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奈良県十津川村 神代杉


SONY α7RIII / SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G

玉置神社に到着してひとしきり雲海を眺めたら、早速鳥居をくぐります。入口の案内板によると目的の神代杉(じんだいすぎ)が待つのは本殿の裏手らしい。境内にそびえるスギの巨樹群そのものが県の天然記念物に指定されており、早朝の清々しい空気とその巨樹群をを楽しみながら本殿に向かっていると、何やら異形の巨樹が見えてくるではありませんか。まさか…いや、でもあの巨樹は本殿の裏なんでしょ?


これは…案内板も何も無いけど間違いない。神代杉だ。参道が本殿の裏を通っているなんて完全に盲点だった。
この一見本当にスギなのかと見紛うような異形の姿、白骨化しつつあるゴツゴツした樹皮。唐突に現れたため心構えが出来ておらず、目の前に立つ巨樹の貫禄に頭の回転が追いついていなかった感は否めませんが、その立ち姿はあの「石徹白の大杉」と双璧をなすと言われるのも理解できるほどの神々しさでした。


少し寄ってみました。樹齢3,000年とも伝えられるその風格を言葉で表現することは本当に難しい。私には上手く伝えることが出来ません。そう、巨樹の素晴らしさなんて本来言葉では1%も伝わらないもの。だからこそ会いに行く楽しみがあるわけですが。


しかし感動の対面にいきなり水を差すようで申し訳ないのですが…樹齢3,000年という数字にはいささか疑問を感じます。石徹白の大杉が樹齢1,800年と伝えられていますが、この神代杉が石徹白の大杉よりも歳を経ているとはどうしても思えないのです。あちらの巨樹からはスギという存在から昇華し、大地の母、あるいは神様が立っているかのような暖かさを感じたものですが、こちらの神代杉は非常に神々しい巨樹でありながら、それでもまだスギとしての役割を全うしているように感じます。その違いは樹皮からも明らかで、環境の違いこそあれこのスギとしての原型を留めた樹皮があの全身をヤスリがけしたかのような樹皮よりも老いているとはどうしても思えないのです。

率直に申し上げると私個人としてはこの神代杉から石徹白の大杉ほどのものを感じなかったのですが、決して万人にとってそうだと言うわけではありません。方向性の違いこそあれ、この神代杉も見る人の価値観を一変させることが出来る力を持つ、日本でも数少ない偉大な巨樹であることは間違いないでしょう。上記はあくまでも矮小なワタクシの個人的感想であって、石徹白の大杉より神代杉の方が良い巨樹だ!と仰る方がいたとしても否定するつもりは一切ありません。(大体、石徹白の樹齢1,800年というのが眉に唾なんですよね…あれもっと行ってるでしょ。樹齢1,000年クラスなら何本も見てきたけど、あと800年やそこらであそこまでの姿になるとは考えられない。ひょっとするとこの神代杉の樹齢が正しくて、あちらはもっと歳をとっているのかもしれません。)


このままではダメだ。まだ向き合う覚悟が出来てない。ということで、ひとまず先に本殿を参拝することにしました。(狛さんとRYO-JIさんが「岩屋の大杉」で同じようなことをされていた気が 笑)流石は世界遺産!とでも言いましょうか。本当に雰囲気の良い神社で、早朝1番乗りだと思ったら平日、それも十津川村の山奥にもかかわらず既に数組の参拝者の方がいらしていました。自分が参拝したのが早朝だったからというわけではありませんが、早朝の参拝は本当におすすめです。人は少ないし空気だって違う。本当に空気が緊張感を帯びてピリッとしてるんですよ。神社の方にもゆっくりお話が聞けるし良いことずくめですから。


本殿裏手に回ると神代杉を側面(巨樹に正面も側面も無いんだけど、この巨樹を見たらきっと理解していただけると思います)から拝むことが出来ました。


立派な根本。幹周8.3mと名だたるスギの巨樹たちと比較すると目立つ数値ではありませんが、この姿のせいか数値以上に迫ってくるかのような威圧感を感じます。周囲に保護柵があって触れられないのは少し残念ですが、これだけのスギなら仕方ないことでしょう。そこまで広い柵でもないので、充分に楽しむことが出来ます。


そびえ立つ断崖絶壁のような樹皮。段差のところどころに何か別の植物が着生していますが、あまり苦しんでいるようには見えません。むしろ小さなアクセサリーを着けているようでチャーミングに見えます。


石徹白の大杉と比べると枝振りもまだまだ隆盛。葉にも生命感が溢れています。まだまだ長生きしてくれることでしょう。


参拝後は本殿の近くから駐車場への近道?順路?のようなものがあるのですが、もう一度正面からも見ておきたかったので来た道を戻りました。私としてはどうしても直近(と言ってももう2ヶ月か…)で見ていることもあって石徹白の大杉と比べて見てしまったのですが、このスギのために玉置神社に来たとしても後悔のないくらい素晴らしい巨樹であることは間違いないと思います。うん。また会いに行きたいけど次回は宿をとってのんびりしたいかな 笑


ちなみに案内板にもありましたが神代杉の他にもたくさんの立派なスギが楽しめます。この「大杉」だって国内有数の巨樹ですよ。(根本には幹周10.5mの表記、そして本殿横には幹周11m近くとの表記が…何だかバラバラであれですが、私が見た限りだと案内板の8.7mが一番実物に近い数字だと感じました。10mオーバーってきっと注連縄の下の枝部分の太さまで含めてるんじゃないかな。)


こちらは何故か案内板に書かれていませんでしたが「夫婦杉」。
これだって立派なスギです。京都府内に生えていたらこのスギを見るためだけに出かけるだろうなってくらい。さて、キリがないので紹介はこれくらいにしておきます。

「神代杉」
奈良県指定天然記念物
樹齢 約3,000年
樹高 約40m
幹周り 約8.3m

コメント:4

RYO-JI 18-10-10 (Wed) 21:41

誰が言ったか知りませんが、さすがに「石徹白の大杉」と双璧をなすと言われるとツライかもしれませんねぇ。
サイズ的にも。
対抗できる、もしくは上をいくのは縄文杉くらいじゃないかと・・・。
まぁどっちも写真でしか見たことがない自分の印象ですけれど(笑)。
それでもね、この神代杉は歴史を感じる素晴らしい存在ですよね。
あの玉置神社の荘厳な雰囲気と相まって遠いけれど本当に行って良かったと思えましたから。
自分が行ったのは昼からでそれでもそう思ったのですが、to-fuさんのように早朝だともっと感動できそうです。

to-fuさんの十津川行きをブログで知って驚くと同時に、自分も行こうとすぐさま思いましたが、
残念ながらすでにたんまり飲んでいたので早朝だと吉澤さん状態で運転することになるので諦めました。
遠いこともあって自分一人で行こうと決意するにはかなりの気合いがいるんですが、誰か同行者がいると頑張れそうなんで(笑)。
あとto-fuさんが行ったかどうかわかりませんが、一人で見に行くにはちょっと怖い巨樹もあるので尚更to-fuさんと
同行できれば良かったなぁと。
あのブログに余計なこと書かなきゃ良かったと反省です(笑)。

18-10-11 (Thu) 13:15

十津川……それは日本のチベット……。あの環境の険しさは笑ってしまいますよね。
確かに自分がウブなシティーボーイに思えてきますが、だったら、ぶいぶい言わせてるのはサンカかマタギかゲンジャの方々じゃないの!? とキレて自分を正当化したくなってきます。ほんと、あそこはもう。

ダイナミックで荒々しい魅力に満ちていて、確かにこれは十津川まで見にいく価値がある、神がかった巨樹だと感じます。
柔軟そうなのに荒々しく力強い、なんとも言えない表情。
他の巨樹も単品扱いできないのが勿体無いくらいの高レベル……行って直接見てみたいですねえ。
次回は是非to-fuさんとRYO-JIさんのコンビでの巨樹探検記事も読んでみたいです。すごく面白そう。

相当な樹齢だとは思いますが、確かに3000年というのはどうか……。
おそらく神代ということで、神武サンがいた頃というと現在は皇紀2600年だか2700年みたいな書き方をしますから、それでざっと3000年と言いたかったのかな。
同じく3000年選手と言われている九州の大クスを見ましたが、それぞれの印象があって、なんとも言えずです。
樹種にもよりますが、ここいらで一応確からしい根拠があると思える自分の「樹齢基準樹」を定め、それと比べてどうか? とやってみたいですね。
写真での直感でしかないですが、自分としては、神代杉は700年〜800年くらい? 1000年の可能性もないではないかと推測します。
確かに石徹白の大杉はもっと行ってる気がしますね。あの姿から1800年という歳月の重みを受け止めてしまうと、かなりシビアになってしまって千光寺……。

いやしかし、石徹白の大杉とこの神代杉を両方見て比較できる人って、そうそういないと思いますよ? しかもまだ記憶が新しいうちに……笑 
それだけに、とても貴重な感想だと思いました。

あ、では、そろそろ北海道行ってみます。

to-fu 18-10-12 (Fri) 17:20

> RYO-Jiさん
石徹白の大杉を調べていたときにこの神代杉を知ったのですが、高知県の「杉の大杉」も含めて日本の三大巨杉であるというような評価をされている方が少なからず見受けられました。それ以来ずっと訪問したかったんですよね。玉置神社の神秘性も含めての評価にはなってしまいますが、山奥の神社にひっそりとそびえる異形の杉…と考えると三大巨杉というのもあながち言い過ぎではないかも、という気もします。自分は期待するあまり過分に前情報を仕入れすぎたので少し勿体なかったかもしれません。

そうですよね。当然飲まれてますよね。
今回本当にRYO-JIさんにお声がけしようかと悩んだんですよ。実は直前まで兵庫の奥地を再訪するか悩んでいたこともありまして、決定していきなり「翌朝に出発しませんか?」なんて誘うのも人としてダメだろうということで断念いたしました 笑

その場所はきっと僕も行ってない場所だと思います次回はぜひ同行させて下さい!
ほぼ直線を繋ぐ京奈和道のおかげで思ったよりずっと京都から近かったので、いつでも行けますよ。

to-fu 18-10-12 (Fri) 17:35

> 狛さん
恐らくですが、山道は狛さんが訪問された際よりもずっと走りやすくなっていると思いますよ。
最近できたと思われる立派な道路が続いていて、どんな酷い道なんだろうと期待?していた自分としてはちょっとガッカリしてしまいました。イノシシにタックルされるだとかサルに投石されるくらいのトラブルは覚悟してましたから。しかし僕からすると充分奈良南部と言える五條から、さらに1時間ですもんね。確かにすげえところです、あれは。日本のチベットという呼称にも納得してしまいますね。

そうですね。僕もせいぜい1,000年弱。環境の違いも考慮して甘めに見積もったとしても半分の1,500年も生きてないだろうと感じました。とても神聖で素晴らしい杉ではあるのですが、あまりにストーリーを盛られてしまうと見る側としてもちょっと穿った見方をしてしまうと言いますか、これはまあ単に僕が捻くれているだけなのかもしれませんけど 笑

次回はRYO-JIさんと関西支部合同で怖い巨樹とやらを攻めてみたいと思います。
狛さんがまたこちらに来られることがあれば、3人で十津川の温泉宿に泊まるのも面白いかもしれませんね。
蝦夷地ネタを楽しみにしています!

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