Home > SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G | トチノキ | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別) | 石川県 > 石川県白山市 太田の大トチノキ

石川県白山市 太田の大トチノキ


SONY α7RIII / SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G

日本一のトチノキの巨樹「太田の大トチノキ」。トチの巨樹あるあると言ってもいいかもしれませんが、ここへ来るまでの道のりもなかなかハードなものです。勝山方面から国道157号線を北上、堂の森神社向かいにある未舗装の林道を突き進んだ先に待つこのトチが視界に入った瞬間はちょっと感動してしまいました。一応巨樹の目の前まで車で乗り入れることが出来ますが現地は紛争地帯の国境越えかと思うような凸凹の悪路の連続。ええ、私も路面の凹凸で車の底を擦りましたとも。車を傷付けたくない、汚したくないという方は素直に林道入口に駐車して徒歩で向かうことをオススメします。


どれが大トチノキか…説明不要ですね?駐車してからずっと視界の端に異形の物体がチラついているものですから気になって仕方ありません。いやいや落ち着け。私は敢えてこの物体を視界に入れず、まず近くにある「太田の子トチノキ」を見てから改めて大トチノキと対面しました。これらの写真を撮影しているのは子トチノキでアブ軍団の洗礼を受けた後、ということになります。そういえば、何故かは分かりませんが大トチノキの近くにはあまりアブがいませんでした。一体何なんでしょうね。いないに越したことはありませんけども。

これだけの山奥にありながら、国の天然記念物ということもあって周辺はそれなりに手入れされています。大トチノキの周囲は木製の通路が貼られていて、そこから鑑賞することが可能。先人方のログを拝見するとトチノキの根元に立ち、並んで写真を撮っている方も…私の感覚ではこれは通路から鑑賞して下さいね=通路を下りてトチノキに近付いてくれるなよ?だと思うのですがいかがなものか。まあ近付きたい、触れたいという気持ちはやまやまですが、マナー良く見学したいものです。


ここで一旦案内板を見ながら気持ちを落ち着けることにします。なんと樹齢約1,300年!流石は日本一のトチノキ。
実は昨年末にもこのトチノキを訪問したのですが、落葉していることもあり全く生命感が感じられなかったので記事にしていなかったのです。今回は初夏ということもあって全く違った姿…この巨樹本来の姿を見ることが出来て本当に良かった。今でもまだまだ現役、元気に実を付けているのだそうです。


それにしても凄まじい大きさ、そして枝葉にみなぎる強い生命感!冬に見た枯れ木のような姿を思い返すと、本当に同じ木だとはにわかには信じられないくらい。どっしりと仁王立ちする巨大トチノキからは森のヌシのような貫禄が感じられ、間近で眺めていると何だかもう無条件に「へへーっ!」とひれ伏してしまいたくなるくらいの存在感があります。


ええ…だって初見がこの姿では、ちょっとがっかりしてしまうではありませんか。もののサイトで拝見する限りではまだまだ健康であると書かれている巨樹に会いに来てみたら、え?このトチ、生きてるの?と問いかけたくなるような姿を晒しているのですから。この姿を見て近いうちに葉が付いた姿を絶対に見に来ようと心に誓ったわけです。(この時は小トチノキもスルーしてさっさと下山しました。)


それにしても凄い量の雑草…自分の腰くらいまである雑草がウッドデッキ上にもわっさわっさと覆い茂っていて、正直なところ毛虫やマダニがいないかと結構不安でした。(実際に黄金の巨大毛虫を発見。ウルトラ毒々しい奴。ああ、子供の頃に岩手県の小岩井農場で刺されたことがあって、毛虫はホント苦手なんですよ。)夏場はあまり人が来ないんでしょうかね…冬場は積雪で完全に通行不能になるはずなので、それならいつだったら人が来るんだとツッコみたくなりますが。


それにしても何なんだこの巨大な幹は。きっと写真では伝わりませんよねえ…感動を少しでも伝えるために横に並びたくなる先人の気持ちが実によく分かります 笑 トチノキの古木の宿命とも言えますが、幹の内部は完全に空洞化しているようです。


もう一枚の案内板。幹の洞穴にはなんと大人20人を収容できるだけのスペースがある、と。大人20人ですよ?これはもうブルーシートで屋根でも貼ったらここで暮らせるんじゃないの?ってくらいの広さです。徳島県の巨大クスノキ「鳥屋の大クス」ですら私感ではせいぜい5~6人詰め込んだら精一杯ではないかと感じるので、このトチの巨大さがとんでもない規格外のものであると少しは伝わるのではないでしょうか。


ズームでよく見てみると、黒くなっている箇所は落雷による炭化ではなく治療薬を塗って色が付いているだけのように思えます。また、茶色い物体はフタですね。きっと放っておくとツキノワグマなんかが住み着くので、それを避けるために塞いでいるのでしょう。いやだって、うわあ凄い巨樹だなあ…なんて感動してるところに突然クマさんが襲いかかってくるとかもう恐怖でしかありません。


凄い迫力。これが雪深い山奥で1,300年もの時を生き抜いてきた重みなのか。樹皮の放つ圧倒的迫力にただただ見惚れてしまう。


国の天然記念物に指定され、全身を支柱で支えられ手厚く、丁重に扱われる日本一の大トチノキ。たった100mそこらしか離れていない子トチノキとはまさに対極の待遇です。「子」なんて冠されてますが子トチノキだって充分立派なトチの巨樹なんですけど…サイズだけで見るとその上下関係は明らかですが、きっと子トチノキの方が好きだという方も結構いるのではないでしょうか。人の手が一切加わっていない荒々しい巨樹にはサイズとはまた違ったベクトルの魅力がありますから。どちらが立派なトチかと言われたらそりゃあ大トチノキに一票ですが、カッコよさで語るなら圧倒的に子トチノキに分があるように感じます。


その樹齢からは想像も出来ないくらい瑞々しい葉を茂らせる大枝。しつこいようですが、あの冬の姿を見ていると同じ巨樹だとはとても信じられません。保護の成果なのか樹勢は上々の様子。


どうです?この樹皮の迫力。そのほとんどが私のような軟弱者の侵入を阻む山奥にひっそりとそびえ立つトチノキの巨樹ですが、自分が今まで訪れた経験では「トチの巨樹にハズレ無し」の法則が出来上がりつつあります。でもホント、アクセスに難有りの巨樹が多すぎるんですよねえ。


何とか全景を。こうして見ても実に健康そう。主幹の空洞を見てしまうとやや心配になりますが、今後数十年で倒れてしまうのでは…といったような不安は一切感じられません。このまま1,500年…いえ、もっともっと長生きしてくれそうな気がしますね。


こうして記事を書いていても現在進行系で大トチノキに会いたくなってきてソワソワしてくるから困ります。まさにこの国を代表するトチノキ。巨樹リストを眺めていて国天だからと強く惹かれることはあまり無いのですが、この巨樹は私的に外れの無い新日本名木100選に選ばれておりまして。うーん、やっぱり新日本名木100選認定樹は素晴らしいわ。(新日本なんて言いながら枯死・倒壊した巨樹が多すぎる気もしますが…)私の住む京都からだと決してアクセスが良いとは言えない立地にありますが、あの「石徹白の大杉」のように年に一度くらいは会いに行きたいものです。

2019/6/23訪問
「太田の大トチノキ」
国指定天然記念物・新日本名木100選
樹齢 約1,300年
樹高 約25m
幹周り 約13m

コメント:4

19-09-02 (Mon) 14:38

小トチノキの記事でも思いましたが、ああ、やはりここへは行こう。そう決めました。
トチノキの巨樹は、巨樹探訪の大きな醍醐味である冒険と驚きの両方を満足させてくれる……しかし、特にここはそれが際立っているように思います。
山形の巨樹を見に行く計画を立ててまして、それもここに劣らず結構アレなんで泣きながら引き返してくるのかもしれませんが、この太田のトチノキ周辺、これからの季節はどうなんでしょうね。
やはり秋の深まりは早いのでしょう、あっという間に落葉を終えてしまうかもしれません。
ほんと、to-fuさんがおっしゃる通り、いつだったら満足に楽しめるんだよ、みたいな。笑
でも、だからこそ大きな葉をいっぱいつけたトチの巨樹には、満開の桜にも劣らない魅力を感じます。

この重々しい幹と枝……空洞になった幹を見ていると、今しも自重で崩壊してしまいそうな危うさも感じつつ、限界ギリギリまで巨大化した姿に心を強く惹かれます。
とんでもないところに身を置いて、とんでもないものを見ている感。
現代においては、非常に希少な存在だと思います。
ああ、出かけたくなってきた……。笑

to-fu 19-09-02 (Mon) 20:00

> 狛さん
太田の大トチ・子トチは外れの少ないトチノキ勢の中でも特に見応えのある巨樹だと思いますよ!
石徹白からもアクセス圏内なので、御仏供杉→太田の大トチ・子トチ→石徹白と回ると何とも贅沢な一日になりそうです。
山形も石川もきっと秋はほんの一瞬…我々の感覚では梅雨のような短さでしょうね。
昨年訪問した11月末には既に落ち葉が原型を留めないくらいぐちゃぐちゃになっていたので、落葉するまでにと考えると
10月前半くらいまでが見頃でしょうか。真夏は虫地獄、真冬は雪地獄。春の訪れは遅く、秋は一瞬で過ぎ去っていく。
ホントいつ行けばいいんだよという感じですが 笑

この巨樹に関しては仰るように支柱が取っ払われたら即座に枝が倒壊してしまうだろうと思いますね。
絶対に死なせまいと見ようによっては過保護とも思える扱いを受ける大トチノキと、勝手に野垂れ死ねと言わんばかりに
放置プレイな子トチノキ。本家と分家みたいな?こんなに近いのにこの扱いの差かよ!というコントラストが世の無常を感じさせるようで、実に印象に残りました。一つの記事で一対の巨樹として紹介したかったくらいです。

RYO-JI 19-09-03 (Tue) 22:47

落葉時とのギャップに驚きました。
落葉時だけを見たら、『あか、これはもう死目前だな』と思ってしまいます。
幹だけ見ているとかなりの老樹だと推測できますし、その形状も酷く崩壊寸前のように見えますが、
青々とした葉っぱを見事なまでに付けていますね!
生命力をこれでもかと感じます。
桑平のトチノキを見てからというもの至極興味を持った樹種なので、これは是非お目にかかりたいですね。
ましてや幹周13m、日本一のトチノキとあらば行くしかないですね。
しかしトチノキはどうしてこうも山深い場所にあるのか(汗)。
あの石徹白さんとセットで見に行ける場所にあるんですか!
なんとも贅沢ですね。

to-fu 19-09-04 (Wed) 15:59

> RYO-JIさん
事前にまだまだ健康な巨樹だという情報を得た上で訪問していたのでこの巨樹はこんなものじゃないだろうと
再訪しましたが、これが何の情報も持たない状態だったらきっと再訪しなかっただろうと思いますね。
本当に、仰るようにそれくらいのギャップを感じました。

トチノキは大物揃いですけどアクセスの悪さがいかんともし難いですね。
体力的にもきついですが、単独だとやはりクマも怖いですし。
RYO-JIさんが退散されたという某三重県のトチノキなんかも気になっていますが、行くとしても涼しくなって
ヤマビルが死滅してからかな、と辛抱しています。でもその時期には落葉してるかも…本当に難しいですね 笑

コメントフォーム
Remember personal info

トラックバック:0

このエントリーのトラックバックURL
https://withphotograph.com/wp-trackback.php?p=10598
Listed below are links to weblogs that reference
石川県白山市 太田の大トチノキ from with photograph

Home > SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G | トチノキ | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別) | 石川県 > 石川県白山市 太田の大トチノキ

CATEGORIES

Return to page top