徳島県美馬郡つるぎ町一宇 奥大野のアカマツ

FUJIFILM GFX50S II / FUJIFILM GF 35-70mm F4.5-5.6 WR

早起きして「明谷のムクノキ」を眺め、次なる巨樹としてチョイスしたのがこちらのアカマツ。
以前狛さん、RYO-JIさんとつるぎ町を訪れた際このマツも少し話題に出ましたが、当時は正確な所在が分からなかったため選外としたのでした。

とりあえず一言で紹介しておきましょうか。「奥大野のアカマツはいいぞ!」

はい。アカマツを目指すにあたって第一の関門が登り口の所在地でした。
剣山を目指す国道438号から県道260号に逸れ、奥大野集落の山の中。ちょうど丁字路になった箇所の北側にこの看板が立っています。
なお丁字路の南側はノーガードレールかつ極細の狭路だったため東側の道路を往復するのがよいかと思われます。
260号を王太子神社まで進み、そこから西の小道をまっすぐ。こちらは比較的綺麗な舗装路でした。
(なお後で知った情報によると王太子神社の社叢にもスギ、ケヤキの巨樹が生えていたらしい。)

看板の向かいに車2、3台分の駐車スペースあり。
なんというか「すげえところに来ちまったなあ…」と既に変な満足感があります。私、前日の今頃はまだ京都市内にいたんですよね…

案内板によるとアカマツ巨樹までは15~20分程度とのこと。実際のんびり登ってみて10分強でしょうか。
気軽な散歩のように思われるかもしれませんが、途中から恐ろしく急な斜面になり、心肺機能がバクバクに疲弊しますのでご注意を。
ここから先、写真ではなんてことない山道ですが実際見たら「え…これ登るの?」と心が折れそうになるくらい急です。

それと、道のりがかなり不明瞭です。アカマツまでしっかりピンクリボンが導線になっているのでリボンに従って登ってください。

階段が見えてきたらあと少し。ええ、既に心臓バクバク、汗ダラダラです。
おお!右手に見えるあの赤っぽい樹皮、あの存在感は間違いなく目的の巨樹だろう!
やはり発見の瞬間が一番テンション上がりますよね…

徳島県指定天然記念物「奥大野のアカマツ」。
日本最大だった山形県の「東法田の大アカマツ」他多くのアカマツ巨樹が枯死しており、現在では日本最大級とも言える貴重なアカマツ巨樹です。
こちら四国最大ですが、恐らく全国で見ても今では五指に入るくらいのサイズではないでしょうか。

いやあ幹の迫力もさることながら枝ぶりが凄い。
しかし撮影スペースが狭い! (私の後ろはもう急斜面)

しかし我々は考える葦ですから工夫で何とかするのです。(急斜面の大岩に三脚を立ててインターバル撮影)
ええ、決して柵を乗り越えて撮るとかそんな外法に頼ってはいけません。知性を失った人間は最早獣も同然です。
いやホント凄いよこのマツ。何とかしてもっと眺めやすい場所を探せないだろうか。

ということで三脚を立てていた大岩からさらに急斜面を下ってみる。
立派な雄鹿の角を思わせる大枝。これは登ってきただけの価値があるわ。
きっと雨に濡れた姿はより赤みが強調され、一層迫力を増すのだろうな。
(しかし足元が悪い中カメラや三脚を担いだまま、あの急斜面を登り降りするのは私には無理かもしれない。)

うん。巨樹との出会いを求めて色々旅するわけですが、毎回感動と出会えるかというとそんなこともない。
まあ当たり前のことです。しかし年に数回こういう出会いがあるから止められないんだよなあ…

巨樹の迫力、アカマツという希少性、そしてつるぎ町奥地の山中というロケーション。
はっきり言って非の打ち所がない。巨樹王国つるぎ町の中でも特におすすめ度の高い一本でした。

周辺が柵で囲まれ、触れられないことがマイナス評価と言われればそう感じられる方もおられるかもしれません。
ただ、マツの巨樹は今では本当に貴重な存在になってしまったので…そこはしっかり協力しなくては。と思いますね。
未来の巨樹愛好家がこの姿を楽しめるように。

つるぎ町には数多くの巨樹が存在しますが、個人的に再訪する度に眺めたいスペシャルなものを挙げるなら「桑平のトチノキ」だけは毎回外せないだろうな…と考えておりました。そこにもう一本追加でこの「奥大野のアカマツ」をランクインさせたいですね。本線の国道438号から少し逸れる上にちょっとした登山まで強いられる巨樹ですが、時間が許すなら是非とも見ていただきたい一本。私もまた行こう。

2025/5/15訪問
「奥大野のアカマツ」
徳島県指定天然記念物
樹齢 推定300年以上
樹高 18m
幹周り 5.35m

徳島県美馬郡つるぎ町一宇奥大野

2件のコメント

  1. おおー、これは確かに何やらグッとくるものがあります。
    マツでこのサイズ感はそうそうお目にかかることができないし、ましてやアカマツですからね。
    その稀少性からして国天でもよさそうなものですが。
    特に目がとまったのが樹皮の色です。
    アカマツというくらいですから赤いのは当然としても、これまで見知っているアカマツとはまるで違う赤に見えます。
    「桑平のトチノキ」と並んでランクインというだけでto-fuさんが現地でどれだけ感動されたかわかるというものです。
    ちょっと気になるのは、葉付きがあまりよくなさそうに見えること。
    崖っぷちにあるようなので地盤が崩れてしまってというのも心配ではありますが、こういう立地も巨樹あるあるですね。
    いやー、これは是非とも訪問したくなりましたよ。

  2. > RYO-JIさん
    巨樹に興味のない登山者からも評価の高いマツだと聞いていたので、是非とも見てみたい一本でした。
    なるほどこれは素晴らしい。つるぎ町のサイトでは「夕焼けのような赤」と評されていましたが納得の姿です。
    雨の日や雨上がりに臨むと重厚さが増して印象が随分変わりそうな気がします。
    Web上で雨天時の姿が確認できなかったため、いつか見てみたいなと。(クマさんリスクが低いので安心 笑)

    葉付きの悪さは私も同じように感じました。
    巨樹DBの姿( https://kyoju.biodic.go.jp/?_action=gtcontents&_command=column002 )を見ると9年前と随分違うんですよね。
    しかしアカマツは18ヶ月周期で落葉するそうで、ひょっとしたら落葉の時期だったのかもしれないなと。
    そういう意味でも改めて様子を見に行きたい巨樹です。また三人で行けたらいいですねえ…

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