Thypoch EUREKA 50mm F2を購入

FUJIFILM X-H2 / Carl Zeiss Touit 50mm F2.8 Macro

このルックスにして現代的な描写。
海外の写真サイトでEUREKA 50mm F2の存在を知って以降ずっと購入を悩んでおりましたが、アリエクのセール価格を見てたまらず購入。
なお直後にマップカメラでもセール価格に値引きされていたことに気付く…それでもマップ価格よりは安価に手に入ったし。ええ、負け惜しみです。

簡単に試し撮りしたのでファーストインプレッションなど。

かのアルキメデスおやじがアルキメデスの原理をひらめいた際、歓喜のあまり「エウレカ!」と叫んで全裸で街を走り回ったとか。
マジです、マジ。天才には奇行がつきもの。つくづく歴史に名を刻む天才に生まれなくてよかったと思いますね。
製造元のThypochはこのレンズを持ち歩いて新たな発見をしてほしいという想いから、EUREKAと名付けたそうな。
是非ともこのレンズで傑作を撮って、雄叫びを上げながら全裸で街を走り回って下さい。どうなっても知りませんが。

あ、私は詳しく知らないのですがレンズ設計はTaylor HobsonのAnastigimat 2inch F2のオマージュなのだそうです。
「アナスチグマート」自体はよく聞く名前です。要は諸収差補正済みのレンズということで、現代レンズはほぼアナスチグマートに該当する模様。
ちなみに最近よく聞く「APO」はアポクロマート補正。光の三原色それぞれの色収差が補正されたレンズ、ということになります。

ぶっちゃけどうでもいいですね…何がアナグマやねんと。
私は単純にこのルックス、質感、そして軽さ。これだけでイカれてしまいました。
重くて高価な真鍮製ではなく軽くて安価なアルミ製を購入しております。(庶民の私にとってはアルミ製ですら十分高価ですが)

以下試し撮り。

LEICA M10 / Thypoch EUREKA 50mm F2

わりと線が細い系の描写だと思います。
エルマーではなくズミクロン。そういえば山崎光学で再コーティングしてもらったズミクロン 1stに近いような。

レモン型っぽいボケもズミクロンに似ている。でも間違いなくズミクロンより扱いやすい。
あちらは収差がなかなか派手なのと、色味がへんてこに転ぶことが多くて現代のデジタルだと扱いやすいとは言えないレンズなので。

ええ、好みの描写です。それにとことん無駄な機能を省いたライカM10と相まって、心も体も何と軽快なことか。
この辺の葉っぱ写真は装着した初日に近所の山道を撮り歩いたのですが、私はこの時点で勝利を確信しました。

最短撮影距離は90cm。
もう少し寄れたら…と思わなくもありません。数年前の私なら「寄れないレンズはクソレンズ」と吐き捨てていたことでしょう。

しかし最近はこうも思うのです。出来ることが制限されているほど感覚が鋭敏になって撮影も面白くなる、と。
白黒写真しか撮影できないモノクロ専用機とか撮影可能枚数が限られるフィルムカメラとかそんな感じですよね。
開発環境がくそ不便だった時代は頭を捻りまくってその対応を考えていたように。
流石に仕事でわざわざ不便を楽しもうとは思いませんが、趣味の世界ならそれを楽しむのも大いにアリなのではないかと。

光条はこんな感じ。F8だったかな。(Exifに記録されないので申し訳ない)

開放時は周辺光量落ちが目立つ。
Photoshopで補正するよりもオールドレンズ臭さを活かした撮り方を考える方が面白い気がします。

光量落ちはいいとして、個人的にちょっと気になるのが右下の内面反射と思われるフレア。
逆光気味に撮影するとごく稀にこれが現れます。
フード内面などはしっかり墨入れしてあるのでレンズのマウント側なのか。
内面反射防止シート(光陽オリエントジャパンのファインシャット)でも貼ってみようか悩み中。

トータルで見れば非常に満足度の高い買い物でした。軽いは正義だ。
でっかい高機能なカメラをこねくり回すのも楽しいけれど、不便なM型ライカにはそれとは違ったベクトルの楽しさがある。
高性能機にMFレンズとか軽快なライカにアホみたいに大きい大口径単焦点とか。クレイジーな組み合わせも面白いですけどね。
撮影機材なんて所詮は道具。選択肢は多い方が楽しいに決まっているのです。要するに今すぐEUREKAを買ってしまおう。

2件のコメント

  1. この手のレンズを手に入れる方は相当な玄人だと推察します。
    まぁそもそもM型ライカ所有者というだけで玄人だと思いますが、それでもフォクトレンダーくらいまでかなぁと。
    私なんぞはThypochもアナスチグマートも初めて目にしたワードで覚えることすらできないでしょう。
    あ、アナグマさんは親近感がありますけど(笑)。
    ということでさすがはto-fuさんですね。
    カメラライフを大いに楽しんでいらっしゃって素晴らしいです。

  2. > RYO-JIさん
    謎マイクロメーカーのレンズを漁るのも楽しいですよ。
    でも正直、今のラインナップならライカ謹製もマイクロメーカーのレンズも不要ですよね…フォクトレンダーの出来が良すぎます。
    これだけ色々なMレンズが弄れるのもミラーレス機の普及あってのこと。いい時代になりました。
    しかしうちの近所のアナグマさん、深夜散歩にカメラを持って行くと絶対に出会えないから不思議です 笑

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