- 2020-02-04 (Tue) 0:14
- SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G | カヤ | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別) | 静岡県
SONY α7RIII / SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G
昨年の春先ちょうど浜松の取引先に用事がありまして、せっかくなので春休み中の子供たちも連れて行くかということで子連れでやって来たのでした。普段あまり立ち寄ることのない静岡県ですから当然私としては隙あらば巨樹…と行きたいわけで。事前の下調べで新東名の浜松北ICからほど近い場所にこの「北浜の大カヤノキ」があることを知っていた私は、ここに寄らせてくれたら夕飯は君らが食べたいものを何でも食わせてやろう、という取引をしてこの巨樹に寄らせてもらったのでした。浜松まで来てイタリアンかよ、というオチでしたが。まあうなぎとか浜松餃子とか子供は別に興味ないよなあ。あとはさわやかのハンバーグ?メチャクチャ並ぶらしいので今度は私が興味ありません 笑
国指定天然記念物に指定されるカヤの巨樹です。あまり大きくなることのない樹種であるカヤの中でも特別大きい、というわけではないように思います。私が過去訪問した数少ないカヤの巨樹の中でも群馬県の「横室の大カヤ」や兵庫県の「建屋のヒダリマキガヤ」(一番お気に入りのカヤなんですが実はまだ訪問記を執筆できてなくて…すみません。)の方がずっと大きい。
では国天の選定理由は何なのかと言われると、恐らくこの美しい樹形にあるのではないかと考えられます。全国でも有数の大きさ、さらにこの全体的にバランスの良い立ち姿。冒頭の写真とは違う角度で撮影していますが、柵に覆われた周囲を360度ぐるっと回ってどこから眺めてもこのような美しい姿を楽しむことが出来ます。
根本が若干枯れてしまっているように見えますが、それでも樹勢は上々。解説板には幹周5.4mとの記載がありますが恐らくこれは国の天然記念物指定時に測定されたものではないかと。環境省の巨樹データベースでは5.6m、文化庁の国指定文化財データベースでは6.75mとなっています。実際に見た印象では6m無いくらい?成長の遅いカヤが5.4mから成長して5.6~5.7m辺りが妥当な線だと感じました。スギやクスノキなら数値だけ見て後回しにしてしまいかねないサイズですが、カヤの木としては確かに全国でもそれなりに目立つ数値でしょう。
流石にこれだけの美しい樹冠、カヤだけの力によるものというわけにはいきません。遠目には枝葉に隠れて目立ちませんでしたけれど、実は大枝の折損を防ぐためにたくさんの支柱が立てられています。
人間の助力あって初めてこの美しい姿が成立している。もしこの巨樹がどこかの山中で人間に助けられることなく自力で立っていたならば、多くの枝葉を失った「ただ大きなカヤの木」と評価されて国天の称号までは与えられなかったかもしれません。もちろんこのカヤにその称号欲しいか?と聞いたら、どうでもええわ、と返ってくることでしょう。
全方位に放出される枝葉。実に美しい。
よく見ると最近枝が切断されたと思われる箇所も見られます。断面から水が浸透しないよう樹脂のようなものが塗られていますね。
役目を終えた支柱でしょうか。やはりここ最近の間に数本の大枝が折損してしまったことは間違い無さそうです。周囲には長閑な農地が広がるのみですから、台風のような強い雨風をダイレクトに浴びることになります。それでも何百年も生き続けているわけで直ちにどうこうなることもないのかもしれませんが、この美しい樹形をいつまでも保ち続けてほしいものです。
うん。細部をじっくり観察するよりも少し離れて景色の一部として眺める方が素敵なタイプの巨樹だと思う。こんもりした樹冠がとにかく青空に映えるんですよね。夕暮れ時なんかきっとフォトジェニックなんだろうな。
このカヤを見るためだけに浜松に行くかと言われると決してそういうタイプの巨樹ではない。でももし近くを通ることがあったなら、やはり無理してでも立ち寄りたくなるだろうと思うのです。目の前に駐車スペースがあり、とにかくのんびり撮影できます。周辺がこれだけ開けているのでズームレンズで撮影するのではなく50mmとか85mmくらいの「ちょっと普通の巨樹撮影では主役になれない」タイプの単焦点レンズで一本勝負してみても面白いんじゃないでしょうか。決して派手ではない。でも、とても気持ちの良い巨樹でした。こういう巨樹も好きです。
2019/3/31訪問
「北浜の大カヤノキ」
国指定天然記念物
樹齢 推定600年
樹高 22.3m
幹周り 5.4m
浜松市浜北区本沢合
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コメント:2
- 狛 20-02-10 (Mon) 8:14
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浜松には行ったことがあるな……と地図でこのカヤの所在を見てみたら、ほとんど東端と言っていいところですね。
でも、思い出してみれば、僕は建設会社のヨッパライ旅行で浜名湖に行っただけでした。
終始ダルーな気分であり、きれいどころのお姉さんがその雰囲気とは裏腹、飲めない自分をとても気遣ってくれたことだけが記憶に残っています。
浜松の人の感覚はむしろ名古屋に近いのよ、と教えてくれましたよ……。
RYO-JIさんが撮っていた埼玉のカヤもこのタイプでしたが、こちらもすごく立ち姿が良いですね。
他にもそのタイプではないかというカヤが思い浮かぶので、どうもカヤの天然記念物指定(特に国)には樹形が関係しているのではないか……と思えてきました。
もともとそこまで巨大にはならない樹種ですから、名木としての配分が多いのかもしれません。
周囲が開けているし、のびのびとした感じ。トップの写真も、絵に描いたような、理想的な樹が撮れていてすがすがしいです。
ただならぬ森の雰囲気や怪異な形状の巨樹だけじゃなくて、こういった写真があることは大切だと思います。
時が経ってアルバムをめくって行った時、ふと良い気分で手を止めさせてくれるのはこういう写真かもねと思いました。
さわやかは目につきますよね。あれはなんだ、けしからんと。
伊豆をはじめ、静岡・愛知方面の探訪では空振りばかりだったので(正月だったし……)再度の計画を考えたいのですが、たぶん何度もさわやかな感じになってしまうと、それだけはもう逃れられないようです。 - to-fu 20-02-10 (Mon) 20:22
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> 狛さん
巨樹的に見ると浜松エリアの大物は天竜区という、いわば十津川村やつるぎ町的な秘境中の秘境に集中してるんですよね。
流石に子連れで秘境を攻略するのはムリだろうということでセレクトしたのがこのカヤと浜松駅近くのクスでした。
天竜区にある「春埜杉」のGoogleMapの口コミはぜひご一読下さい。我々好み(決して好みではない)でニヤニヤしてしまいますよ。冗談抜きで行きたいんですよね。
ちなみに静岡市の人間が言うには西の浜松の人間は三河人気取り、東の伊豆の人間は東京人気取りで文化圏がおおよそ県内3つに分かれていて、それぞれメチャクチャ仲が悪いそうです 笑
カヤは大きさで勝負するのが難しいので、仰るように樹形であるとか希少性(ヒダリマキガヤ、ハダカガヤなど)で天然記念物指定が決まっている印象がありますね。凄まじい大きさのものとはそうそう出会えませんが、カヤはお寺の敷地内に植えられていることが多いので雰囲気の良さ、立地の良さで満足度が高いことが多いです。このカヤもお寺の境内ではありませんがやはり雰囲気が抜群に良かったです。
さわやかは一度も入ったことがないんですよね…一時期岡崎で暮らしていた妹が言うにはあれは美味い!ということですが。
並ぶのは大の苦手ですが、それでもやっぱり一度くらいは食べておくべきなんでしょうね。
うーん、静岡も行かないとなあ。
ふと思いましたけど、狛さんがご実家にいらっしゃるタイミング限定ですが、天竜区や「月瀬の大スギ」とかあの辺の山間部の巨樹を巡りつつの巨樹サミットでも面白いかもしれませんね。2泊…皆さん多忙なようならそれこそ1泊でも名だたる巨樹、それも単独ではなかなか巡る機会がないような巨樹を回れるかもしれません。
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