Home > Leitz Summarit 50mm F1.5 "山崎ズマリット" | OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro | カメラの話 > 山崎光学写真レンズ研究所で山崎ズマリットとして生まれ変わる

山崎光学写真レンズ研究所で山崎ズマリットとして生まれ変わる


OM SYSTEM OM-1 / OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro

昨年10月に購入したLEITZ SUMMARIT 50mm F1.5。前玉拭きキズあり、中玉に薄クモリありで6万円ほどの個体でした。
ええ、新宿の山崎光学さんで所謂”山崎ズマリット”として生まれ変わらせるために購入した傷物の中古品。
購入時の条件は「外装きれい、ヘリコイドや絞りリングの動き良好、カビ無しの極力安いもの」でございました。
山崎さんはあくまでレンズの研磨、コーティング屋さんなので、オーバーホール的な調整となると専門外なのでは?という判断です。

山崎磨きを依頼してから4か月の時を経て昨日ズマリットが帰ってまいりました。
約4か月、費用は34000円。レンズの元値と合わせると9.5万円ほど。
美品ズマリットの中古相場は13~15万円ほどなので、山崎光学の再コートレンズがそれ以下の値段で手に入ったと思えば上々ではないでしょうか。

受け取っての第一声は「美しい!」
ええ、これはお願いした甲斐がありましたよ…


修理依頼中に入手していたズマリット専用のUVフィルターを装着。
せっかく再コートされたズマリットですが、元々が1950年代に製造されたレンズなので硝材が非常に柔らかくてキズ付きやすい。
山崎さんも「貴重でとても良いレンズです。出来ることならキズ防止のレンズフィルターを装着して撮影してください。」と仰っていました。


ワタクシ既にズミクロン50mm 1stを山崎ズミクロン化したことがあるので分かってはいましたが、それでも想像を超える素晴らしい美しさでした。
クモリレンズにもそれはそれで味がある。しかしこのスカッと抜けるガラス玉の美しさを見てしまうと…ねえ。
意味もなく絞りリングをカチカチ弄り、その姿に惚れ惚れしてしまうくらいですよ 笑


LEICA M10 / Leitz Summarit 50mm F1.5 “山崎ズマリット”

ここからは試し撮り。
全てLEICA M10の撮りっぱなしJPG。設定は全てデフォルトのまま撮影してリサイズ以外の処理は一切行っておりません。

これがあのズマリット…だと?
初代ズマリットの眠い描写をご存じの方からすると信じられないクリアさではないかと。
もちろんあの眠さもオールドライカの個性であり、あれはあれで良いものだと理解はしているのですが。


ボケの暴れっぷりはまごうことなきズマリット。
しかしレンズのヌケの良さは全くの別物です。


少し撮り歩いてみて思ったのが「これでもうズミルックス 2ndは要らないな…」でした。
描写の面でもヌケの面でもズミルックスを凌駕する上に、やはり山崎磨きを経たことでモノとしての愛着が段違いなのです。


意地悪な逆光撮影。
これも元々のズマリットの描写を知る方なら驚きの結果では?


オールドレンズの持つ個性を打ち消すという意味では賛否両論の山崎磨き。
ただ個人的に思うのは、世間でズマリットらしさと言われているものは本当にズマリット本来の描写なのだろうか?ということ。
実は本来これだけ写るレンズだったものが、単に経年劣化で眠い描写に変わっているだけなのかもしれない。
山崎磨きはそれを本来の状態に戻しているだけとも考えられないだろうか。ええ、勝手な妄想の世界ですけどね。


とはいえ、人間が歳を重ねて少しずつ衰えていくように、写真機材も同じように歳を重ねて朽ちていってほしい。
そんな気持ちもよく分かります。結局のところ正解なんて無いのでしょう。

個人的には素人から素人へと流れるうちに雑な手入れをされて本来の力を失ってしまった希少な骨董品が現代の名工の力で即戦力へと蘇る。
そういうものを大変好ましく捉えております。良いモノを手入れしながら一生モノとして使い続ける。男のロマンだなあ。
鍛冶屋のおっさんが錆びついた剣を打ち直すことで最強の聖剣として生まれ変わる、なんてRPGでもベタベタの展開ではありませんか。

いつか余裕ができたらズマロン35mm(L39)も山崎ズマロン化して使ってみたいですねえ。
山崎さんが元気なうちにお願いしないとな…

コメント:2

RYO-JI 23-03-03 (Fri) 22:21

SUMMARIT 50mm F1.5、何度も欲しい→諦めるを繰り返したレンズです。
山崎磨きの凄さはto-fuさんの喜び?興奮?からも充分に伝わってきます。

「希少な骨董品が現代の名工の力で即戦力へと蘇る。」
私もそのロマンに浸りたいタイプ(笑)。
そういうレンズを手にしたら余計に愛着が湧いて絶対に手放したくないレンズになるでしょうね!

to-fu 23-03-04 (Sat) 17:40

> RYO-JIさん
昔は不人気レンズの筆頭に出てくるくらい安かったんですけどねえ。
3万円で購入したズマリットを手放してしまったことを後悔しています…

自分が生まれるより遥か大昔に作られたレンズで写真を撮影できる。素晴らしいことです。
今あるオールドレンズはもう二度と増えることがありませんから、ケアできる職人さんは本当に希少な存在だと思います。
オールドレンズは千円のタクマーですら愛着が湧くから不思議です。現行レンズは良く写りますが、別にモノとしては愛着が湧かないんですよねえ。

コメントフォーム
Remember personal info

トラックバック:0

このエントリーのトラックバックURL
https://withphotograph.com/wp-trackback.php?p=27936
Listed below are links to weblogs that reference
山崎光学写真レンズ研究所で山崎ズマリットとして生まれ変わる from with photograph

Home > Leitz Summarit 50mm F1.5 "山崎ズマリット" | OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro | カメラの話 > 山崎光学写真レンズ研究所で山崎ズマリットとして生まれ変わる

CATEGORIES

Return to page top