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兵庫県養父市 樽見の大桜


SONY α7RIII / SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G

私の済む京都から日帰りで行ける範囲で一番立派な桜の木は?と問われれば、それは恐らく先日訪問した岐阜県が誇る日本三大桜の一本「根尾谷淡墨桜」になりますが、では近畿地方(2府5県)で最も立派な桜の木はどれなのかというと、きっとこの「樽見の大桜」になるのではないでしょうか。ずっと気になっていてマップにチェックはしてあった巨樹。行くならもうこのタイミングしかないだろうということで、前夜から現地に突撃してきました。


日の出後のんびり支度して軽登山開始。事前の情報によると駐車場から徒歩15分程度とのこと。ちなみに駐車場のキャパは恐ろしく少ないです。20台停められないくらい?混雑時は駐車場までの山道に駐車させられてそこから登山になるようなので、それこそ足腰に自身のない方には早朝の到着をおすすめ致します。実際に登ってみた限りでは10分くらいでしょうか。思ったほど大した距離ではありませんでしたが、この辺りの地質の関係で足元にゴロゴロ転がる岩が多いため、転倒には充分ご注意を。


登りきった先に待つのはこの光景。これは素晴らしい!
状況説明…そんな野暮なもの要らないでしょ?こんなの気持ちいいに決まってます 笑


1週間程度前に開花状況を確認したところ「ほぼ満開」の表示だったので今年の訪問を半ば諦めていましたが、昨日確認したところまだ「ほぼ満開」のままでした。日当たりの良い南向きにあたる箇所はやや葉っぱが目立ちましたが、それでもまだ数日~1週間程度は保ちそうに見えました。辺り一面にはふわっと控えめな桜の香りが漂っていて本当に心地良かったですよ。


to-fuさんとの比較。そりゃまあ桜ですからね。巨樹と言っても驚きの大きさ!とまではいきませんが、岐阜県の「淡墨桜」にも劣らない立派な桜の木です。樹齢1,000年と言われているのも納得してしまうくらいの風格を感じます。


「樽見の大桜」は花弁5枚、一重のエドヒガンザクラ。
エドヒガンは長寿の桜として知られており、全国的に名の知られるような桜の巨樹・古木は大抵このエドヒガンだと思います。


はるか古の時代より人々を愉しませてきた桜の巨樹。全身をジャングルジム状の固定柵で覆われて満身創痍の状態ではありますが、花の付きや樹勢は「淡墨桜」より良いように見えます。これがまた地域の方々の、それこそ血の滲むような努力の結晶であることはまた後述いたしますが。


眼下に広がる風景と相まって何とフォトジェニックな景観か。もうシャッターが止まりません。
さっきもこの辺から撮ったよな?なんて考えながらも、ついパシャパシャと似たような写真を量産してしまいます。


国指定天然記念物「樽見の大桜」。江戸時代の儒学者、桜井舟山の命名で「仙桜」とも呼ばれています。
こちらにも記載されていますが、一時は樹勢の衰えが深刻な問題になっていたそうです。
樹勢回復のため治療を続けており、現在の姿にまで回復しました。


こちらが側の東屋に貼られたその「樹勢回復のための治療」の詳細です。他にも色々と興味深い資料が貼られていたので読み込んでしまいました。画像では読みにくいかと思いますので、こちらに文字で書き起こしておこうと思います。多くの人の目に触れることを目的とした資料のはずなので転載は問題ないだろうという勝手な判断ですが、権利者の方が不快に思うようであれば削除します。

(かなり長いので興味のない方は読み飛ばして下さい。ただ、理解を深めると、大桜を愛でる気持ちもより深まるような気がします。)

樽見の大桜の治療
樽見の大桜は、樹齢千年ともいわれる古木です。大きな幹の中心部は腐って空洞になっています。このため樹木が自分の重量を支えられなくなり、幹が縦方向に裂けて割れ目が入っています。また大きな枝も枯れています。対策として昭和47年、大屋町が大桜付近の土地1,000平米を買い上げ、樹木を伐採して日当たりを良くしました。また昭和1年には10,000平米に土地を拡大し、大桜に支柱を設置しました。そして平成9年から樹木医による樹勢回復を進めています。

樽見の大桜を復活させる取り組みは、樽見区の樽見大桜保存会をはじめ、兵庫県樹木医会の松元廣美氏・段林弘一氏・宮田和男氏・鳥越茂氏。樹木医の安田邦男氏、神戸大学の武田義明氏、養父市大屋町の尾崎弘明氏など多くの人々が尽力しています。

樹木医による治療
治療のポイントは7点あります。第1、桜の幹が自力で枝を支えられないことから鉄製のジャングルジム支柱を作って樹木を支えています。第2、桜の周囲に作を設置して立入を禁止し、根の付近の土が踏み固められない対策をとっています。土が固まると根が枯死します。第3、鉄管から水圧20kgで深さ約1mまで水や肥料を入れ、穴にはスーパーソイル(粒状改造土)を入れて土壌改良を実施しています(グラニューインジェクション法)。第4、定期的に水を与える自動水装置を設置しています。第5、腐朽部等を治療し、枯れ枝を切除します。枯れ枝を放置すると腐れが広がり、腐朽菌も発生します。第6、木柵で囲って鹿の食害防止対策をしています。

そして一番重要な治療が第7として、不定根(ふていこん)の育成です。地上から数m上の幹の間から栄養を求めて、春に細いヒゲ根が出現します。これが不定根です。しかし夏には乾燥して枯れてしまいます。このため不定根にミズゴケを巻いて水をやりながら地面に到達するまで育成します。現在、5本の不定根が地面に到達し、幹のバイパスとなって養分を直接、枝に運んでいます。このため新しい枝が伸びて花の量が増大しました。


ええ。一目見たときから何となく察していました。樽見の大桜本体は既にそのほとんどが枯死しているのではないか、と。かろうじて生命活動を維持している大桜の幹を苗床にして新たな若い枝を着生させようとする試み、と言って良いかもしれません。枝も大桜の一部であることに間違いありませんが、淡墨桜と同じく、巨樹そのものとしての生命は風前の灯火であるように見受けられました。もっとも、全国に名を馳せる他のエドヒガンの巨樹も同様の状態であろうことは容易に想像できます。


失礼な例えかもしれませんが、どことなく全身を管で繋がれた老人を思わせられます。ここまでして桜の巨樹を延命しようとする行為が自然界において善であるのか悪であるのか、私には判断できません。しかし、こうして懸命に生きる一本の巨樹を人間が絶対に死なせまいと懸命に治療するその行為自体は美しく、そして強く胸を打つものであり、だからこそこの風景が見る者の心に響くのだと思います。うん。桜の木を眺めて、ここで解説文を読んで。何だか感動してしまいましたよ。私は。


本当に素晴らしい眺めです。江戸時代には出石藩主、小出英安候も見学に訪れたとされる大桜。我々の次の世代も、そのまた次の世代も、同じようにここからの眺めを見て感動してもらえたら。そう願わずにいられませんし、保存会の方々はその一念で尽力されているのでしょう。頭が下がります。早朝にもかかわらず既に数名の方がいらっしゃってましたが、皆さん一声だけ挨拶したらあとはそっと距離を取る…と、なかなか気持ちの良い感じでございました。一人だけ発達障害っぽいおじさんが、誰か桜に近付く度に「あいつ邪魔だな!」とか「アーッ!」とか喚いていて実に不快でしたが。(もちろんここに写っている方々は無関係ですよ?)桜は別にカメラマンのために立っているわけではありませんからね。近付いて花を眺めようが木の麓で香りを楽しもうが自由なわけです。まあその手の輩はきっと死ぬまで治らないのでどうでもいいですが、他人のふり見て…ということで、ああいうキ○ガイおじさんにならないように気を付けたいものです。ホント。


少しずつ雲が晴れ、麓に広がる集落が見え始めました。ここから登山コースになっていて「口大屋の大アベマキ」まで90分ほどで歩けるみたいなのですが、この行楽シーズンに長時間駐車場を占拠するというのも迷惑極まりないので今回はスルーして下山することにします。(結局偶然別ルートを発見して訪問できました。薄暗い山中を1時間ほど遭難することになりましたが 笑)それにしてもこの養父市や朝来市の巨樹はどれもこれも周辺の環境が良すぎますね…巨樹そのものもさることながら、この高原地帯特有の空気の気持ちよさは本当に格別です。兵庫県山間部はなかなか多方面からのアクセスに難のある地域ですがおすすめですよ。

「樽見の大桜」
国指定天然記念物
樹齢 約1,000年
樹高 13.8m
幹周り 6.3m

兵庫県養父市大屋町樽見字ケジメ85番地

コメント:4

19-04-15 (Mon) 20:46

巨樹を追いかけていて、別に花が咲かない樹でも魅力は十分ある……なんて思ってはいますが、桜の巨樹のすごいのを一度撮ってしまうと、どこかしら心を引っ張られてしまうようです。
蜜を運ぶ昆虫みたいに、春の間は桜の巨樹に振り回されてしまいそうで……笑

この立地にしてこの姿。すばらしいですね。こうやって何百年も孤高で下界を見下ろしていたんだなあと胸が熱くなります。
エドヒガンということですが、朝の光のせいもあってか、花がずいぶん白く見えますね。
立地も山の中だし、ひょっとすると山桜の血が入った「望月桜」なのかも?? などと思ってしまいました。
ここまで歳を経ながらも枝から直接養分を吸って花の量を増やしたり、生命力が強いところも、どこか山桜的に思います。
園芸種であるソメイヨシノにはできないであろう野生の尊さを感じますね。

そしてそして、この桜に魅せられ、どうにか生きてほしい! と力を尽くす人々の心がまた熱いですね。
やっぱりこの姿を見てしまって、虜になってしまったのではないでしょうか。
ついでに、早朝アタックで訪問した上、この説明文を全部書き起こすto-fuさんも熱い。ありがとうございます。笑
こんなに素晴らしい桜があって、年々発達する学問や技術があったとすれば、そこになんとか活かそうとするのは人間として正しい行いだと思います。
都市を拡大して自然を作り変えてきたことへの無意識の贖罪でもあるかもしれません。
こうして寿命を延ばしてくれたことで、今年この姿を見ることができたということに感謝したいと思いました。

RYO-JI 19-04-15 (Mon) 23:40

桜は日本人にとってはやはり特別な存在ですね。
それどころか、いまや海外からも桜を見ようと来日客が増えているみたいで。
さすがにここまではやってこないでしょうけれど。

ジャングルジムに覆われた姿は痛々しいとしか言いようがありません。
しかも治療中の様子もダイレクトに目に入ってしまうし、ただキレイだなぁと見て帰る桜とはまったく違いますね。
資料も読ませていただきました。
賢明な治療が行われているんですねぇ。
たった一本の樹に対してそこまで・・・と思う人もいるんじゃないでしょうか。
延命の良し悪しは別にしても、この姿を見たら、ただ素直に感動するでしょうね、私も。
存在してくれてありがとうと言いたいです。

そしてこの環境はなんとまぁ幻想的で素晴らしいじゃありませんか。
いい写真をありがとうございます。

to-fu 19-04-16 (Tue) 13:19

> 狛さん
開花時期が短いだけに蝶や蜂のように、今見ごろなのはどこだ!?と探し回ってしまいますね。
4月に入ってから開花情報のサイトを何度見たことか。数え切れません。

仰るとおり、花弁は純白に近かったですね。先日見た淡墨桜とも随分色味が違いました。
散り際に薄墨色を見せるという淡墨桜といい、同じ品種でも気候などの様々な条件で姿を変えるのかもしれませんね。
延命行為の良し悪しはともかく自分がこの地に生きていたとしたら、やはり何としてでも命を救おうと躍起になっていると思いますね。何百年も、それこそ千年以上続いてきた景色が自分の代で途絶えてしまうというのは悲しいことだと思いますから。

いや本当に虜になってしまったかもしれません。
神がかって見えた淡墨桜よりもこちらの方が身近に思え、来年以降また再訪するならこちらが優勢かな?という感じです。

to-fu 19-04-16 (Tue) 13:29

> RYO-JIさん
今やどこに行っても外国人観光客がいて驚きます。
本当に、せめてこういうポイントだけはそっとしておいてほしいですねえ。

その姿が痛々しいが故に心に訴えかけるものがある素晴らしい桜でした。
円山公園の桜のようにただ手放しに美しい!と感動できる桜も良いですが、巨樹巡りを始めてからは見た後に何かがずしっと胸の奥に残ってしまう、そんな木にこそ魅力を感じるようになりました。

かなり遠いですが、RYO-JIさんもぜひ!
きっと気に入っていただけると思います。

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