- 2021-01-12 (Tue) 11:51
- FUJIFILM X100F | MS-OPTICS SONNETAR 73mm F1.5 | カメラの話
FUJIFILM X100F / Film Simulation “PRO Neg. Hi”
再びライカMマウントレンズに手を出した瞬間から、絶対に手に入れたいと思っていたレンズがあります。ノクチルックス 0.95/50？アポズミクロン 2/50？いえいえ。それがこの宮崎光学のSONNETAR 73mm F1.5。定価11万円ということで、私のような一庶民の金銭感覚からすると高くはありますが決して非現実的な金額ではない。いつでも買えそうなものですが職人のハンドメイド品にありがちな話、不定期に少量生産されるだけなものですから、（使いもしない新品在庫をおさえてプレミア価格で転売する社会のクz…いえ、中古店を除外すると）出物に出会うのがなかなか難しかったわけです。まあ出会いがあれば別に中古でも…なんて考えていたところ昨年の12月、某カメラ店に新品が入荷したという情報を見かけてしまいましてね。ああ、これは運命だ。買うしかない。ということで念願のSONNETARを入手した次第です。
宮崎光学は宮崎貞安氏が一人で運営するレンズメーカー。CONTAX Gシリーズや銀塩コンパクトカメラのレンズをMマウントに魔改造してくれることで名が通っている印象で、私も以前所有していたGプラナー 2/45を魔改造してもらおうか悩んだ記憶があります。（2020年9月をもってレンズの改造は受付終了した模様。）職人のハンドメイドということで新品時からスレがあったりピントリング指標の赤ポッチ塗装がはみ出していたりとビルドクオリティはご愛嬌ですが、わずか1mmにも満たないであろう極薄の鏡胴（真鍮製？マウント部のスレた箇所から金色の地金が見える）の内部を占める巨大なガラス玉を眺めているだけで、もうメチャクチャにテンションが上がります。しかも1.5/73という大口径中望遠レンズにしてズミクロン 2/50並みのサイズと重量という。すごすぎる。
手書きコピーの説明書。赤ペンが入れてある箇所は製作者の宮崎氏が各個体ごとの個体差や注意点を出荷前に手書きで書き加えているらしい。私の個体はややフレアが出にくい？出やすい？グラフの見方が分からなくて申し訳ありません。MTF曲線と同じ見方だとすると出にくい、となるのでしょうが。先程新品なのにスレが云々と書きましたが、レンズ組立時にピント調整や収差など、光学的な調整をするために何度も手作業で組み直しているためスレや小キズはご容赦を、ということらしいです。そうなるとスレの一つですらこのレンズの個性のように思えて、何とも愛着が湧いてくるではありませんか。
ちなみにこのレンズはヘクトール 73mm F1.9のオマージュのようです。宮崎氏が過去の銘玉をオマージュする際に心がけていることが「オリジナル以上の光学性能をオリジナルよりずっとコンパクトに」なのだそうですが、実際ヘクトールをはじめとしたライバルレンズたちの重量と比較するとぶっちぎりの差で軽量化されている事が分かります。多くが500g台、中には730gや800gなんてのもいる中で197gですからね。とんでもないことです。
LEICA M10 / MS-OPTICS SONNETAR 73mm F1.5
まだ試し撮りしただけですが、これは良いですよ。軽くて小さい＝描写に妥協しているなんてことは全くない。（ただし片手では絞り値を変更できないなど、操作感には思い切った妥協が感じられます。）ここぞというときに家族を撮るなら絶対にこのレンズだなという感じ。以下、テスト的に近所を撮り歩いてきたカラー写真。M10のJPG撮りっぱなしです。参考までに。
F2.0。ピント面がかなり薄い。
F1.5。周辺光量落ちはそこまで大きくもない。雰囲気あっていいと思う。
F1.5。よっしバチピン！と思ったら全然ピントが来てなかった一枚。レンジファインダー機を使ってるとまあいいやって思えるから不思議。
F1.5。ややローキー気味に。情緒的な写りでとても好み。
F4.0。製作者によるとF4.0で光学性能がピークに達するとのこと。本当にいいレンズだなあ。大切に使おう。
余談ですが昔のレンズってF8～11くらいまで絞り込まないと画質がかなりアレでしたけど、最近のレンズは開放から光学性能が高いので被写界深度を稼ぐ以外の目的でF8とかまで絞る必要がなくなりましたよね。個人的にはボカさず細部までしっかり写したい巨樹撮影以外でF8以上を使うことは現状ほとんどありません。絞っても大体F4とかF5.6までですね。
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