- 2019-01-15 (Tue) 11:36
- FUJIFILM XF 16-55mm F2.8 R LM WR | Panasonic LEICA DG SUMMILUX 1.7/15 ASPH. | カツラ | 兵庫県 | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別)
FUJIFILM X-Pro2 / XF 16-55mm F2.8 R LM WR
Panasonic LUMIX GX7 Mark3 / Panasonic LEICA DG SUMMILUX 1.7/15 ASPH.
某巨樹番組で一瞬だけこの「和池の大カツラ」が紹介されているのを見て、そういえばまだ記事に出来ていなかったことを思い出しました。兵庫県は個人的にカツラ王国と呼んでしまいたいくらいに立派なカツラの巨樹が多く見られる土地ですが、この和池の大カツラもその巨樹軍の中で代表格を張れる一本だと思うのです。
「和池の大カツラ」は但馬高原植物園の最奥に位置しています。巨樹の先輩方が掲載するマップを拝見する限りでは植物園の中なのか植物園の敷地とは離れた山中なのか判断できなかったので係員の方に聞いてみましたが、植物園の敷地内で間違いないとのこと。なるほど、敷地が広大すぎて地図で見る限りだと植物園とは無関係の山中に生えているように見えていたのです。
と言いますか、大カツラは敷地外どころかこの植物園の目玉だったようです。入園料を払うと入園証としてシールをもらえるのですが、その形までカツラの葉っぱを模したものでした。記念に持ち帰ったのは言うまでもありません。恐らくですが、元々が大カツラをより多くの人に見てもらおうという目的で設立された植物園なのではないでしょうか。重篤な巨樹マニアでもない限り、高原の山奥まで車を走らせてカツラの巨樹を眺めに来るなんてことはなかなか考えられませんからね。
正直に言ってしまいましょう。
植物園の敷地内に生えていると聞いた私は少しだけガッカリしました。
「何だよ、温室育ちのボンボンカツラかよ。どうせ周囲は綺麗に手入れされて、金持ちのオボッチャンみたいに過保護に扱われたカツラなんだろ?」と。だって植物園だなんて聞いたらそう思ってしまいませんか?
しかしこのカツラはそんなイメージを良い意味で覆してくれたのです。
観察するためにコルク材の歩道が敷かれているものの、その他はまるで自然のままです。雑草は伸び放題。カツラへの手入れだって最低限のケアしかしていないはず。いえ、この植物園自体がちょっと脇道に入ると藪漕ぎが必要だったり植物園とは言い難いストイックなもので、実はここに到達するまでに不安は薄れていたのですが…それにしてもこれは凄い。とんでもないカツラじゃないか!興奮のあまり駆け寄ってしまいました。
カツラの根本を清流が流れています。これだって決して植物園が演出するために水道を引っ張って川を作っているわけではありませんよ?天然の湧水です。植物園創設以前、いえ、大カツラがこの地に生を授かるより前からこんこんと湧き続けているのでしょう。年間通して水温9.5℃という恐ろしくキリッとした清流が空間全域をひんやりと冷ましてくれます。歩き疲れて火照った体にこれが気持ち良いのなんの。
そして驚くなかれ。根本を流れるどころか、清流が根の間をくぐり抜けているではありませんか。この光景は全国的に見ても和池の大カツラでしか見られないものだと思います。大雨で増水すると根回りが洗われて倒壊してしまうのではないか?なんて考えてしまいますが、この姿のまま推定1,000年とも言われる時を生き続けているわけですからね。大自然の奇跡と言わざるを得ません。
右下に人がいるのが分かりますか?(to-fuではありません。)
いえ、このカツラ、本当に大きいんですよ。
遊歩道を歩いていると眼前に迫りくる幹。物凄い迫力です。
遊歩道は360度ぐるっと大カツラを囲んでいるわけではないので観察できる角度こそ限られてしまいますが、それでも残念だとは全く感じませんでした。むしろこれだけの巨樹をこんな近くで見てしまってもいいの?と感謝してしまうくらい。
超広角レンズでの撮影なので太さが伝わりにくいかもしれませんが、この左側の幹なんて本当に凄い威圧感でしたよ。まるで首長竜を足元から眺めているかのような迫力がありました。眩いばかりの緑に圧倒されます。
幹周16.4m。恐ろしく巨大なカツラですが、既に主幹が朽ちて欠損しているためランキングからは除外されています。これは主観ですが、ことカツラの巨樹に関してはランキングが全く当てにならなくて、むしろ君はイレギュラーであるとランキングから除外されてからがようやく一人前という気すらしています。
「かつらの千年水」と名付けられた湧水は当然そのまま飲むことが出来ます。平成の名水百選に選ばれるそのお味は…当然ながら筆舌に尽くし難いほど美味でございました。コーヒー?淹れたに決まっているではありませんか。ふふふ。(もちろんここでは淹れてませんよ。)
植物園内と聞くとちょっと微妙な印象を持たれるかもしれませんが、兵庫県内においては間違いなく「別宮のカツラ」、「糸井の大カツラ」、「藤坂の大カツラ」らと並ぶ代表格の一本です。広大な敷地を誇るストイックな植物園も必見。(もちろん本流ルートだけ選べば普通に綺麗な植物園だと思います。)これだけのボリュームで入園料500円は破格と言っても良いでしょう。
ホームグラウンドの京都からはお世辞にもアクセスが良いとは言えませんが、今の時点でも別宮のカツラと絡めて今年も絶対に再訪しようと決めている巨樹です。ここはおすすめ度★★★★★ですね。
2018/9/3訪問
「和池(わち)の大カツラ」
兵庫県指定天然記念物
樹齢 推定1,000年
樹高 約38m
幹周り 16.4m
但馬高原植物園内
コメント:4
- RYO-JI 19-01-15 (Tue) 21:41
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例の番組に出ていましたねぇ、このカツラ。
根の間を清流が流れていて驚きました!
兵庫県の見るべき巨樹リスト作成中、植物園内にあるカツラ?と大いに疑問に思ってました。
その謎が解けてスッキリしました(笑)。
これ、温室育ちどころか、人間の手による管理なんかまったく感じさせないほどの凄みもありますね。
手を差し伸べようとすら思えない存在感。
せめて皆にその圧倒的な威圧感を安全に楽しんでもらうようルートを整備するくらいだったのでしょう。
むしろこのカツラがあるからこそ、ここに植物園を作ったのでは?そう思えますね。
さすがカツラ王国、兵庫県のレベルの高さを再認識しました。
この清流で作ったコーヒーも最高でしょう! - to-fu 19-01-16 (Wed) 19:53
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> RYO-JIさん
兵庫県の見るべき巨樹!
このカツラはぜひ加えておいて下さい!ここと別宮のカツラはセットで回るのがオススメです。
どちらも絶対に後悔しないだろうと自信を持って言い切れます。(兎和野のカツラは…うん… 笑)
僕はこの2本を回ったら「今日はこのまま直帰してもOK!」というくらい満足してしまいました。
この植物園は極力ありのままの山林の姿を見てもらおうという気概が伝わってきて実に好印象でしたよ。
綺麗なお花、珍しい海外の樹木なんかを期待して来るとイマイチだと思いますが、そんなもの期待して
兵庫の奥地まで来る方が悪い!コノヤロ!と言ってやりたいです。 - 狛 19-01-16 (Wed) 20:56
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この、根の下を流れる清流と、それを飲んで巨大に育つみずみずしい桂の巨体という図は、本当に美しいですね。
くだんの番組でももちろん注目しましたが、先年の巨樹カレンダーにこの桂の写真があったんですよね。
かなり上手に撮られていましたが、周囲がそうなっているとは想像もつかず。意外でした。保護林のようなところですかね。
何より、ヒューマンスケールを置いた時の、こんな驚くべき巨大さも持ち合わせているとは!
この巨大さを見るや、その前の優美な印象から、一気に野生と荒々しさも感じるように思いました。
それにしても、兵庫のカツラ軍団のメンツはすごいですねえ。
僕の探訪ルートにはいつもあまりカツラさんがおられず、to-fuさんの探訪記を読むにたびにカツラ成分の不足を嘆かわしく思ってしまいます。
いいなあ。また是非兵庫も回ってみたいものです。
乗せてくので、案内してくれませんか? あと、野立てのコーヒーをご馳走してくれれば……なんてって。笑 - to-fu 19-01-17 (Thu) 16:56
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> 狛さん
やはりカツラの巨樹と来たら清流ですよね。今まで見てきた大物の側には必ず清流が見られました。
例のカレンダー、巨樹のセレクトは流石!と思いましたね。
ただデカい樹なだけではなくて、実際に見に行きたくなるものばかりでしたもん。
そう、このカツラ、ものの本やサイトで見るよりもずっと大きく感じたんです。
周囲もまさに原生林といった趣で、仰るように保護林として守るために植物園にしたのかもしれません。
次の機会があれば、こちらからお願いして同行させてもらいたいくらいですよ!
もう前日からこだわりのコーヒー豆でもゲットしてお待ちしておりますので!
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