徳島県美馬市 金刀比羅神社のエノキ

FUJIFILM GFX50S II / FUJIFILM GF 32-64mm F4 R LM WR

志々島から帰還して徳島県へ。
今回の旅は新芽が芽吹く少し前の3月ということで、基本的には落葉していない常緑樹をメインに回ろうと考えていました。
が、このエリアで常緑樹縛りをしてしまうと必然的に対象がクスノキばかりになってしまうという。
そこで口直しと言いますか、行程のアクセントにする形でこちらのエノキに立ち寄ったのでした。

立地は穴吹橋のすぐ近く。
先日紹介した「脇町春日神社のクスノキ」から車で数分の距離に位置します。

「赤羽根大師のエノキ」が倒壊してしまった今では徳島県を代表するエノキと言っても差支えのないサイズですが、大きさの割にとにかく目立たない。
そのエノキは拝殿と地域の集会所?の陰に隠れてしまって窮屈そうに立っていました。

うーん…狭い 笑
巨樹DBによると幹周5.6m。目測ではもっと大きいように見えます。6mを超えているのでは?
もしかすると周辺を建物と塀に囲まれた圧迫感で実寸以上に大きく見えていただけなのかもしれませんが。
しかし興奮して駆け寄って「おお、思ったより凄い!」と幹に抱き着いてしまったくらいの迫力はあります。

眺めるにも撮影するにもこの立地はちょっと厳しい。
私だってドラム缶とかエアコンの室外機を写し込むのは嫌なのですが、これはもう仕方ない。

根元に小さな洞があって周辺には強烈な獣臭が漂っていたためタヌキか何かが棲みついているのかもしれません。
内部が腐朽して空洞化している可能性もありますが、少なくともこうして幹を見るかぎりはまだまだ健康そうに見えます。

いくつかの大枝が枯損しているものの堂々とした立ち姿。
これは良いエノキだなあと惚れ惚れしてしまいました。

4月中旬となった今では美しい新芽が芽吹いており、もっと生き生きとした姿を見せてくれるのでしょう。
今回落葉していてもまあいいかと立ち寄ったことを激しく後悔しました。
もし事前にここまで立派なエノキだと知っていたら葉を付けるまで訪問を我慢していたと思います。

賢明な皆様のことですから既にお気づきかもしれません。そう。ヤドリギの癒着がすごい。
この丸っこいのは鳥の巣ではなくヤドリギ。フジの幹のように固く強靭な根を張って樹木の内部に深刻なダメージを与えます。
出来れば早急に天然記念物指定して保護していただきたい。

撮影ポジションが拝殿前か根元しかないので写真撮影的にはあまり楽しめる巨樹ではありませんが、エノキ自体は相当なもの。
徳島県トップクラスのエノキということで訪れる価値は十分あると思います。

こちらも徳島県平野部の巨樹を回っていると立ち寄りやすい立地ではあるので、次回こそはたくさんの葉を蓄えたエノキを撮影したい。
生えているのが拝殿裏手ではなく正面だったらもっと注目されていてもおかしくない巨樹だけに、そこだけが残念でした。
美馬市さん、どうかそろそろ天然記念物指定を。

2023/3/20訪問
「金刀比羅神社のエノキ」
樹齢 推定300年
樹高 約16m
幹回り 5.6m

徳島県美馬市脇町西赤谷206-2

6件のコメント

  1. 実物を見れば大きさも味わいもあるのに天然記念物指定されてない。
    最近、そういう存在に出会うことが妙に嬉しかったりします。
    まあ、天然記念物指定されてないせいで見つけ出すのも難しいんですけども……。

    このエノキ、幹姿だけ見るとまるでケヤキですね。ゴツイ。
    クスとかスギとは違うエノキの存在感がまた興味深い……いやまあ、それゆえに純粋なご神木扱いされにくくて、こんな隅っこに押し込められることになったのかもしれませんね。
    ヤドリギも好んでエノキに寄生するようですし(鳥にエノキが好まれるのも一因かも)、まったく、そこだけは皆に好かれるというか、食い物にされてるというか。不憫です。

    赤羽根大師のエノキもある意味そうでしたが、「近所のあの木がまさか日本有数の巨樹だったなんて!」 みたいな事態になる前に、正当に注目されてほしいです。
    その点からも、しっかり撮って記事にする価値がある巨樹だと言えますよね。

  2. おおー、立派なエノキ・・・。
    と喜ぶよりも前に、何とまぁお気の毒な立地じゃないかと思ってしまいました。
    なかなかここまで窮屈な状態で見る巨樹も少ないでしょう。
    神社の方はどう思われているかわかりませんが、行政の力がないと環境改善は難しそうですね。
    この状態でここまで大きく成長しているからこそ健康に問題はないと期待したいです。
    が、やはり一枚目から気付いていましたよ、樹木の敵であるヤドリギがあることに。
    懸念材料満載ですが、葉の繁った姿も見てみたいものです。

  3. > 狛さん
    天然記念物、名の知れた大物はやはり期待値もそれなりに高まってしまうので、予想を裏切ってくれるほど
    感動できるモノはなかなか少ないですよね。逆に無指定の巨樹はセンパイ方の写真もちょっと適当だったりして、
    あまり期待せず立ち寄ってみたらまさかの!なんてことも少なくなく、そんな巨樹と出会えた時は冥利に尽きます。

    たしかに枝の広がり方とかケヤキっぽいです。
    そういえばケヤキもヤドリギの被害を受けがちですし、彼らはキノコにも好かれるし散々なポジションだなあ。

    このエノキ、立地とか抜きに考えたら結構な大物だと思うのですが。
    まさに仰るとおりで後々希少性に気付いた頃には既に手遅れ、なんてことにならないよう願います。
    うちの近所のエノキの巨樹の記事( https://withphotograph.com/?p=17142 )を書いた後日、指摘していたキノコが
    除去されて幹のヒビにも例の黒い薬剤が塗布されてたんですよ。別に私の記事を読んだわけではなくたまたま時期が
    重なっただけだと思いますが、もしかすると記事を読んでこれはいかん!と気付いてくれたのかもしれない。
    Webの海の辺境にある自己満足のブログ記事ですが、世界のたった一人にであれ影響を与えられたら嬉しいですねえ。

  4. > RYO-JIさん
    もうちょっとこう…何とかならなかったのかと思ってしまいますよね。
    根回りなんか本当にギリギリまでコンクリで固められていて実に窮屈そうです。
    せめてこの集会所?は少し離して建てることが出来なかったのか…

    ヤドリギは除去しても結局いたちごっこだと聞きますが、それでもあの「野間の大ケヤキ」も定期的なヤドリギの
    除去を始めてから随分と樹勢が回復したみたいですからねえ。天然記念物指定されたら注目度も上がると思うので、
    せめてこのエノキのことを意識する方がもう少し増えてくれたら、と願わずにいられません。

  5. 良いサイズのエノキですよねえ 現在6mを超えているので自分の知る限り赤羽根大師のエノキ無き今
    徳島県としては山の神さんの榎に次いで2番目に立派な榎ですから
    しかし自分が見た時よりヤドリギは増えている感じですね
    田舎故に巨樹の頻回な回復処置は稀になるでしょうけど何とかして欲しい所です

    立地としては建造物に囲まれているのでここも何とかして欲しいですけど木の為に建造物の撤去も厳しいでしょうが
    ここもなんとかして欲しいですね ここまでの榎ってそこまでもう多くは無いですので

  6. > 123さん
    「山の神さんの榎」!!
    実は行ってみたいと思いながら所在が分からず、未だ巡り会えていないのです。
    黒沢湿原や祖谷の小便小僧の辺り?までは目星を付けているのですが…

    こちらのエノキは本当に運悪く色々な悪条件が重なってしまい、放置気味になっているように見えました。
    せめて生えているのが拝殿の正面だったら…せめて横の建物ともう少し距離が離れていれば…
    今となっては後の祭りですがとても立派なエノキだけに勿体なく思います。
    せめて市の天然記念物に指定して、少しでも注目度を高めてあげてほしいですねえ。
    地域の方のエノキに対する保護意識も少しは変わるのではないか?という気がします。

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