徳島県徳島市 若宮神社のクロガネモチ

FUJIFILM GFX50S II / FUJIFILM GF 32-64mm F4 R LM WR

サイズだけなら同じ徳島県内の県指定天然記念物「尾開のクロガネモチ」を上回る立派なクロガネモチの巨樹。
今度徳島市の南方を通ることがあったら必ず立ち寄ろうとチェックしておりました。

実は今回の遠征で一番楽しみにしていた巨樹だったりするのですが…

徳島市のほぼ南端から佐那河内村へと繋がる県道33号線を少し脇道に入ったところに鎮座する若宮神社。
立地的には過去紹介した「速雨神社のクスノキ」から車で数分のところに位置します。

冒頭の写真のとおり社殿裏手の竹藪の中からひょこっとクロガネモチの樹冠が顔を覗かせており、33号線からも比較的よく目立ちます。

しかしまあ、とにかく失敗だったのが訪問した時間帯。
夏場の夕方前ということで日差しが強烈すぎて社殿側からは撮影になりません。

ただでさえ立ち位置が狭くて同じ構図でしか撮影できない上に強烈な西日でせっかくの美しい樹皮が真っ白にすっ飛んでしまう。
これは無理だと撮影を諦めました。ダメ元で神社の裏手へと回ってみることにします。

うむ…この中に突入しろと申すか。
最高気温35℃を超す酷暑、当然日陰には血に飢えたやぶ蚊の群れが待ち構えるわけで、これはなかなかの勇気を要する。

「こんなはずではなかった…」

これが私の正直な感想。
10年前に訪問された巨樹と花のページさんのログを拝見するかぎり、当時はここまで竹藪に浸食されて荒廃していなかったもので。

まあ後はもうホテルにチェックインしてのんびり休むだけだ。突入!!
覚悟を決めて突入してみたものの、やはり竹が密集していて立ち位置がない。
全身にまとわりつく蜘蛛の巣、そしてどこからともなく集まって来たやぶ蚊の群れ…
ちょっと撮影どころではありませんねこれ。

しかしこのクロガネモチ、本当に立派なんです。
幹周4.4m(徳島県の123さん実測によると現在は5m近いとのこと)のクロガネモチというと全国的に見ても上位に来る大物です。

何故こんなことになってしまったのか…
私の地元でもコロナ禍の数年間は地域の自治会や自治体による草刈りが行われず、公園や広場が荒れ地のようになっていました。
このクロガネモチもコロナ禍の間に成長著しい竹藪に覆われてしまったのかもしれません。
ここまで荒れてしまうと地域の方の力だけで以前の姿に戻すことはほぼ不可能でしょう。残念でなりません。

現在は樹冠以下がほとんど藪に埋もれてしまい、全く視認できない状態です。
遠巻きに樹冠を眺めるかぎりでは着生植物まみれになってはいるものの樹勢は上々。
ただし123さんの情報によるとサルノコシカケの付着が見られるそうで、幹の内部は見た目以上に衰弱している可能性があります。

藪の中から顔を突き出して雄たけびを上げているようだ。そんなことを感じました。
荒々しい枝張りには「尾開のクロガネモチ」とはまた違った見応えがある。
全身の立ち姿が見てみたかったなあ…

ここまで大きく育ったクロガネモチは日本中見渡しても本当に貴重な存在。
せっかく市の保存樹に指定されているわけですから、せめて襲い来る竹藪だけでも手入れしてもらえたら。徳島市さん何卒。

不完全燃焼だったことに経過が気になることも重なって、今後も近くを通る際は定期的に立ち寄ってみようと思っている巨樹です。
いつの日か万全の姿を晒したクロガネモチにもう一度リベンジさせてほしい。

2023/9/13訪問
「若宮神社のクロガネモチ」
樹齢 不明
樹高 約15m
幹回り 4.4m(現在は5m近く)

徳島県徳島市八多町水口101-1

6件のコメント

  1. 「が……」という冒頭から竹藪が目に入り、良くない予感がしました。
    竹ってやつは本当に厄介ですね。やっつけるには表層土ごとやるか、絶えず切り続けるしかないみたいですし。
    ちょっとやそっとの労力ではクロガネモチを自由にしてやれそうにない。

    しかし同時に、この環境でも5m近くまで大きくなっている。
    クロガネモチの限界サイズなんじゃないかというのと同時、樹種としての強さを感じます。
    「尾張」も期待以上の樹でしたが、この樹もうねった枝ぶりと独特な樹皮の質感は主張してくるものがあります。
    to-fuさんの見立てのように、一定以上高くはならない竹の群れを突き破って大きく呼吸したかのように見えますね。
    解放された姿を拝んでみたいものです。

  2. > 狛さん
    私も車を停めて竹藪が見えた瞬間から嫌な予感がしましたからねえ 笑
    ここまで来ると竹野郎が諦めてくれるまでひたすら切り続けるしかないので、ちょっと絶望的ですね。
    地域の草刈りで竹刈ってくれって言われたら私だって絶望してしまいます。

    いやホント、日本中見てもなかなかないサイズだと思うんです。クロガネモチのランキングに載るのでは?
    あの白壁のような樹皮は青空にこそ映えるので、ここが尾開のように開けた場だったら!と口惜しいですよ。
    社殿と道路に挟まれてただでさえ窮屈なところに生えているので見世物にするのも難しいと思いますが、
    せめてこの竹地獄からは解放させてもらいたい…今年もまた見に行ってみようと思っています。

  3. 竹藪は本当にやっかいですよね。
    この姿を見て真っ先に奈良の大川杉を思い出しました。
    上部は見えているけど下部は竹に埋もれて見えない、近付けないという。
    おまけに猛暑、やぶ蚊という最悪の状況で拝みに行かれたto-fuさんには拍手を送りたいです。

    しかし上部の枝振りはかなり見応えありますね。
    私だったらバカみたいずっと見上げてしまいそうな気がします(笑)。
    写真ではとても元気そうに見えますがサルノコシカケですか、これまた厄介ですね。
    勝手なイメージですが、徳島県は樹木に優しい感じがしているので何とか早めに手を打ってもらいたいです。

  4. > RYO-JIさん
    そういえば大川杉も全く同じ状態ですね。
    あちらも本当に良いスギ、さらに見晴らしまで最高のロケーションにあるので勿体ないです。
    あの迫力満点のスギが竹藪なしにズドンと立っていたら、かなり人目を惹く存在になると思うんですけどねえ。

    そうなんですよ。樹冠だけ見るかぎりでも相当なクロガネモチに違いなく。
    竹藪は放っておいたら勢力を拡大するだけなので、毎年少しずつでも切り払ってもらいたいものです。
    蚊にたかられて全身クモの巣まみれでは、どんなに立派な巨樹でもそっちばかりが印象に残ってしまいますよ 笑

  5. インフルエンザ等で体調崩してしまいましたが以前罹ったコロナと症状から回復期間まで
    ほぼほぼ同じ様な経過を辿りました
    インフルエンザに例えられる事がしばしばありますが改めて全快した後、納得してしまった今日この頃です

    しかし私が最後に訪れた頃より随分と竹藪の勢いが増してますねえ 雑草も随分と成長が進んでるのも気になります
    私が何度か訪れた時はまだ画像1.2枚目の正面からは全貌が見れたのですが・・・
    おそらくまともに都度管理されている方がいないのでしょう
    極稀に地元の方が~程度だと竹の脅威は抑えられませんから・・・ 何とかして欲しい所です

  6. > 123さん
    インフルエンザは軽々しく扱われますけど、実際に罹患するとそのまま死んでしまうのではないかと思うくらい辛いですね…
    無事回復されたようで何よりです。

    この竹藪は仕方ない面もあるのだと思いますが、ここまで来てしまうと元の状態に戻すのは難儀しそうです。
    クロガネモチという樹種自体地味ではありますが全国に誇れる大きさの名木だと思います。
    このまま藪に埋もれてしまうにはあまりに惜しい存在なので、何とかしていただきたいですね。

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