- 2018-09-13 (Thu) 15:57
- FUJIFILM XF 16-55mm F2.8 R LM WR | スギ | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別) | 福井県
FUJIFILM X-Pro2 / XF 16-55mm F2.8 R LM WR
先月の岐阜県→関東地方までの巨樹探訪記が全く進まないところではありますが、実は近隣地域の巨樹を含めると既に数十本分の未掲載ログが溜まっておりまして、とりあえず季節外れになってしまう前にこっちも少しずつ放出していこう!という次第でございます。梅雨明けの早朝に訪れたのがここ福井県越前市の「横根(よこね)の大スギ」。
見てのとおり最大の特徴は、この大きく突き出した枝。左右のスギがまるで鳥居のようにそびえる様を先達のサイトで拝見し、これは凄い!是非この目で見ておきたい!と思っていたのです。やはり実物を見てもかなりのインパクトがありますね。これは。
「大杉権現」。
かの泰澄さんが養老元年(約1,300年前)、霊松山横根寺(よこねでらではなく、おうごんじと読みます)を建立された際にお手植えされたものだと伝えられています。尤も公式には樹齢約300年とされており、実物を見た者の感想としては後者の方が正しいでしょう。大スギの根本には湧き水が湧いており、これは数百年枯れることなく湧き続けているため観音水と呼ばれ、遠方からも多くの方が汲みに来られるのだとか。実際に僕も頂戴しましたが、確かにこれは美味しい。眼の前に立つスギの姿も相まって何処となく霊験あらたかな雰囲気が漂っており、水を口に含むたびに背筋がシャキッとするような気がしました。
感の良い方は既にお察しかもしれませんが、実はこのスギ、決して二本が繋がっているわけではないんですね。Webや本で見る限りでは鮮明な写真がなく片方の枝が大きく伸びて隣の幹と癒着しているように見えたもので、何だこれは!と思っていたのですが、実物を見てやっぱりそうだよな…と少し残念なような、しかしながら腑に落ちた感があります。
裏側から見たところ。こちらの方が分かりやすいかも。
なんだか象がパオーっと鼻を持ち上げているみたいだ。
種明かししてしまうと何だ…という気がしなくもないですが、雪の重みに依るものなのか自然の力だけでこの造形が生まれているのだと考えると結構凄いと思いませんか?二本のスギが遠目には鳥居や門のように見える。これだけで充分に個性的な巨樹だと思うのです。
樹齢約300年。スギの巨樹としてはまだ若いですが、それでも見応えはあります。この立体的に波打った樹皮もなかなかのもの。
典型的なウラスギといった感じですが、やはりウラスギはそれぞれ個性的で見ていて飽きません。
それなりに人の往来があるからか、枝の多くがカットされています。
早朝だったこともあって結構な地元の方が散歩されていましたが、皆さん一様に笑顔でおはようございますと声をかけて下さり、明るくて良いところだなと非常に好印象でした。
散歩中の地元の方。流石に京都ナンバーの車は珍しいようで、この木を見に来たと伝えたところ大層驚かれていました。まあこの木だけでなく数本の巨樹を回りましたけどね。余計なことは言いません。ふふふ。でも、夜明け前に出発してまで見に来るやつがいるとは思わないだろうなあ。
もちろん記念写真も数カット。この巨樹自体が個性的で面白かった上に近隣にも結構なレベルな巨樹が散見するので、越前エリアの起点にはもってこいだと思いました。雪の降りしきる時期に再訪なんてのもオツだよな…なんて妄想しています。悪路を乗り越えて辿り着けるかが問題ですけども。
2018年7月3日訪問
横根の大スギ
樹齢 約300年(伝承1,300年)
樹高 共に約40m
幹周り 左5.8m、右4.9m
コメント:4
- RYO-JI 18-09-13 (Thu) 21:57
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面白い!こういうタイプの巨樹は初めてですねぇ。
本来の鳥居よりもその役割を全うしてそうです。
しかしさすがに完全には合体していないものの、数百年後には右側の幹が太くなって像の鼻を包み込んで
一体化してしまうんじゃないかと期待してしまいます(笑)。
最近は、単純に幹周の太さだけではなく、形や名称が気になって見に行く巨樹を選択することも増えてきました。
これはその特徴的な形がすごく気になるタイプですが、なんなら『横根の鳥居杉』といかにもなわかりやすい名に改称して欲しいです(笑)。
あと、to-fuさん、未掲載巨樹のストックが数十本もあるんですか!!
完全に枯渇している自分は大焦りです(汗)。 - to-fu 18-09-14 (Fri) 16:19
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> RYO-JIさん
この巨樹いいでしょう。敦賀や小浜エリアを回り始めたときからチェックしてたんですよ。
本気で2本のスギが合体していると思い込んで訪問したので、僕もその一体化に期待したいです。
(騙された!と思ったけど、自分が写真を1枚だけ掲載するとしてもやっぱり繋がってる風に見えるように撮るだろうしなあ…)
鳥居杉は良いですね。そっちの方が見に行ってみよう!という気になりますよ。いやホント越前市に提案したいくらいです。
この夏は単独で回りまくっていたのと、先の狛さんとの分もありまして…実はそっちを早く公開したかったり。
一応ノートには当時の記憶やメモを残してるんですが、やっぱり記憶が新鮮なうちに掲載してしまいたいですね。 - 狛 18-09-17 (Mon) 9:47
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この、天然の鳥居にしか見えない一枚が最高ですね。
額もちゃんとつけられていて、日本の神様が自然から生じたものだと信じずにはいられないような姿に見えます。
まあ、行ってみると種明かしがこうとは……しかし、神の前の舞台装置としての巨樹という意味で大きな役割を果たしていますね。
ちゃんと見れば、別に隠しているわけでもないんですな。
成長意欲旺盛で野生的な裏杉だからこそなせる技、裏杉はほんと面白いなと思います。
数十本とまでは行きませんが、僕も表に出してないものが結構溜まってしまっています。
季節があまりにも違って載せるのをためらっているうちに次の旅でインパクト強いものに出会ってしまい……気づいたら2年も経って、果たしてその巨樹がこのままの姿で今も存在してるだろうか? と不安になってしまう。
そうなってくると本格的に再訪の旅も考えないといけないようで……。 - to-fu 18-09-17 (Mon) 17:17
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> 狛さん
実は先日狛さんが公開されていた「児持杉」を見て、このスギの存在を思い出したんです。そういえば行ったなあと。
国天になるほどの樹齢でもないし、ランキングに上がってくるほどの大きさでもない。でも間違いなく個性があって、実際この目で見に行かずにはいられない。そんな巨樹。最初はどうしても数値上目立つものを優先して回ってしまっていましたが、まだまだこんな巨樹が潜んでいる(別に潜んでやしませんが 笑)かと思うとワクワクします。
先日も話しましたけれど、どうしても思い入れのある巨樹や凄かった巨樹から優先して掲載することになるので、微妙だな…という巨樹の未掲載ログばかりが溜まってしまって、一体どうしてくれようかという気分になります。何だか記事を書くにも力が入らないと言いますか。そう。もう姿が変わってるんじゃないかなあ、なんて思ったりもしますし。
僕もモリゾー状態で訪問したイチョウだとか真冬に訪れたツルッパゲ・ケヤキなんかは、再訪しておかないと失礼だよなと思っています。再訪の旅…そう考えるとそれはそれで面白そうですねえ。
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