敷市 荒神のクスノキ


FUJIFILM GFX50S II / FUJIFILM GF 32-64mm F4 R LM WR

香川県から瀬戸大橋を渡って岡山県入り。
早朝の漁師町をぶらぶら撮り歩き、せっかくだからと立ち寄ったのがこちら。
瀬戸内エリアならではの魅力たっぷりな「荒神のクスノキ」でした。


目的のクスノキと思われるものはすぐに発見出来ました。海沿いの王子マリンロードからもよく目立つ。
事前情報によると駐車スペースなし。現地集落は道幅が細すぎて下手に迷い込むと脱出困難になるのでご注意ください。

マリンロード沿いに田の口漁港があり、そこの前に数台分の駐車スペースがあります。
目の前にお住まいの方にクスを見ている間駐車しても問題ないか聞いてみると全く問題ないということなので、そちらに駐車させていただきました。


おおお、これはいいなあ…広大な樹冠が早速テンションを上げてくれるではありませんか。
この地は由加山参道に接しており、由加往来の盛んだった江戸時代にはクスノキが田の口港に発着する船の目印になっていたそうです。


デカい!!
見てのとおり根元が癒着した合体樹。この背面にもう一株細めのクスノキが立っており、3株ひとまとめで「荒神のクスノキ」と呼ばれています。
左右どちらも幹周約7.5m。株立ちの合体樹はどうしても巨樹ランキング上では評価が低くなりがちですが、ここまでのサイズのものが揃うと流石に壮観です。


倉敷市指定天然記念物「荒神のクスノキ」。枝張り40mは見事でしかない。
株立ちの姿のため市の天然記念物止まりですが実際見た感想としては十分に県天クラスのインパクトが感じられました。
株立ちということで私もそこまで期待していなかった、というのが本音。こういうのは嬉しい誤算ですね。


眺める角度によっては単幹の10m級クスノキかと錯覚してしまうほど。
それにしても樹冠が青空に映えますねえ。やはりクスノキほど晴天が似合う巨樹はないなと。


これでもかとノキシノブが着生した幹は如何にも温暖な瀬戸内のクスといった様相で、はるばる遠方の盆地からやって来た私には旅情が感じられます。


3本重なった角度から眺めると12~13m級のクスを思わせる立ち姿に。そして背後には瀬戸内海。なんという心地よさ!
12月も末だというのに春のような暖かい風が吹き、実は一晩寝ている間に時間が数ヶ月吹っ飛んだのでは?と勘違いするほどですよ。
今回瀬戸大橋を渡る前に香川県の坂出で朝うどんを食して来てしまったのですが、ここでパンとコーヒーを朝食とするのが必勝パターンだったと後悔…


背後の集落から望む。
帰宅してパラパラ写真を眺めていてパンとコーヒー以外にも後悔してしまった点がもう一つ。
もっと高台の上まで歩いてみて、クスの樹冠と広大な瀬戸内海の大パノラマを眺めるべきだったなと。
正直この辺りの瀬戸内沿岸エリアをもう一度撮り歩くためだけに、もう一度倉敷を再訪したい。
そう思い続けているくらいこの地域が気に入ってしまいました。


正面から見ると根元が癒着して見えたクスも背面から見るとしっかり別々の株であることが明白でした。
ここからさらに数百年経つと2本の根元はより強固に癒着するのだろうな…そんな妄想をしてしまいます。


超巨大なぼんち揚げ(関東では歌舞伎揚げ)のようなコブ。
寄って見てみても樹皮の質感が面白い。


とはいえやはりクスの真骨頂がこの樹冠であることは疑いの余地もなく…
撮影中の間だけでも光の射す角度が変わると刻一刻と陰影の出方が異なり、眺めていると本当に飽きない。
恐らく滞在時間は1時間強だったと思いますが、数本の単焦点レンズを持参してあーでもないこーでもないと撮影したら数時間は余裕で潰せそうでした。


(電柱の存在が憎い…いえ、地域の方にとっての最重要インフラであることは承知しております。)


市の天然記念物。そして幹周は各7.5mの株立ちクスノキ。
次はどこの巨樹を眺めに行こう…そう考えたとき、真っ先にリストアップしたくなる巨樹ではありませんね?

きっと同好の士ならそう考えるであろうと思われますが、是非とも皆様にも眺めていただきたいクスノキでした。
巨樹ランキング、国の天然記念物。それも結構。しかし数字だけでは価値を推し量れない巨樹が日本中にまだまだある。
立派なクスならもう十分見てきたから、そんな方にもオススメできる巨樹です。ロケーションが良すぎる。

2023/12/28訪問
「荒神のクスノキ」
倉敷市指定天然記念物
樹齢 推定700年
樹高 約15m
幹回り 約7.5m / 約7.5m

岡山県倉敷市児島田の口5丁目12 旭荒神社境内

コメント:4

24-03-04 (Mon) 16:44

岡山、倉敷辺りも乗り換え以外で降り立ったことがないのですが、このクス、総合的な魅力の高さはかなりのものですね。
路地の奥から見下ろしている感じ、周辺の暖かそうな陽気と瀬戸内風景と、広がりを感じました。
こんな巨樹絡めてぶらぶら路地散策なんて写真趣味の至福と言えましょう。

さらに、この三本フォーメーションは見たことがないタイプで、これを写真1枚キリの書籍などで取り上げてしまうと、全く違った印象になってしまいますね。
かといって実体としては、一番太い幹が正面に写って間を通り抜けられそうな図で示されるんでしょう。一枚選べ! という難しさを感じます。
国天指定されて大切にされていても寿命を迎えそうな巨樹もある中、このクスのように、まだまだ先を感じられる巨樹がいてくれるのはまことに頼もしいです。

RYO-JI 24-03-04 (Mon) 22:40

冬にこの気持ち良いクス写真を拝見していると今すぐにでも行きたくなりますね。
温暖な気候ですくすく育つクスの様子がしっかり伝わってきますよ。
見る角度によって姿がここまで変わるのも珍しく楽しめそう
当然撮影もあれこれ工夫し甲斐があって夢中になるでしょうね。
周囲環境も良さそうで、高台からのパノラマはきっと壮観に違いないかと。
いいもの見させていただきましたよ。

to-fu 24-03-04 (Mon) 23:35

> 狛さん
ええ、私も全く同じです 笑 車でもこの辺りで高速を一時下車すると結果とてつもなく割高になるもので…
街歩き含めてのんびり歩き回ると真価を発揮しそうなエリアでした。なんとなくフィルムカメラの方が似合う景色。

このタイプの巨樹はどれがベストな一枚かと問われると非常に悩ましいものがありますね。
仰るとおり正直に正面の写真をチョイスしてしまいますが、いやいや違うんだよって注釈を入れさせてほしい 笑
5、6m級の巨樹を見る度、将来の姿を想像して何となく嬉しくなってしまいますよねえ。
自分たちが見てきた無名巨樹の中から未来の特別天然記念物が生まれるのかも。夢のある話です。

to-fu 24-03-04 (Mon) 23:41

> RYO-JIさん
敦賀で初サミットを開催した際にRYO-JIさんとお話しした記憶がありますが、クスの未訪問巨樹は寒々しい冬の時期用に
ストックしておきたくなりますね。冬の海と落葉樹ばかり眺めていると鬱傾向がさらに悪化しそうです 笑

枝張りが広大な巨樹は「どこがベストな角度だ?」なんて歩き回りながら撮影していると簡単に時間が溶けていきます。
どうしても発想が乏しいので結局似たような写真ばかり量産しますが、それでも楽しいからいいのです。
次回はさらなる高台からの大パノラマも撮影したいですねえ。近くのパン屋も探しておく必要がありそうです。

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