兵庫県朝来市 大将軍杉

FUJIFILM X-T20 / XF 10-24mm F4 R OIS / Film Simulation PROVIA

最近話題の竹田城跡入口から藤和峠の山中へ。周囲の開けた車道沿いに立っているので、まず見落とすことはないと思います。(すぐ手前に「夏谷の名水」という湧き水が湧いていました。湧き水を汲んできてコーヒーを淹れながらゆっくり眺めるのがオススメです。)

出たな。裏杉。これもアシウスギでしょうか。
この巨人が車道から見えるんだからハンドルを持つ手も震えるというものです。神社の境内にでも生えているものだと勝手に思い込んでまして、こいつを発見した瞬間はホント頭の中が真っ白になりました。おいおい、こんな唐突な現れ方するのかよ…と。

朝来市というとここの前に訪れた「糸井の大カツラ」の知名度が高すぎるため霞んでしまいがちですが、この大杉を見るために朝来を訪れたとしても決して後悔はしない。それくらい迫力のある大杉だと思います。

旅の高僧が杖を逆さまに刺したところ。ええ…
巨樹にまつわる伝承として杖をぶっ刺すまではまだ分からなくもないですが、逆さまに刺す意味っていったい何なんだろう。昔の高僧ってお茶目すぎやしませんかね。そして。

すぐ隣の案内板で早速矛盾しているというこの有り様。
こちらには西暦1300年代に足立藤和が植えたものだと書かれています。こっちが正史な気配がプンプンしますが、どちらにしてもストーリーは1本にまとめた方がいいんじゃないかな…という気が致します。

やはり良くも悪くも目を引くにはこの扉なんじゃないでしょうか。巨樹の麓にある古ぼけた扉を開くと霧深い異世界へ…なんて有りそうな話ではありますが、地元の観光案内によると単に幹の損傷が酷かったので扉で雨風を防いでいるというだけのものなんだそうです。祠でもあるのかなあ…なんて隙間を覗いてみたけど何も見えなかったわけだ。

これは完全に主観なんですけど、この巨樹自体が本当に迫力ある立派なものなので、幹を保護するにしてももう少し目立たないスギそのものの景観を損なわない方法は無かったのかな…なんて思ってしまいました。ちょっと目に付きすぎるんですよねえ。中に何があるのかな、とか気になっちゃうし。本当は巨樹に集中したいのに。

本当に素晴らしいスギですよ。この方は。
大きさにもその複雑な形状にも文句の付けようがありません。

幹が分かれて、また分かれて。下から覗き込むと掌のようにも見えます。スギの根元をサワガニが歩いていたくらい水分豊かな土壌で、コケの生し方も非常に見応えがあります。

裏杉は見る角度によって表情を変えてくれるので、本当に見ていて飽きませんね。一人でぐるぐるぐるぐる…このスギの周りを何周したか分かりません。

見事な枝っぷり。これでも車道に向いている側の枝は落下防止のために切断されているのが伺えます。篠山の安田の大杉が「甚七森」なんて呼ばれていましたが、この姿を見た印象はまさに「森だわ、これ…」なのでした。

年老いたスギ特有のうねるような樹皮。これがまた格好良いんだ。
(薄暗い森の中で出会うとちょっと怖いけど。)

ね。目立つでしょう。スギの向かいが大きな路肩になっているので、車はそこに停めさせてもらえば良いかと思います。湧き水でコーヒーを淹れ、ぽけーっとこの大樹を眺める。これぞ至福の時間。疲れも眠気も吹っ飛びますとも。夏谷の名水はほのかに甘みを感じる、実に美味な水でした。

とにかく良いスギの巨樹なので、巨樹目当ての方だけでなく竹田城跡目的で来られた方にも立ち寄ってもらいたいと思える1本でした。あまり興味の無い方でも、この大きさを見てしまったら感動するんじゃないかなあ。(うちのヨメなんかだとどうなんだろう…うーん、自信はないな 笑)

大将軍杉
和田山町指定天然記念物
樹齢 約650年(植えられたのは1353年前後?)
樹高 35m
幹回り 8.37m

4件のコメント

  1. うわ来た! 前回の旅路で自分が行けないから「だれか行ってくれないかなあ!」とわざとらしくアピールしてたやつ!笑
    とか言っても、兵庫県の巨樹を調べると、断然目立ってくる一本ですよね。これは行かないわけにはいかない。
    一見の価値あり、これを実際目の当たりにすると相当なもんだろうなあ。

    扉はどうなの?というのは僕も思うんですが、しかし、この変なデカい扉が目を引いてしまって、ネット情報をパラパラめくる手が止まったというのも事実……。
    扉は開けたり閉めたりするためにあるもので、それが閉じたままにいつまでもなっているというのに、我々は疑問と不安を感じてしまうんですよね。
    それもこんな杉の巨樹の幹に……どう考えてもやばい扉だ……きっと漆黒に染まりし冥界(略
    と、どうしてもこの扉を発想したのは中二病が抜けない人だなと思わずにはいられません。笑
    いや、だったら樹脂かセメントで固めたら良かったのかというとそうとも言えず。
    風雨を防ぎつつ時々開けて修理してたのかもしれませんね(ぶっ刺しには触れない)。

    しかし、実際色々な角度からみると、それ抜きでも見どころ十分な裏杉の巨樹。
    どれだけ傷んでるのかと思いましたが、勢いもかなりありそうで鉄人サイトのちっさい写真より断然迫力が増して見えます。
    近くの地方にまた行くことがあれば、僕もぜひ寄りたいと思いました。
    しかもうまい水付きなんて素晴らしい。カフェー「大将軍」じゃないですか!

  2. > 狛さん
    そうなんですよね。大将軍杉はこのエリアの名木たちを回ろうと思うとちょっとルートから外れてしまうので、僕も遠方からの巡礼だったら(いや、京都も決して近くはないか 笑)ここは泣く泣く諦めていたかもしれません。

    この扉は本当に良くも悪くも…ですよね。巨樹マニアからすると賛否分かれる代物だと思いますが、巨樹に興味が無い人の目にも留めてもらうという意味では、これはこれで成功なのかもしれません。巨樹巡りをする前の自分でも何だ何だ?って気になってたと思います。ただ扉を付けるだけではなく扉の全体に釘をぶっ刺してみたり無駄に閂がかけてあったりするところから察するに、製作者は三宅島のスダジイに命名された方と似たセンスをお持ちなのかもしれません 笑

    実際のところ迫力だけでなく樹勢も申し分なく、このエリアで充分エースを張れる1本だと感じました。先日ももっと時間があれば大将軍杉でコーヒーブレイクして締めたかったです。

  3. 湧き水でコーヒーかぁ。
    しかも巨樹を見ながらだなんて贅沢ですね!
    そんな時間の過ごし方は羨ましくて仕方ないです(笑)。

    それにしても面白いスギですね。
    扉付きって・・・。
    スギを守るための処置なんでしょうけど、何で扉なん?って聞いてみたい。
    どうせなら無機質なコンクリや樹脂詰めよりも、扉にしたことで温かみを感じます。
    あと、それでちょっと有名になっているかもしませんね。
    そんな特徴が無くとも、樹形も見事でカッコいいなぁと思えます。

  4. > RYO-JIさん
    この時は貫徹で行ってたので、休憩を挟みながらでないと体がもたなかったという話も 笑
    朽ちて空洞化している巨樹はよく見かけますが、そこに扉が付けられているものはこの大将軍杉以外に存在しないのではないでしょうか。以前見たところなんかだと岩みたいなセメントの塊を洞にポイポイ放り込んだだけのイチョウもあったので、確かにそういうのと比べると随分まともな扱いを受けているような気もします。糸井の大カツラからそう遠くないので、機会がありましたら是非カフェ大将軍へお越しください!(何か違う)

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