愛媛県四国中央市 藤原のイブキ

FUJIFILM GFX50S II / FUJIFILM GF 35-70mm F4.5-5.6 WR

以前「玉取山の大カツラ」を訪れた際に立ち寄ろうと考えていたイブキ(ビャクシン)の巨樹。
予想以上に大カツラの所在が山深く、ガス欠の恐れが出てきたので止む無く訪問を諦めて撤退したのでした。

2022年10月に大カツラの再訪を決め、今回こそは!とガソリン満タンで臨みます。
場所は富郷ダムすぐ近く。現在はGoogleMapにも登録がありますので、まず迷うことなく到着できるかと思います。

大カツラがあまりに大物すぎることもあって「まあでもビャクシンでしょ?」と、正直ほとんど期待せずやって来ました。
と言いますか、いつか機会があればとGoogleMapにチェックマークを入れておいたくらいで下調べなど皆無な状態。

しかし車を停めて解説版の大きさとその巨躯を見比べてみると、おいおいこれって凄いんじゃないの?と驚かされることに。
ええ、後部座席に積んでいた三脚をひったくるように掴んで早々に巨樹へと駆け寄ってしまいました。
うおおお…これは凄いわ。

愛媛県指定天然記念物「いぶき」。
便宜上こちら藤原集落の名前を冠して「藤原のイブキ(ビャクシン)」と呼ばれているようです。
玉取山の大カツラも登録名称「かつら」だけでしたが、愛媛県はもう少しネーミングにこだわってくれてもいいのではないかと…

それにしてもまさかの小豆島が誇る国の特別天然記念物「宝生院のシンパク」に次いで日本第二位のイブキ!
これは凄いはずだわ。ええ、事前にろくに調べてこなかったもので、ここまでの巨樹だとは!とビックリでした。

流石に幹周9mクラスともなると物凄い迫力。
そして真に驚くべきは、異常なまでの樹勢の良さでしょう。
麓の土居IC近くにある「下柏の大柏」もそれは巨大なイブキでしたが、既に全身ウレタン塗装や杭だらけで満身創痍な状態。
こちらも大枝を支えるための杭こそ目立つものの傷み、白骨化といったダメージが全く見られません。

全景もこのとおり。
まさにお手本のように「樹勢は旺盛」。
樹勢が良すぎて遠目に見ると樹形が全く分からない 笑
よってヒューマンスケール撮影はただの記念写真になってしまうので諦めざるをえませんでした。

うねり、歪みこそがイブキの巨樹の魅力ではないかと。
目の前に立つと「おおお…」「すげえ…」しか言葉が出なくなります。

何とか樹冠の下に潜り込んで撮影するのですが、頑丈かつ鋭利な小枝がプスプス突き刺さってきて痛い。
ペラペラのウインドブレーカーを着て撮影に臨みましたが、枝に引っかけて小さな穴が開いてしまいました。

頭上から触手のバケモノが襲い来るようなあの感覚。
一見の価値あり!だと思います。

日本全国探してもここまで見事なイブキの名木は稀有な存在ではないかと。
私みたいに「やれやれ。大袈裟に書いてるけど所詮イブキでしょ?」くらいの感覚でいる方にこそ見ていただきたい。

私の立ち位置に駐車スペースあり。
余談ですが、県道6号線から藤原集落へと続く藤原大橋上の眺めは祖谷の小便小僧なんか比較にならないくらい壮観です。
富郷ダムルートをドライブ、ツーリングされる際は藤原大橋→イブキを目的地に加えておいて損はないかと思いますよ。

2022/10/13訪問
「藤原のイブキ(ビャクシン)」
愛媛県指定天然記念物

樹齢 300年以上
樹高 約11.5m
幹周り 約9.3m

愛媛県四国中央市富郷町津根山123

6件のコメント

  1. ライティングが上手すぎてもはや高級旅館のパンフ……とオサシミに見とれていました。笑

    そして、自前巨樹サイトの今更アップでちょうど兵庫の「法雲寺のビャクシン」を更新したところでした。
    あちらも全国二位だという……いや! ナンバーワンのカリスマ「宝生院のシンパク」は根本分岐で稼ぎすぎだから、ホントはうちが一位! 
    ……みたいな、熾烈な二位争いが存在していそうなビャクシン業界。
    こちらの「藤原のイブキ」にしても、この「目通り」という表記が一波乱起こしそうでドキドキしますね。笑

    とはいえ、数値は割とどうでもいい。
    ビャクシンのそれぞれ固有の姿形、大胆な個性こそが目をひきます。
    「法雲寺」のはまるでスギみたいな樹高でしたが、こちら「藤原」はずいぶん横に広がって、まるで緑色の雪崩。
    雪崩なんて、ほんとどう撮ればいいんだ……リサーチなしにこんなのに出くわしたら、全く嬉しい悲鳴ですね。
    シブいけど面白い。しかも生命力が強いのか、樹勢が良いものがわりと多く残っているし、見逃せない樹種になりそうです。

  2. 樹勢が良すぎて遠めに見るとただの緑の塊でとても一本の樹だと思えないですね(笑)。
    支柱の数が凄まじく見えますというか、ここまでのは見た事ありません。
    樹高はさほどでもないので横への広がり方に何か執念的なものを感じますね。
    比較しようがありませんけど、重量という項目ではかなりのランカーかと。
    幹もぎっしり詰まっていて圧が強そうだし、イブキ特有の文様もお見事で非常に惹かれる巨樹です。
    景色も良いとのことなのでこれは是非行ってみたいですよ。

  3. > 狛さん
    奇跡の自然光で激安スーパーのお刺身が宣材写真に 笑

    法雲寺のビャクシンも素晴らしいですよね。
    元々そこまで大きくならないこの手の樹種はランキングがあまりアテにならないような気がします。
    まさかこんなに立派だなんて!と驚くこともあれば、その逆もまた然りで。分かるけどこれは卑怯だろ、みたいなものも少なくない。
    ああ、法雲寺。真冬のあいおい白龍城に春夏用寝袋で乗り込んだ無謀な時代が懐かしいです…(当時はまだ冬用寝袋購入前でした。)

    ビャクシンやヒノキなんかはどうしてもリスト上目立たないので後回しにしてしまいがちですが、稀にこういう規格外が
    混じっているから堪らないですね。結果的に目的だったメインの大物よりも記憶に残ったりなんかして。
    大物クラスは大体回ったし、なんて勝手に極めた気分になっているときコレに出会う感動といったら。冥利に尽きます。

  4. > RYO-Jiさん
    仰るとおりで、あまりにも一つのカタマリになりすぎていて最初はこれが目的の巨樹だと気付きませんでした 笑
    この広がる様を見ていると、どこか巨大な盆栽のような印象を受けました。ジャンボ・ボンサイ。

    ビャクシンの巨樹はこの如何にも重そうな、みっちり詰まっていそうな質感がたまりませんよね。
    これを眺めていると、やっぱり自分も小豆島に渡らないと…な気分になってしまいましたよ。
    日本一。是非とも見ておきたいものです。

    本当に絶景なんですが、高所恐怖症のRYO-JIさんにはいささかハードな絶景かもしれません 笑
    私もどちらかと言うと得意な方ではないので、橋から下を覗いておしっこちびるかと思いました。ええ。

  5. ビャクシンは庭等に剪定されている木や盆栽のイメージは少しあるんですけど
    独特の幹、枝葉の形状等もあって巨大な物は他に無い特徴を持った味のある物が多いですよね
    私は日本一との呼び声も高い宝生院のシンパクに一度は行ってみたいんですけどなかなか都合がつかないのが悲しい
    過去に訪れた巨木ハンターの方々が口をそろえて想像以上だったとの感想を見る度に期待は膨らむのですが・・・

    まあ想像をしている間もなんだかんだで楽しいのですけどね
    巨木巡りは想像未満だったり伐採されてそもそも切り株にになってたりする事も当然ありますので

  6. > 123さん
    庭木や盆栽、たまにお寺に少し大きめのものが生えている…くらいのイメージですよね。
    ビャクシンの巨樹は成長過程で樹皮が捻じれてめくれあがってしまい、そこが白骨化しているものが多いので
    ここまでずんぐりとした単幹で大きく育ったものは初めて見ました。(大きくねじれた様も魅力的ではあるのですが。)

    「宝生院のシンパク」は私も行きたいと思いつつなかなか行けずにおります。
    こちらからだとフェリーの出向時間に神戸(あるいは岡山)まで出るのはハードルが高く…
    コメントを下さっているRYO-JIさんもビャクシンとは思えないくらい物凄い迫力だと仰っていました。
    距離的には大した距離ではありませんので、いつかはこの目で眺めてみたいものです。

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