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徳島県名西郡石井町 矢神のイチョウ


FUJIFILM GFX50S II / FUJIFILM GF 20-35mm F4 R WR

ん…矢神のイチョウ?天神のイチョウじゃなかったっけ。ということで、何となく勘違いしたままやって来たイチョウの巨樹。
私が自宅で検索して立地を確認したのがここから僅か1kmほどのところに立つ「天神のイチョウ」。
そしてこちら当日検索してムムッ!先日調べた立派なイチョウ巨樹!(こんな形だったっけ?)とやって来た「矢神のイチョウ」なのでした。

まさか同じエリアに同等サイズのイチョウ巨樹(それも名前まで似てる)が2本も存在するとは露知らず。
後日もう一方の天神のイチョウも訪問したので近日中に記事にしますが、まあ結果的にこちらを訪問する形になって大正解でした。
※天神のイチョウは色んな意味で壮絶すぎて巨樹を眺めるどころの状況ではなかった。刮目して待て!


まあとにかくデカい!
矢神・天神両者ともに徳島県のイチョウとしては間違いなく県下を代表する巨樹といっていいでしょう。
サイズだけで見れば上板町の「乳保神社のイチョウ」が抜けていますが、個人的にはあまりに窮屈そうな姿に良い印象がなく、勝手な感想を述べるなら神山町の「大久保の乳イチョウ」がロケーション込みで一番好み。次点が矢神・天神でしょうか。(ただし天神は今現在肝心のロケーションが…)


やはり柵に囲まれていて実際窮屈そうではあるのですが、そこまで残念な気持ちにならないのは何故なのか。
御神木のイチョウの成長を阻害しまいとする最低限のリスペクトが感じられるからかもしれません。


屋島の合戦で扇を射抜いた那須与一に褒美としてこの地が与えられ、そこに熊野新宮本宮を勧請したことから「矢神のイチョウ」と呼ばれるようになったのだとか。
時系列で言えば那須与一さんが亡くなって数百年後にイチョウが植えられた、ということでいいのでしょうか。
(那須与一がこのイチョウに矢を射ったという伝承もあるらしいけど流石にイチョウの推定樹齢と辻褄が合わない)
ちなみに横に建つ大きな本殿は新宮本宮神社。少し歩いたところに小さな那須与一神社も鎮座しています。


今回4月の訪問ということで長き冬が明けて新芽がちょうど生えてきたところでした。
若干スカスカで寂しくも見えてしまうのですが、新芽が生えきってしまうと今度は樹形が全く分からなくなってしまうのがイチョウの恐ろしさ。
鮮やかな緑が楽しめて樹形もまあ分かりやすい、というこの時期の訪問は巨樹めぐり的に考えるとベストな時期だったのかもしれません。


樹皮をまじまじと見つめてみると大量のツタでものすごいことになっている。
雨の日にモノクロで撮影したら面白いんじゃないかな、などと色々妄想が捗りました。
こういうのも葉が茂りきってしまうとスルー、というかツタの存在自体気付かなかったに違いない。


雌雄で別の花を咲かせるイチョウの木ですが、こちらは雄花。
やはり雌株は種子(ギンナン)に多くの栄養を割くからなのか10m級まで成長するイチョウ巨樹のほとんどが雄株という印象です。
ギンナンの匂いのインパクトが強すぎるイチョウさん。花の香りは意外と、といったら失礼ですがふわっと繊細ないい香りでした。


事前に詳細な下調べをして来なかったため樹勢良好なイチョウ巨樹だとばかり思っていたのですが、裏側に回ってみると壮絶な傷痕が。
現地では落雷だろうと勝手に納得しつつ、帰宅後改めて調べてみました。
昭和61年の「総合学術調査報告 石井町」によると昭和56年、本殿の火災に巻き込まれる形で類焼して半身を焼失した模様。
そもそもの原因が本殿への落雷だった可能性はありますが、少なくとも雷が直撃したわけではないようです。


一時はかなり衰弱していたようですが、ひとまず峠は越えたと見ていいのでは?
樹高に関しては恐らく解説板の30mは県天指定された昭和28年時点の数値であり、今現在の数値は石井町の公式サイトで紹介されている20mが正しいように感じます。


よく見ると主幹が焼け焦げて折損しているのが分かる。
このまま元気に復活してもらいたいものです。


境内にはなかなか立派なクスノキも見られました。幹周4.5~5mくらいか。
徳島基準では「まだまだ」ですが、こちらも将来のクスノキ巨樹として有望な存在です。


静かで、かつ広大な境内。これは是非とも黄葉の時期に再訪して和菓子とお茶でも楽しみたいところ。
イチョウの巨樹ってサイズの数値関係なしにピンと来るもの来ないものが混在している印象ですが、こちらの巨樹は前者だったと自信を持ってオススメできます。

大量のクスノキ巨樹に紛れた貴重な非クスノキ巨樹、オアシス的存在でもあるため、徳島平野部を回るなら是非ともルートに加えていただきたい一本。
クス→クス→クス→クス…うーん、やっぱりしんどいので。ねえ。

2024/4/18訪問
「矢神のイチョウ」
徳島県指定天然記念物
樹齢 600年(昭和35年徳島新聞社発行「阿波名木物語」によると550年。現代まで+50年カウント)
樹高 20m
幹周 10.2m(樹高、幹周は石井町公式サイトを参照)

徳島県名西郡石井町高原字中島71

コメント:4

RYO-JI 24-09-23 (Mon) 21:34

立派な石の柵だなぁと思ってよく見たら玉垣のようですね。
大切な存在として扱われているのかなと想像します。
イチョウの周りギリギリに囲っているのが少し心配ではありますが。

火災という大きな被害を受けたにも関わらずここまで樹勢が回復しているのは凄いですね。
イチョウの逞しさに改めて感嘆するとともに、巨樹王国徳島の風土の良さ、
そして那須与一サンの何かしらのパワーが宿っていると思わせてくれます。

to-fu 24-09-24 (Tue) 14:54

> RYO-JIさん
何気なく見ていましたが言われてみると玉垣ですね。
仰るようにもう少し余裕を持たせてあげても…と感じるのですが、参拝者がイチョウに直接触れるための配慮でしょうか。

数年前に落雷被害を受けた鳥取の「倉田八幡宮のイチョウ」などは目に見えて衰弱していたのですが、長い目で見ると
焼け跡をものともせずこうして復活することもあるのだと、明るい希望を見せてもらった気がします。
あと倉田八幡宮のイチョウに足りないのは与一パワーですかね…

24-09-24 (Tue) 21:51

東尋坊のリスキー絶景に目を奪われつつ、同地のイチョウかと思いきや、徳島県の巨樹だったんですね。
もはや徳島県はクスノキでできてるくらいの頭になっていたので、余計に早合点……ん? 天神と矢神と、えっto-fuさん自身も間違えたの? と追加で混乱し、挙句「しんぐうほんぐう神社」という煙に巻くような名称よ。笑
那須与一の伝承によってまとまりが出たような、なんかヘンな感触を覚えました。

広々とした場所のわりに放射状に整った形なのは、この玉垣?との関係のごとく、ある程度人に制御されてきたということなのかなと。
背に隠し持つような大きな焦げ痕。イチョウは火に強いとか、火事の時に水を吐いて寺社を救うとかよく聞きますが、ここにもまた火に耐えた実例があったわけですね。
目立つ大枝がなくとも、なんかやばい剛毛みたいな蔦があっても(確かにモノクロ映えしそうだ……)、割と安心して見ていられるような感じがあるのは、やっぱりイチョウだからこそなんでしょうね。
「天神」の方がどうなってるのか? にも、興味が湧いてきました。

to-fu 24-09-25 (Wed) 11:59

> 狛さん
あまり知られてませんが、実は徳島にはクスノキ以外の木も生えてるんですよ(言いすぎ)
ほぼ事前調査せずに向かったので、矢神?漢字を見間違えたかな?と誤解したまま帰宅しました。まさか天神も実在したとは。
いやホント新宮本宮ですよ 笑 三社の中では那智推しの私としては中途半端に合祀するなら那智も加えてほしかった…

たぶんこの樹形は手入れされていますよね。あまりキッチリまん丸にされると興醒めしたりもするんですが、上手く手入れされていると思います。
恐らく本殿が消失して建て替えられていることからも相当な火災であったことが想像できますが、よく生き延びたなあと。
周囲の住宅にまで燃え広がらなかったのはもしかするとイチョウのおかげなのかもしれません。

「天神」は近日公開予定です!写真の枚数も少ないのでチャチャッと書き終わると思います 笑

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