- 2018-07-18 (Wed) 19:27
- FUJIFILM X70 | FUJIFILM XF 10-24mm F4 R OIS | スギ | 京都府(京都市以外) | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別)
FUJIFILM X-T20 / XF 10-24mm F4 R OIS / Film Simulation PROVIA
FUJIFILM X70 / Film Simulation PROVIA
どうしても遠方の巨樹ばかり優先して記事にしてしまいたくなるんですけど、実は身近なところの巨樹も結構回ってるんです。
こちらも訪問から1ヶ月以上過ぎてしまいましたが実に素晴らしい巨樹でした。
京都縦貫自動車道の園部ICを降りると目の前に広がる田園風景の中に「道の駅 京都新光悦村」が見えてきます。その京都新光悦村裏手の線路を渡った先にある集落の中に建っている朝倉神社。(新光悦村とコイケヤのでっかい工場の間の道をまっすぐ行った突き当りです。)神社には駐車スペースが無いため、田園地帯まで戻って地元農家の方にことわった上で車を路肩に停めさせていただきました。
駐車する際にスギを見たいから停めさせてもらえないかと聞いたところ、やはり地元の方から相当に愛されている巨樹であるようで、見に行くならまずここからの姿を楽しむんだ!と教わったのがこのポイント。おお、分かってるじゃねーか!なんて偉そうなことを言ってしまいますが、そうなんだよ。ここなんだよ。この、ん?もしかしてあれか?と木陰からその姿を現わす瞬間が一番心拍数が上がるわけです。
この辺まで来るともう間違いない。あれだ。
綺麗に苔生した参道を傷めないよう注意して近付いていきます。
ズドンと天に向かってまっすぐそびえるスギはやはり壮観。
落雷によるものなのか地上2mあたりのところまで真っ二つに裂けています。
(傷口の状態から見るに2本のスギの癒着ではなく、あくまでも1本のスギが裂けたもののようです。)
この杉も実際対峙するまではちょっと舐めていたと言いますか、京都のスギの巨樹はいきなりトップクラスの大きさである「和束町の祇園杉」「大悲山の三本杉」を回ってしまったため、あとのスギは惰性で回っておこうかなという気持ちが正直なところでした。しかし、やはり単純なサイズだけではその感動を計れないのが巨樹巡りの面白さ。いざ相見えてみると反省の気持ちしかありません。理屈抜きに凄いじゃないか…ケチを付けるにしても実際会ってから付けるべきだ。見てもいないものにグダグダ言うなんて馬鹿げてるぞ、と。
案内板には今から約180年前の天保10年に幹周約4.6mだったことが書かれています。現在の幹周が約9mだから、たった200年足らずのうちに幹周が倍の大きさまでに成長したのか…と、成長の度合いが分かる貴重な資料となっていました。凄いですね。僕がこの世を去る頃には10mくらいになっていたりするんでしょうか。
樹勢はまずまずといったところ。生命感溢れる!というほどではありませんが、直ちに治療が必要なくらい痛んでいるようにも見えません。案内板にも「いく度かの落雷災害にも耐え」と書かれていたくらいなので、色々な災難に見舞われたのでしょう。それでもなお、まっすぐ天を目指して突き抜ける。奇々怪々な姿で驚かせてくれるウラスギも良いものですが、やはりこの潔い姿こそスギの巨樹本来の魅力であるように思えます。
裏側に回ってみました。裂けめの股の部分からクヌギでしょうか、着生した別の苗木が育っています。
根の裏側は急な斜面になっています。土砂の崩落をせき止めるかのように、ぐるっと境内を囲う形で根を伸ばしていました。
バケモノのようなウラスギにばかり会っているとどうも感覚が狂いますが、幹周9mって相当なものなんですよね。ここまでのものだと思わなかったと本当に申し訳なく思います。実際のところこの大杉も京都府下では軽く5本の指に入るようなスギの巨樹ですからね。そしてこの朝倉神社…良い。大通りからも少し離れているので本当に閑静で、時間の流れなんてすっかり忘れてしまうのです。1時間以上は滞在してしまいましたが忘れた頃に聞こえる山陰本線のガタンゴトン…という音が、何ともノスタルジックな感情に浸らせてくれました。
(洗濯物が干してあったりするので、ここは敢えてのモノクロで…)
手前の住宅にお住まいの方が、遠くからもスギを眺められる方がいいじゃねえか!なんて言って、手前の竹藪をバッサリ刈って下さったそうです。さぞ大変だったことでしょう。本当に愛されているんだなあ、大杉よ。こういう話を聞けると会いに来てよかったなあとホクホクした気持ちで帰路につけますね。
近くをわりと頻繁に通ることもあり、何度もお世話になりそうな巨樹です。
2018/6/1訪問
「朝倉神社の大杉」
京都府指定天然記念物・京都の自然二百選
樹齢 300年以上
樹高 30m
幹回り 9m
コメント:4
- 狛 18-07-20 (Fri) 19:33
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こちらから先に。
これは明らかに落雷ですね。焦げているところも残ってるように見えます。
2本の合体樹じゃないかな……と初見の印象では思う姿でしたが、だとすると、中心に落雷するのがおかしいですし。
中心から引き裂かれたまま育って、徐々に間隔が開いていってしまったのだと推測します。
これで空洞化しないでしっかり立っているのがすごいですが、裂け目が気がかりでもあります。
クヌギが悪さをしないことを望みます……。
ドーンと画面いっぱいに捉えた全体像ではなく、むしろ視界に最初に飛び込んだ瞬間の図こそが実はピークであること……
地元の方、よく分かってらっしゃる笑。よほどこの杉のことが誇らしいのだと思います。
こんなこと言われたら、嬉しくなってしまいますね。
そして、心安らぎスポットがまたひとつ。
何度か寄っているうちにまた地元の人とも触れ合えるかもしれませんね。
気に入ったのでまた見に来たと言ったら、さぞ喜ぶだろうなあ。 - RYO-JI 18-07-21 (Sat) 21:09
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あぁ、ここはつい最近、to-fuさん直伝のGoogleMapさんでマーキングした所です(笑)。
一本杉でこのサイズはかなりのインパクトがありそうですね。
オモテ杉で幹周9mを超えるものはなかなか見る機会が少なく、これはクセになりそうな巨樹。
しかも落雷によるキズがありながらも、そんなものにはビクともしない力強さをも感じます。
地元の方とのエピソードもいいですね。
to-fuさんはなんだかそういう徳があるんでしょう、いいなぁ。
苔生した参道がまたたまらなくいい感じですね! - to-fu 18-07-22 (Sun) 20:36
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> 狛さん
僕も実物を見て同じ印象を受けました。正面からパッと見ると合体樹っぽいんですけどね。
地元の爺さまも落雷による火事の消火活動にあたったと仰っていました。恐らく一度や二度の話ではないのだと思います。
クヌギは本当にちょっとよじ登って引っこ抜いてしまいたかった 笑
地元の誇りのような巨樹はそれと会えただけで嬉しくなってしまいますね。わざわざ会いに来たものを「どうだこれ、凄いだろ!」みたいに紹介されると、ああホント来てよかったなあなんて親近感が湧いてしまうものです。こういう気持ちの良いスポットが増えていくのは素晴らしいことですが、あそこを再訪したいけど新規スポットにも行ってみたい…と贅沢な悩みが尽きませんね。 - to-fu 18-07-22 (Sun) 20:48
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> RYO-JIさん
言葉を失うド迫力!というスギではないかもしれませんが、なかなか素晴らしいスギと空間でしたよ。
南丹市~京丹波を経由して兵庫県篠山市までのエリアは(下道も空いてるし)この界隈ではオススメです。
そうなんですよ。バケモノのような大杉と出会う機会が多かったので感覚がおかしくなってましたけど9mってかなりのものですよね。先輩方の写真を見た限りでは「うーん…」というのが正直なところだったんですが実物はとても良かったです。
思うに、同業者(?)の中でも我々のようにじっくり巨樹と向き合うスタイルの人が珍しいので目立つんじゃないでしょうか。あれから何度かマニアの方と遭遇しましたが、皆さん神社を参拝することもなくサッと巨樹に直行してササッと撮影して疾風のように去っていく方ばかりなんですよね 笑
RYO-JIさんや狛さんも1時間は余裕で滞在すると仰っていたのでそんなものだろうと思っていたんですが、実は僕らはたまたまマイノリティが集まっただけなのかもしれません。
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