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高知県長岡郡大豊町 六社聖神社のスギ


SONY α7RIII / SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G

国の特別天然記念物「杉の大杉」の興奮冷めやらぬまま、比較的近くに位置するこの「六社聖神社のスギ」を目指しました。事前に仕入れてきた情報によると幹周9.1m。日本を代表する特天のスギと比べたら見劣りするかもしれませんが9.1mといったら相当なものです。しかし国道32号線を外れてからの山道。これがまた凄まじい狭路で…本当にこの道で合ってるの?と不安になるくらい。いえ、実際不安になって地元の方に道を訪ねたわけですが、ともあれ現地に到着しました。おお、これは立派なスギですよ。


幹周9.1mということですが、とてつもなく急な斜面にへばり付くように生えているため実物からは数字以上の迫力が感じられます。巨樹のサイズ測定のレギュレーションでは鳥居のてっぺんから下くらいまでは測定の対象外になってしまいますからね。そんなものは人間が勝手に決めた基準に過ぎないわけで、その切り捨てられた箇所がこのスギの一番「ぶっとい」ポイントになるのですから、それだけの迫力を感じるのも当然のことかと思われます。


早めに白状してしまいましょう。

実は私、このスギが本当に素晴らしい巨樹だということを頭では理解していながら、あまり集中して向き合うことができませんでした。だってこの目の前に広がる絶景を見てくださいよ。季節は5月、雲ひとつ無い青空に散策には最適の気温、そこに心地良いそよ風が吹いているわけです。スギよりもこの景色に感動してしまって。ああ、この景色は今でも脳裏に焼き付いています。


集中できない理由がもう一つ。怖いんです 笑
足元には幅大体1mくらいの畦道があるばかり。写真だと高さが分かりにくいかもしれませんが、これ左側は延々続く急斜面なんです。ちょっと突風でも吹こうものなら麓までゴロゴロ滑落しちゃうんじゃないの?という恐怖が。そこまで高いところが苦手だという意識は無いんですが、この立地には流石に足がすくみましたね。

それにしてもこんなところ(こんなところとは失礼ですが)にも斜面に張り付くように家が建っていて、この滑落イコール死に繋がりそうな場所が普通にみかん畑になっていたりするんですから、これはもうカルチャーショックという以外の何物でもありません。じいちゃんばあちゃんが平然と収穫しているんでしょうねえ。どんな足腰してるんだろう。


恐る恐る階段を登り、神社の境内に足を踏み入れます。ええ、もちろんここも恐怖の階段でfす。滑り落ちようものならそのまま一気に滑落不可避。俺は一体何をやってるんだ。巨樹なんかもういいだろ。そんな心の声が聞こえます。スギですか?もちろん立派です。経験豊富な諸氏ならお分かりのことと思いますが、幹周9mクラスの巨樹なんて凄いに決まってるんですよ。(怖さのあまり投げやりになる)


1本真横にせり出した大枝がトレードマークでしょうか。その他は本当、まさに実直といった立ち姿でズドンと真っ直ぐに天を目指して立っています。周囲が鬱蒼としているので全体像が掴みにくいですが樹形の綺麗なスギです。


気の抜けた狛犬さんがお出迎え。これはいいですね。巷では巨樹マニアの推定1万倍の人口を誇るとまで言われている狛犬マニアの方にとってもたまらない逸品でしょう。


社殿(祠?)側から見た姿。一見すると巨樹には見えない、すらっと伸びた美しい立ち姿です。実際にはこれが9mクラスなわけですから巨大な柱が屹立するような迫力があります。


そして、社殿近くから見渡す風景。ちょうどタイミングよくアンパンマン列車が走っています。長女がまだ小さい頃あれに乗ったなあ…なんて昔を思い出して涙しそうになりました。そう、かのやなせたかし氏の故郷ということで高知県にはやなせたかし記念館、アンパンマンミュージアムがあるんですねえ。当時はもちろん岡山から直行してどこにも立ち寄らず直帰しましたっけ。今思えば勿体ないことをしました。主に地酒的な理由で。


高いところが大の苦手というRYO-JIさんですら頑張っているのですから、私も階段から巨樹の姿を抑えておかなくてはなりません。(現地には撮影スペースがほぼ無いので、事実上この階段くらいからしか巨樹の姿を捉えられません。)全体重を足の裏にかけ、それこそ地を這うようにへこへこと階段を下ります。


泣きそうになりながらもファインダーを覗くと恐怖も忘れて…いえ、半分くらいは忘れて興奮してしまうんですよねえ。やはり良いスギだこれ。撮影できる角度が限られているので似たようなカットを量産することになりますが、それでも楽しくて何回も何回もシャッターを切ってしまいました。


そして巨樹を離れての大パノラマ撮影会。ああ、こんなときこそ超広角ズームを持って行ってたらなあ。今なら所有するタムロン2.8/17-28もこのときはまだ発売前だったので。撮影に集中できなかった巨樹も含め、ここはもう一度訪れてじっくり撮影してみたい。三脚を構えて星景写真なんて撮ってみても素晴らしいものになりそうです。


立ち去る前の挨拶がてら最後に遠景を一枚。普段は一人で好き勝手やっているものですから、三人揃ってそそくさと車から降りてはササッと撮って車に戻っていく、あの感じが堪らなく面白かったです。もちろん一人気ままに再訪してみたいとも思いつつ、やっぱりまたあのメンバーで再訪できたら最高だろうな…と考えずにいられません。このエリアの運転は勝手知ったる狛さんにお任せして… 笑

2019/5/22訪問
「六社聖神社のスギ」
樹齢 330年
樹高 38m
幹周 9.1m

高知県長岡郡大豊町日浦104

コメント:4

RYO-JI 20-01-08 (Wed) 21:46

あ、スミマセン、またコメント入力前にEnter押してしまいました(汗)。

この杉もそうですが、ここからの眺めが本当に良くて忘れられないんですよね。
一生心に残る光景だと大袈裟じゃなく思います。
志を同じくする友とあの感動を共有できたからこそ余計にそう思うのでしょう。
そういう意味で今後も色々な所でサミットやりたいですね。
あのスリル感をまた味わいたいのか?と聞かれると躊躇してしまいそうですけど(笑)。

to-fu 20-01-09 (Thu) 13:51

> RYO-JIさん
このEnterで投稿されてしまう機能、潰せないんですかねえ…申し訳ありません。

あの神の庭のような眺めはもう忘れることができないでしょうね。
もし自分が巨樹に興味がなかったとしても、あの景色を見られただけで十分満足してしまいそうなくらい素晴らしいものでした。

次回のサミットはやはり特天…ということで「縄文杉」でしょうか 笑
いえ、冗談抜きに鹿児島の「蒲生の大クス」とか是非見てみたいんですけど…
現実的に距離を考えると、新潟や富山、長野あたりが中間地点になるんでしょうかねえ。
うーん。そのあたりの巨樹はあまり詳しくありませんが、とにかくお酒とアテには困らなさそうですね。

20-01-10 (Fri) 9:27

好きな樹です。笑
巨樹にはさまざま評価する観点があり、社会的・生物学的な価値なんかも入ってくるとは思うんですけど、この樹はそんなのからはまるで無縁のところにこうして居るところが、とても好きになりました。
なんと言っても、この幹がはるか下界を見下ろしている姿が一番印象的です。こわい。すごい。
こうしてずっと何百年もこの景色を見下ろしていたんだな……と思うと、それだけで感動に胸打たれるものがありました。
季節がまた最高。停めた車が迷惑にならなければ、この石段に腰掛けてしばらくぼーっとしていたかった。
今思い返してみると、他もいろいろあったのに、どうしてこの樹を選んだんだろうとちょっと不思議に思います。あの景色を見ちゃったら、我々、樹に呼ばれたのかもと思わずにはいられませんね……。
ほんと、巨樹そのものだけでなく、旅の途中でいろいろなものを見させてもらっていると実感します。


そう、次サミットのことを考えてましたが、妥当かつ楽しめるところで富山・上越コースは推したいところです。
あの辺は行って損はない! ほんとに個性的で強力なラインナップを有していると思います。風景も綺麗。
しかし、それはキープとしておいて、勢いがあるうちに九州!という案だってありますよね。僕もそう思います。
楽なのは飛行機で行ってレンタカーか……? また車で行くと大変なことになりそうだけど、でも充実度を考えると……しかしそうするとまた九州から自走で帰ってこようとか……ああ……。

to-fu 20-01-10 (Fri) 18:13

> 狛さん
狛さんの冷静な巨樹評を読んでいるとやっぱりもう一度このスギに会いたくなってしまいました。
自分はもう完全にやられてましたからね。あの絶景、そして直前に見た杉の大杉…ああ忘れちゃいけない、ひょっとしたらあの
ひばり食堂のハイボリュームカツ丼でお腹いっぱいになって感性がぼやけていただけなのかもしれません 笑
あの場所にもっと長居したかったというのは完全に同意です。途中に駐車できそうな場所もありませんでしたし、ああいう場所になると本来はバイクで行くべきなんでしょうねえ。

富山・上越コースは凄そうですね。やはり目玉は魚津のあの登山ルートになるのでしょうか。一人だとクマ的にも不安なので、もし三人で行けるなら心強いです。
鹿児島なら流石に私もヒコーキになりそうです。本音を言うと下道をのんびり巨樹めぐりしながら…と行きたいところですが
それをやってしまうと帰宅後確実に仕事と家族を失ってウラシマタロウ状態になると思います 笑
いやでもホント、魚津のアレはぜひ行ってみたいので、既に訪問されている狛さんがよろしければ富山上越ルートはとても興味深いですよ。え?別にお酒とアテの美味しさで推しているわけではありませんよ?

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