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岐阜県郡上市 白山中居神社の浄安杉


SONY α7II / SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G

さて石徹白のスギを拝見して心がふわふわした状態ではありますが、7kmの悪路を降りて白山中居神社までやってきました。実は石徹白のスギもこの白山中居神社の境内に位置しており、本来であればまずこちらを参拝してから臨むのが正式な作法であろうと思われます。しかしながら僕がこの神社に着いたのは早朝3時半頃。さすがに住宅も建ち並ぶこの神社の前に車を停めて仮眠するというのは不審者丸出しになってしまうもので、仕方なく順序を逆とさせていただいたのでした。

白山中居神社は伊邪那岐(いざなぎ)・伊邪那美(いざなみ)の二神を祭神とする由緒ある神社であると同時に、北陸を中心として全国的に広まる白山信仰の霊峰白山へ至るための入山口ともいえる非常に意味のある場所。早朝の境内にはどことなくピリッとした空気が流れ、こちらも自然と背筋が伸びるような心持ちになります。参拝を済ませ、目的地である浄安杉を目指すことにしました。


浄安杉はこちら、と書かれた案内板に従って山道を進みます。事前に仕入れた情報によると約15分ほどの山道を歩くのだとか。まあ大したことないだろうとたかをくくっていたのですが、これがまた結構な急勾配で辛い。まあいいや、石徹白の杉の石段みたいに水でも飲みながらのんびり進もう…なんて舐めていられたのも束の間。ペットボトルを車の中に忘れてきたことに気付きました。そうだ。車に猛アタックしてくるアブの大群をかいくぐるのに精一杯でうっかりしてた。まあ200mくらいなら何とかなるさ。


はぁ…はぁ。そんな馬鹿な。まだ100mしか進んでないなんて。息はとっくに切れ、喉はカラカラです。もうホント、きつねやたぬきが人間をからかうために看板に化けているとしか思えない。はいはい、本当は目の前なんだろ?分かってるよ。なんてぼやきながらちんたら進んでいくと。


ようやく何かが見えてきました。これだけ離れていても分かってしまう、あの存在感。これはひょっとして実は物凄いんじゃないのか?とにかく駆け寄って確認してみることにします。


うぎゃー!なんだこれ。デカい。とてつもなくデカい。4本のスギの合体樹であろうことは見て取れますが、そんなことどうでもいい。ただでさえアホみたいな顔をしているto-fuさんですが、口をポカーンと開けてさらにアホな面を晒していたのではないかと思います。息を大きく吐き出して天を仰いだまま固まってしまいました。


1本1本がそこらの神社のご神木クラスの太さであり、さらに高さもある。これぞウラスギの巨樹!という正当派な巨樹だと言えるのではないでしょうか。標高1,000m近いこの雪深い山奥で雪の重さに幹がひしゃげることもなく、真っ直ぐ天を目指す姿は本当に圧巻です。


根元には恐らく落下した枝?で作られたベンチが。心遣いに甘えてまずはここに腰掛け、ゆっくりスギを見上げながら呼吸を整えることにします。(奥に見えるイラストのようなものは地元の子供が描いたと思われる浄安杉の絵。浄安杉の特徴をよく捉えた絵です。先人のログを読むと周囲のスギにも別の子供が描いた絵が数枚くくりつけられていたようですが、現在はこの1枚だけになっているみたいです。「これからも浄安杉を大切に」と書かれていました。わざわざこんな山奥まで登ってきてゴミを捨てて帰るようなサイコ野郎はいないと信じたいですが、本当にこの感動を次の世代に遺せるよう気を付けたいものですね。)

薄暗い森の中に待ち受ける巨大なウラスギ。こんなシチュエーション、普通に考えると結構ホラーでしかなかったりするものなんですが、この浄安杉からは不思議とそういったドロドロした感じを受けなかったんですよね。このベンチであったり絵であったり。地元の方々の巨樹に対する愛情がはっきり伝わってくるから優しい空気に包まれているのかも…なんて思いました。


ベンチから見上げた姿。これだけ鬱蒼と茂った森の中ですが、随分と根に近い枝までにも鮮やかな緑をした葉が生え揃っていました。大抵は日光が当たらず枯れているものなのですが。右奥の幹は途中で欠損しているようですが、その欠損部分から生き生きとした太い枝が後を継いだ若社長よろしく「親父、ここからは俺に任せてくれ」と言わんばかりに天を目指していました。樹勢はなかなかのものです。


裏側に回ってみました。まるで4人がガッチリと握手するかのように絡まりあっています。これを見る限り単幹から分かれたものではなく、やはり4本の合体樹であるようです。何故こんなところに4本のスギを植えることになったのだろう…と色々想像してみましたが、当然よく分かりませんでした。御神木なら既にあの石徹白のスギが存在するわけですからね。神社の参拝客が徒歩で寄れるように。でも有難みを演出するためにも少し山の中に…なんて考えて植えられたのかもしれません。


裏側から見た立ち姿。こちら側から見ると4本の幹全てが確認出来ず、ちょっと物足りない姿に。いえ、正面からの姿が凄すぎるだけでこちらの姿だって迫力充分なんですけどね。


足下に剥がれてしまった浄安杉の樹皮が落ちていました。
重く、分厚い。振り回したらちょっとした武器になるんじゃないかというくらい重厚なものです。


規則正しく並んだ枝。何だか魚のホネみたいだ。


何度もぐるぐる回ってしまいましたが、やはり一番インパクトがあるのはこの正面からの姿でしょう。正直なところ石徹白の杉のオーラに当てられて気持ちが浮ついてしまっていたので、以降の巨樹を楽しめるのだろうかと考えていたところもあったのですが、これは完全に杞憂に終わりました。そうだよなあ。みんな違って、みんなに良さがある。それこそが巨樹の面白さだった。

ちょうど狛さんと昨日話したなあ…と思いだしたのですが、そもそも巨樹をランキング付けする必要があるのか?という話なんです。ナンバーワンを見るために目的地を目指すのではなくて、たくさんのオンリーワンが揃っているから「次のこいつはどんなもんだろう?」なんてワクワクしながら馬鹿みたいに遠方を目指せるわけです。凄いのを見ちゃったから後はダメだろうなんて考える必要はどこにも無いんですよね。


さて最後に浄安杉の謂われです。僕はわりとこの謂われを序盤に持ってくることが多いんですけど、この浄安杉に関しては訳あって最後に回させていただきました。何故かって?読めば分かりますよ。何だか有難みがあるんだかないんだかよく分からなくて、これを読んじゃうとちょっと拍子抜けしちゃうんですよね 笑

だって浄安杉って字面から「不浄なるものを安住の地へ導くための杉」であるとか、それはもう有難い謂われがあるのかと期待するじゃないですか。それが何なんだよ。浄安が金を埋めたとか、カラスが鳴いたとか。クワを忘れたことに気付いたから何なんだ。寓意がありそうでいて何の寓意も感じない。ここから読み取れるわずかでも価値のある情報としては、浄安が住職になった時代には既に目印となるほどの大きなスギだったということでしょうか。ね、せっかくの立派な杉が台無しになるでしょう?

浄安杉
岐阜県指定天然記念物
樹齢 不明(推定1,000年以上とされるそうです。)
樹高 32m
幹周り 12m

岐阜県郡上市 白山中居神社境内

コメント:4

RYO-JI 18-08-13 (Mon) 21:19

見事な合体樹ですよね!
そもそも合体することが自体がスゴイのに、それだけにとどまらずこのサイズまで成長し続けているのは
本当に奇跡的だと思うのです。
石徹白のスギとセットで見るべき巨樹ですよね。
近場にあってもそれぞれ個性が違うので見応えありそうで、想像するだけでワクワクします(笑)。
この浄安杉もいつかきっと見に行くことになると思います。

自分だったらシャークバーガーは一人だと絶対に頼まないと思うんですが、
狛さんと二人で『これは食っとかないとアカンやろう・・・』的なノリで食べたのかなぁ
と想像して羨ましく思いました(笑)。

18-08-14 (Tue) 16:13

石徹白の大杉を見に行って近所のこちらを見ないという手はないよな……と思いつつ、順番が変わることは、なるほど、ありますね。
この間の岩屋もそうでしたが、どうしても主役と認めざるを得ないお方がいて、その近くに居る者の存在感というものを考えてしまいますが、こと石徹白に関しては、どちらも掛け値なく個性的で立派なので、単純に2倍の満足感で終わることができるところがまたすごい。
そうであるので、たとえ順番が逆になっても大丈夫。これは地味にすごいことだと思います。

思い切り近づいて触れることができるのも、浄安杉の良いところですね。一層巨大に感じることができ、その感動的なまでの大きさに、思わず抱きつきました(笑)。
いや、そうしてみたいと思うほど、この樹はパワフルでポジティブなんですよねえ。
僕が行った時も小雨が降ったりやんだりでしたが、それでも水気があることが嬉しいとばかりの生命感でした。
見ていると、また行きたくなってうずうずしてきてしまいますね。

to-fu 18-08-15 (Wed) 21:51

> RYO-JIさん
そうなんです。ここまで圧倒的だともう合体だとか枯れてるだとかどうでもいいんですよね。
きっと合体樹だからこそこの迫力が生まれたわけで、ただただ自然って凄いなあなんて驚嘆してしまいます。
この浄安杉と石徹白大杉はセットのようなものですよね。どちらも違う方向性で凄いので、山深い僻地中の僻地でアクセスに難がありますが、本当に来てよかったと納得出来ると思いますよ。石徹白の民宿は雰囲気がいいようなので、次に行くならぜひ泊まってみたいと考えています。

RYO-JIさんならニコニコ笑いながら「僕はビーフで 笑」なんて注文しそうだなあと僕も勝手に想像していました。ヘンテコな獣道(先には何も無い)を歩く機会があったんですけど、そこもRYO-JIさんなら「僕はここで待ってますよ。」て言いそうですね、なんて話題が出ていました 笑
さあ、次回は杉の大杉を目指しますよ!もちろんRYO-JIさんは参加決定という前提で話は進んでいます。

to-fu 18-08-15 (Wed) 21:59

> 狛さん
確かにそうですね。岩屋の「飯盛杉」と違ってこちらは対等に近い関係に思えますね。
(あれはあれで僕らの中では非常に評判が良いわけですが。)
万が一どちらかが合わなかったとしても、誰もが2本のうち必ずどちらかを気に入ってくれるんじゃないかなと思います。

本当、パワフルという言葉がよく当てはまる巨樹ですね。近付いたら根を傷めるかな?とかそういった類の繊細さが全くなくて、ちょっとくらいもたれかかったり触ってみたりしてもきっと気にしないだろうという大らかさを感じます。雨って面倒ではありますが、こと巨樹巡りに関しては本当に巨樹が色っぽくて映えるんですよね。次回は僕もしとしと雨の降りしきる秋か春先に訪れてみたいです。(春先は雪で無理かなあ。)

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