LEICA Q
本日も晴天。
朝の運動を兼ねて、自転車で近所をさくさく試し撮りしてきました。
むむっ…これは確かに小気味いいかもしれない。
カッ！という品のあるシャッター音。最近は一眼レフの「俺は写真撮ってるんだぜ、どけよ愚民ども。」と言わんばかりのけたたましいシャッター音も、今最高に写真行為してるぜ俺は…という感があって好きになりつつあるのですが、そういえば大昔にこのシャッターフィーリングの心地よさに惚れてMF一眼レフからレンジファインダー機に持ち替えたんだったな、なんて過去を思い出しました。いえ、Qはレンジファインダーでも何でもないただのコンデジなんですけどね。M型ライカの魂をしっかり受け継いでいることだけは伝わってきます。
えーと、例えるならQのシャッター音は清楚な文学少女（令和の時代に実在するのか分かりません）が手元にハンカチなんぞ当てながら「シュンッ……」と慎ましく放つくしゃみの音。それと比べるとα7RIIIもK-1も脂ぎったオッサンが口元を手で隠すこともなくツバだの何だの撒き散らしながら「ブウェックショーイ！！」なんて地響きを伴うクシャミの音。それはもうこれくらいに違います。
写りに関しては…
ぶっちゃけ並じゃないですかねえ。
たしかにレンズの素養の良さは実感できますよ。こりゃ間違いなく良いレンズだ。しかし流石に2015年のカメラだということもあるのでしょうか…数世代前のフルサイズセンサーで撮っている感がビシバシ伝わってきます。ダイナミックレンジは本当にこれフルサイズ？って疑いたくなるくらい微妙。特にハイライト側は露出補正でかなりアンダー目に振っても飛びやすい印象です。手持ちのカメラで近いものだと2016年発売のPENTAX K-1がありますが、K-1と比較するとRAWデータの持つ懐の広さが2段3段は劣るように感じます。
でもまあ、本当にそこまで画質にこだわる必要あるか？とも思うわけですよ。毛穴のブツブツまで精緻に記録できる超高画質なカメラ…我々が夢見た写真機の未来って本当にそんなものだったんでしょうか。スマホで写真を楽しむ一般の方々にカメラマニアが言うんですよ。「一度でも一眼レフを持ってくれたら画質の違いが分かるのに。カメラの良さが分かるのに。」まあ確かにそらそうなんですが写真を楽しむという行為にとって、画質って本当にそこまで重要な要素なんですかね。物事の本質を見失っているのはむしろ我々愛好家の方なのかもしれない、とto-fuさんは考えるわけです。
どうせデジタルの画質なんて数年で陳腐化しますから。その画質にしてもそろそろ頭打ちかというところまで来てしまった。そう考えると、例え画質の面で陳腐化しようとも外装の質の高さや写真機として使用する際の小気味良さでは最新の基準でも常に最高レベルであろう、というライカの戦略は間違っていないような気がします。
（大枝の付け根に大量のセミの抜け殻があってかなりキモい。）
デジタルライカって「ガワにコストをかけただけの、なんか神棚に飾ったおライカ様を眺めながら自慰行為に耽ってそうな人達が使ってるカメラ」という印象しかなかったんですが、実際使ってみるとこれは方向性としてありなのかもしれないと共感することができました。失礼なことばかり言って本当にすみませんでした。いえ、ライカは別格、ライカこそ真の写真機だ、みたいな原理主義者の人はやっぱり気持ち悪いと思いますけど。カメラはただの道具ですよ。
素晴らしいカメラだ、これを使ってしまったらX100Vなんて持ち歩く気になれないぜ、と感じるかどうかは人によるのではないでしょうか。画角も違いますしね。少なくとも私は「よし、X100Vは売ってしまおう！」とまでは突っ走れませんでした。やっぱり細かいところまで気配りできてるなあと感じるのは国内メーカーなんですね。時計でも車でも舶来モノはどうも融通がきかない。いやいや、ライカはそのドイツ人的な偏屈さを楽しむものなんだと仰る方もいらっしゃるでしょう。でも私は日本生まれ日本育ちの純日本人なので、なんと言われようと日本人的な、神経症的と言い換えてもいいですが、そんな気配りだって好きなんです。
とはいえこのついつい撮影に没頭してしまう小気味よさがクセになるのは事実。フィーリングの良さにここまでコストをかけられるメーカーがライカ以外にあるかというと難しいところですが、とにかくカメラが売れない昨今ですからスマホとの差別化としてフィーリングの良さへのこだわりを打ち出すことは大いにアリなのではないかと思います。操作感に極振りしたミラーレス一眼や一眼レフ…いやあ私は所有してみたいですけどねえ。
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