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京都府京都市 Archive

再訪・京都市右京区京北 片波川源流域の伏条台杉群生地 1


FUJIFILM X-Pro2 / XC 16-50mm F3.5-5.6 OIS / Film Simulation PROVIA / Grain Effect weak

去年10月、狛さんが京都にいらした際に探索した京北の伏条台杉群生地を再訪しました。僕にとっては巨樹探訪にハマるきっかけになった場所で、狛さんとの再会は数年ぶりだったにもかかわらず何か会う度にムチャクチャなことやってるのは相変わらずだなーなんて楽しませてもらった、思い出深い地でもあります。

今回は入口から二の峰まで北上して三本杉を通って尾根わかれへ。
そのまま群生地最大の平安杉を訪ねて鼻高杉方面から戻るプランです。


ちなみにこちら区域一帯が府の天然記念物に指定されている、原生林と言って差し支えの無い山林。携帯の電波なんて当然入りませんし、大声を出したところでクマや鹿の耳にしか届かないでしょう。何らかの事故に遭った場合は死に繋がる可能性が非常に高く、ソロで訪れた自分が言うのも何ですが、単独での探索は控えておいた方が無難だと思います。

一応僕は以前訪れたことがあり、今回は天候の良い日中を選んでクマ対策(クマ避け鈴とスマホから音楽垂れ流し)もしています。また万が一のため、家族に場所を伝えて「今日中に帰ってこなかったら警察に連絡してくれ」とも言っておきました。特に早朝と夕方はクマの活動が活発なので複数人での探索であっても控えましょう。


案内板のすぐ脇に現れる”宿杉”。通称”てばさ木”(誰も呼んでない)です。


これを杉と呼んでいいのか…
というくらいに浸食されまくっていて、完全に他の木々の土台と化しています。根が幹を突き破る…いや、これは食い破ると言った方が近いな。鋭い爪や牙で獲物の臓物まで貪る獣に近い。杉として生きているのだろうか。と心配してしまうけれど、こんな姿になっても枝からは青々とした葉が。命ってすごいなあ。


こちらは”大やぐら杉”だと思われます。


根元からグワッと膨れあがり、無数の幹が天を衝く。
それは神々しいというよりは暴力的で、ここに長いこと滞在していると枝が触手のように伸びて自分を貫きに襲いかかってくるのでは…という恐怖を感じるくらいです。


スケールが分かりにくいですね。
この”大やぐら杉”も含め、そこらの名もなき台杉ですら神社の御神木クラスの太さ・迫力があります。御神木…なんていう神聖な印象は無いですけどね。ただ、決して禍々しいわけではないのですよ。もっと野性的なのです。原始の暴力とでも言いましょうか。


たぶん名もなき台杉。
というか、この辺まで来ると正直名称なんてどうでもよくなってきます。この原生林において人間が付けた名称なんかに何の意味があるのか。ただ見て、ただ感じる。ちっぽけなto-fuさんには圧倒的なパワーに畏怖することしか出来ないのです。


この台杉たち。太平洋側でよく見る直線的に伸びる杉(表杉)とは種類が異なる、積雪の多い日本海側に生息する裏杉と呼ばれるものです。狛さんから教わるまで表杉・裏杉なんて言葉すら知らなかったんですけどね。表杉は種子から新芽を出して増えていくのに対し、裏杉は種子から増えることが出来ないのだそうな。雪の重みで垂れ下がった枝から地面に根を張り、それがまた幹となって増殖するんだって。すごい。


遙か昔、数百年前は良質な木材として重宝されていた裏杉たちも近年では木材としての需要が無くなってしまった。この群生地の杉も長きにわたって放置され続けていた、言わば”杉のなれ果て”のような存在なんだそうです。ここが発見されたのは僅か数十年前のことだとか。数百年の放置プレイですよ、奥さん。

この森にいると余りのスケールの大きさに自分の感覚が付いていかず、何とも言えない不思議な気分になってくるのです。まるで自分が森に飲み込まれてしまい、その一部になってしまったような。深入りするともう戻れないんじゃないか…冗談抜きにそんな恐怖を感じるのです。


1本の木が森のようだ。いや、これはもう森だ。
ところどころ杉ではない幹が浸食していますが負けじと杉も枝を伸ばしています。もう殴り合いの喧嘩ですよこれは。ボクシングなんて上品なものじゃない。数十年、数百年続いている壮絶な殴り合い。殴り合う原因は何だったのか…そんなことお互いとっくに忘れてしまった。そんな喧嘩。


あぁ…何か熱くなってしまってダメですね 笑
帰宅してもまだテンション上がりっぱなしで…
ここまでの写真でようやく二の峰に到着したくらいです。
続きは次回に。

→その続き【再訪・京都市右京区京北 片波川源流域の伏条台杉群生地 2

京都市上京区 平野神社のクスノキ


FUJIFILM X100F / Film Simulation PROVIA / Grain Effect Weak

桜で有名な平野神社。
花見の名所として知られますが、花見シーズンに観光客と馬鹿騒ぎしたいだけの輩が大挙してくる以外は閑散としている神社です。


御神木のクスノキ。正しい参拝の手順はクスノキの側に置いてある「すえひろがね」という何やら有難い石を撫でて御神木のまわりを反時計回りに一周、その後本殿へ。という流れですが、機械式時計使いのおっさんとしては磁力を帯びた謎の石「すえひろがね」で時計が帯磁するんじゃないかと不安なので、石はスルーすることにしています。


幹の太さは大したものではありません。
しかし、なかなか立派な枝っぷりです。


ところどころ剪定されてはいるものの、なかなか好き勝手に枝を伸ばしていて充分な迫力があります。
どうも葉っぱがスカスカな気もしますが季節的な問題ではなく、新熊野神社のクスノキ同様カメムシによる虫害の影響が大きいのではないかと察します。


最近は集落を見守るような暖かい巨樹を続けて見てきました。
こちらのクスノキはどちらかというと逞しい、力強い。そんな印象を受けます。


何故だか分かりませんが、巨樹紹介本やサイトではあまり取り上げられてないんですよね。
京都市内においては結構立派な巨樹だと思うんですが。
葉っぱが茂っていればなかなか見応えのある一本だと思います。


平野神社のクスノキ
樹齢 約400年(500年という説も)
樹高 約25m
幹周り 4.85m

京都市右京区京北町 正法寺のカヤ


FUJIFILM X100F / Film Simulation PROVIA / Grain Effect Weak

病み上がりのリハビリ散歩。
その目的地としたのがここ正法寺。


平日午前中だけあって空いていた道の駅の駐車場に少し停めさせて頂き、のんびり2km程度。
(もちろん戻ってきてから食事してお土産に野菜も買いましたよ。)
日当たりの良い高台にそのお寺を発見しました。

162号からもその雄大な巨樹が確認出来る…とのことですが、周辺には同じくらいの樹高のスギがわらわら生えているので、これは事前に知っていないと発見できないんじゃないかなという気がします。


カヤの木。正直巨樹というよりは名木とでも言いましょうか。そこまで巨大かというと首をかしげたくなるサイズではありますが、その苔むした暖かい幹と剪定されることなく自由気ままに枝葉を伸ばす様を眺めていると、地域に愛されている様子が伝わってきてこちらまでほっこりした気持ちになります。


この自由奔放な佇まい。
結構な老木ですが、人に例えると大人しく縁側で将棋なんか指してるようなタイプではなさそうです。


一部、朽ちてきている箇所も見られます。
そろそろ補修してもいいんじゃないか…と思う一方、何となくこのカヤはそんな事望んでないような気もするのです。


カヤの葉っぱ。
僕の生活圏内ではあまり見かけませんが、決して庭木として珍しいわけでもないようです。


本当に日当たりの良い場所で、つい一息つきたくなるのです。
正法寺の向かいに石造りのベンチとテーブルが置いてありました。
恐らく解放されているものだと思われるので、道の駅で美山牛乳と「田中店」のパンなんか買ってくると堪らないはずですぞ!(宣伝)


まさに眼下の集落を見守るよう。


ぜひ晴天の日に訪れてほしいですね。
青空に映える巨樹だと思います。

正法寺のカヤ
樹齢 約500年
樹高 約17.5m
幹周り 約4.5m

貴船神社 奥宮の御神木 相生の杉


FUJIFILM X100F / Film Simulation Velvia
FUJIFILM X-T20 / XF 18mm F2 R / Film Simulation Velvia / Grain Effect weak

さて中宮よりさらに奥地。
奥宮へと続く参道の入口に待つのは御神木、相生の杉です。


共に生きる相生にして、共に老いていく相老でもある。


同じ根から生えた二本の杉ということですが、この根が凄い。
もう根っこというより一つの塊なわけですよ。
根と根が一体化し続けて一つの個と化してしまったのか、合体したアメーバのような様相です。


何となく単純に二本揃えて近くに手植えしただけなんじゃないの?という感じも致しますが…
でも根の塊を見てしまうと説得力を感じるのも事実。


本宮、中宮の桂と違ってサイズ的にも目立つことから、結構な人が足を止めて杉の写真を撮っていました。
相生という要素が縁結びの神社にピッタリ合致していることもあって明らかに別格の待遇を受けているような印象を受けます。
脇にそびえ立つ無名の杉と共に樹高はなかなかのものです。


裏側の根っこ。
僕はこれを見て、一見仲睦まじい夫婦だけど裏側を覗くとドロドロした利害が絡み合っていた…そんな光景を想像してしまいました。優しさだけでは生きていけないんだぜ、と言わんばかりに全力で己の根を伸ばし合っています。


ここも角度的に撮影できるポイントが限られていますね。28mmでは不完全燃焼。
おいおい、もう一回撮り直してくれよと頼まれているような気分です。(いや、誰も頼んでない)
近々再訪する予定。

貴船神社 相生の杉
樹齢 約1,000年
樹高 約35mm
幹周り 約9.6m

貴船神社 中宮(結社)のカツラ


FUJIFILM X100F / Film Simulation Classic Chrome → Velvia
FUJIFILM X-T20 / XF 18mm F2 R / Film Simulation Velvia / Grain Effect weak

本宮から中宮へ移動。
移動といってもほんの100m程度ですけど。


結社の由来です。
コノハナサクヤヒメというとアレですね。火を放たれた屋敷の中で出産したという織田信長も真っ青な肝っ玉母ちゃん。それにしても現代人のto-fuさんからすると別にイワナガヒメノミコトが恥じる必要なんて無いように思えます。しかし神話にツッコミを入れ始めるときりがないわけで。神話って日本のものに限らずどうしてまああそこまで過激な内容ばかりなんだろう。


結び文。
願い事はこうして形にしたり、日頃から口に出すことが大事だと思っております。


御神木の桂の木はそんな中宮の裏手にひっそりとたたずんでいます。
本宮の御神木より竹ぼうき感(そんな言葉無い)が強く、葉の落ちた冬にもかかわらず目を惹きますね。


こちらも樹齢約400年。
木に結ぶと枝が枯れ、あなたの気も枯れてしまいます。なんて素敵な言い回しじゃないですか。
昔は御神木に結ばれまくっていた記憶がありますが、たった一つの結び文も見当たりませんでした。素晴らしい。


暖かくなったら絶対に再訪したい…


周囲に御神木を遮る杉が多く、歩ける範囲も限られているので似たような写真ばかりになってしまうのですよ。
やっぱり撮影スペースが確保出来ない場所の巨樹を撮影するのに28mmではストレスが溜まるなあ。
次回はキヤノンと広角ズームのセットも持ってこないと。
ん?フジのラインナップに14mm、16mmの単焦点なんてのがあるぞ…

↓この桂の木に関しては何故か樹齢以外の情報が一切無いみたいなので推定です。

貴船神社 中宮(結社)の桂
樹齢 約400年
樹高 約30m(本宮の桂同等に見える)
幹周り 約5.5〜6m(本宮の桂よりは明らかに二回りくらい逞しい)

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