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和歌山県東牟婁郡那智勝浦町 那智の樟


SONY α7RIII / SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art
LEICA Q

熊野を詣でるなら三山の中でも特に外せないのがこちら熊野那智大社。「大門坂の夫婦杉」から始まる大門坂の素晴らしさについて書き連ねてきましたが、肝心のこちらの巨樹について書かずじまいとなっておりました。麓から徒歩で大門坂を登ってきた諸氏には説明不要と思いますが、この鳥居の前に立った時点でその感動は筆舌に尽くしがたいものがあります。ついにここまで来てしまったか。意識だけが身体を離れてふわふわ浮いているかのような非日常感。ええ、とにかく一息ついて拝殿を目指すことにします。

※なお初回訪問は2020年2月。その後2021年3月、4月と複数回訪れており、クスの状態に大きな変化が見られなかったことから写真はそれらの訪問時のものをごちゃ混ぜに掲載しています。


まずは参拝を、と。おおお…巨樹愛好家ならずとも、この光景にはつい息を呑んでしまうのではあるまいか。麓から石段を登って来て火照った体に心地良いそよ風が吹き抜ける、そして目の前にはこの光景。ええ。ごく控えめに言っても最高です。この一瞬のために今すぐ那智を目指したくなるくらい。


クスそのものも勿論素晴らしい巨樹です。しかしこのロケーションの良さよ。大門坂からここまでの道のりって実は何者かによって計算された壮大な脚本なのでは?と疑ってしまうほどパーフェクト!うーん…もうこのサイトではしつこいくらいに書いてきましたが、事情の許す限り是非とも大門坂駐車場から徒歩で参拝していただきたい。あの疲労感こそが最高のスパイスだと思うのです。お刺身に対するわさび、そして焼さんまに対する大根おろしのような(例えがチープすぎる)。


和歌山県指定天然記念物「那智の樟」。樹齢850年はクスの巨樹としてはトップランカーたちの後塵を拝すものの、それでも相当なものです。色々つっこんでしまうと県下でも珍しいクスの大樹というのも語弊があって、県西部(和歌山市側)には数多くのクスの巨樹が揃っているので、県東部では珍しい~が正しいのではないか、とか。まあその東部にしても少し北上して三重県に突入すると、幹周10メートルクラスのクスがわらわらと…いえ、何でもありません。

つまりまあ、このクスの一番の魅力は大きさよりもそのロケーションにあるのではないか。私はそう思うわけです。


流石の貫禄。この山奥で何百年にも亘って雨風に耐えてきたその年季は伊達ではありません。


私が訪問したのが2月~4月のまだ肌寒い時期ばかりだったことも関係するかもしれませんが、それでも葉の付きはあまり良くないように見えました。すこし葉がスカスカだなと。樹勢旺盛なクスの巨樹であれば冬の時期ですらこんもりした森のような姿で迎えてくれます。


こちらのクスの麓から眼下に広がる景色を眺める。これがまた最高なんですね。これを登って来たのか…という感動。感無量です。ここは是非ともあたたかいお茶と那智黒飴(この辺の土産物です)がほしい。この景色は是非ともまず現地で、自分の目で楽しんでいただきたい。ということで非掲載にしました。はい。


場所が場所だけに平日の早朝から参拝者の姿もぼちぼちと。この賑わいをを少しだけでも「大門坂の大楠」に分けてあげたい。ベンチに腰かけてクスを眺めながら、ついついそんなことを考えてしまいました。


胎内くぐりできるくらいなので、幹の内部は相当大きく空洞化しているものと思われます。思われます、と曖昧な表現なのは私が胎内くぐりをしていないから。何となく痛んでいると分かった上でクスの内部に入って…という一連の流れが気の毒に思えて。


拝殿裏手(那智の滝側)から。拝殿正面に向かって見ると美しい樹形のようにも見えたクスですが、こちらから見ると実は結構いびつな形をしていることが分かる。いえ、裏側から見ても充分立派なクスですけどね。


帰り道、ふと見上げると「もう30分くらい過ごしても良かったのでは?」なんて名残惜しさを感じる。こう感じるのだから間違いなく良い巨樹です。まるで神の国、それとも桃源郷にでも立っているかのような、どこか浮世離れした大クス。あまりにもロケーションが良すぎるのでそれに盛られている感は否定できませんが、それも含めて巨樹の魅力だと思うのです。書籍やWebの世界から飛び出して現地のリアルな空気を味わう。それもまた巨樹めぐりの魅力、ということで。

2020/2/5 初回訪問、2021/3/5・2021/4/20再訪
「那智の樟」
和歌山県指定天然記念物
樹齢 伝承850年
樹高 27m
幹周り 8.5m

和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山1

コメント:4

21-09-07 (Tue) 8:18

つくづくクスの巨樹とは距離が空いてしまいました。
こちらでは全く見かけないので、それだけで異国情緒のような感じを抱いてしまいます。
この巨樹が一本あるだけで神社全体が森の一部に溶け込んでいる。素晴らしいスケール感ですね。

そう……ネット上のアーカイブを作ることはできても、それも現地での体験があってはじめて意味があることですね。
そこまで義務感や使命感でやっているわけではなく……自分の場合は楽しみたいだけで。
こうした都市から隔たった山の空気をまた吸える日が待ち遠しいです。

to-fu 21-09-07 (Tue) 15:10

> 狛さん
埼玉県くらいまではクスの巨樹も散見しますが、北関東まで行ってしまうと途端に見かけなくなりますね。
クスの大物としては「上谷の大クス」なんかが北限になるのでしょうか。(あれも良い巨樹だったなあ…また行きたい。)

仰るように自分の楽しみのため、その場で感じたことを書き残すためというのが第一ですね。
もちろん自分のログを見て巨樹に興味を持ってもらえたら幸いなことですが、それを意識して記事を書いても仕方ありません。
巨樹めぐりは既に精神を平静に保つための生活必需品になってしまったので、今後時代がどう動こうとも
上手く付き合い続けて行けたらいいなあ、と思います。

RYO-JI 21-09-07 (Tue) 21:29

そうですねぇ、もう少し足を伸ばして三重県に入れば更に立派なクスがワラワラしている訳ですが、
このクスはその立地にあるからこそ存在意義が際立ちますよね。
私が訪問した時は巨樹に特段の興味を示していない頃でした。
だからこそ何も考えずに胎内くぐりしちゃいましたけど、今なら絶対にしないですね。
にも関わらずとても印象に残っているのは、場所が場所だけにやはり特別な何かを発しているように思います。

to-fu 21-09-08 (Wed) 15:10

> RYO-JIさん
三重南部はクス王国ですよね。私はまだ、あのエリアを充分に回りきれておりません。
RYO-JIさんは西国三十三所で来られたと仰ってましたよね。
それにしても第一番から青岸渡寺とは!ハードすぎてビックリです。

私も昔訪問していたら普通に胎内くぐりをしていたと思います。茅の輪くぐりとか、やはり気分がシャキッとしますからね。
もう少し近ければ…と思わなくもないのですが、あれだけ遠くにあるから有難みも増すのかもしれません。本当に特別な場所です。

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