- 2024-08-06 (Tue) 13:59
- FUJIFILM GF 20-35mm F4 R WR | クスノキ | 巨木たち（地域別） | 巨木たち（樹種別） | 香川県
FUJIFILM GFX50S II / FUJIFILM GF 20-35mm F4 R WR
もう何年も前に存在を知り気になってはいながらも、なかなか立ち寄る機会のなかった巨樹。
私がこのエリアを訪れる一番の目的は「志々島の大クス」であり、大クスと相見える前に別のクス巨樹を眺めてしまうのはいささか無粋ではあるまいか。かといって大クスを見た後の巨樹欲が完全に満たされた状態で直ぐ側にクスノキの巨樹があると言われても一向に食指が伸びない。ということで、私のような遠方からはるばるやって来る巨樹愛好家にとっては訪れるタイミングが掴みにくい巨樹でした。
が、今回（2024年4月）色々あって数時間の空き時間ができたため立ち寄るならこのタイミングしかないだろう！ということで相対することが叶いました。
GoogleMapsのナビを頼りに目的地の葛原正八幡（かずわらしょうはちまん）神社までやって来たものの、広い！そして駐車場が見当たらない。
短時間なら邪魔にならないだろうと神社に隣接する地域の集会場に車を停めさせていただきましたが、集会場の目の前、神社の敷地の端っこにあるクスノキがまたデカい。
と言いますか、白状するとこのクスノキが目的のクスノキではないかと勘違いしてしまいました。間違いなく巨樹クラス。
樹勢は上々、幹周も6.5mは超えていると思いますが真横が駐車スペースにされているのが気の毒です。
（ただ最近クスノキの根回りって我々人間が思う以上に実はずっとタフなんじゃないか、という気もしている。）
（先程のクスを目的のクス巨樹だと勘違いしたまま）神社の境内へ。
やはり巨樹愛好家たるもの、好き勝手巨樹をねぶり回す前にきちんと神社を参拝する心構えが大切です。
そしてそこでようやく気付く。あ、さっきのクスじゃない！こっちだった！
拝殿前にそびえる長身のクスノキを発見。
初見の感動を際立たせようと事前にほとんど情報を仕入れてこなかったこともあって勘違いしましたが、今度こそ間違いないでしょう。
如何にも四国平野部のクスノキといった実直な立ち姿で、シンプルにデカい。
柵や支柱の類のものは一切ない健康優良樹。それでも根回りがとても立派で立ち位置に気を使います。
こちらの「はちまんさん」が建立された延久5年（1073年）には既にこの地に自生していたと伝えられ、そこから逆算すると樹齢は1,000年を超える…と。
この手の1,000年伝説、2,000年伝説は巨樹界あるあるではありますが、健康状態や樹皮などの雰囲気を見るかぎり間違いなくもっと若いはず。
樹齢は恐らく500年とかそのあたりではないでしょうか。とはいえ1,000年だろうが500年だろうが樹木としての格に何の変わりもない。
幹周約8m、樹高30mのクスノキというだけでも相当なものです。
かつては「森八丁池八丁」だった葛原地区ですが、現代では随分と開発が進んで宅地化されておりまして。
ホタルを復活させてもう一度ホタルが舞う里にしようと「ほたるの里事業」を進めていたはず（この辺を運転しているとほたるの里事業の看板が点在している）ですが、あれはどうなったのか…と調べてみたところ、残念ながらホタルが定着してくれず事業は終了してしまったみたいです。
水路のコンクリート化や水質の悪化だけが原因…なのかなあ。
うちの近所の護岸整備されたドブ川ですら毎年ホタルが舞っているのを思うと、何だか他に根本的な問題がありそうな気がしますが。
立派な根回り。
幹の空洞化も見られず、健康状態は良好です。
地上から3、4mのところから一気に扇のように枝が広がる。
このどっしりとした股の部分の迫力に見入ってしまった。
訪問したのがちょうど新芽が芽吹き始めた4月中旬だったこともあり、少し寂しい姿にも見えますが。
もう一月も経てばフレッシュな新緑を身にまとった美しい姿を見せてくれたのだと思います。
クスノキの葉が新芽に生え変わり始めて、そろそろ春が始まる！とソワソワしてくるあの感じが個人的には大好きなのです。
しかしまあ写真として見栄えするかというとそんなこともなく。あまつさえこの日は大量の黄砂が舞い一寸先は真っ白。
あまり巨樹撮影に適したコンディションとは言えませんでしたが贅沢を言いだしたらキリがありません。
もう一度訪問する楽しみが出来たからいいじゃないか！とポジティブに考えよう。
変に力みすぎていたのか、なかなか会いに来ることが出来なかったクスノキですが、一度会ってしまえばしめたもの。
次回からはもっと気軽に。それこそうどん屋や銭湯にでも立ち寄るような感覚で来てみよう。
クスノキ自体は天然記念物無指定ですが社叢全域が香川県独自の自然記念物に指定されています。
心震えるような感動を覚えるようなクスノキではない。それでも、とても良いクスノキだと思う。
是非とも自宅から車で30分以内の神社に欲しい。そんなクスノキでした。
2024/4/18訪問
「葛原正八幡神社のクスノキ」
樹齢 伝承1,000年以上（恐らくもっと若い）
樹高 約30m
幹周り 約8m
香川県仲多度郡多度津町葛原1646
コメント:4
- RYO-JI 24-08-07 (Wed) 21:27
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もう何度も思い知らされておりますが、ほんと四国のクスの層の厚さときたら・・・。
志々島の大クスや加茂の大クスが異常なのでついつい軽く見てしまいがちですが、冷静になって見るとこれもまた見事なクス。
巨樹愛好家じゃない一般人が見ても相当驚くサイズ感じゃないですかねぇ。
案内板にあるようにその霊感に気付くでしょう。
実際に健康成就が叶うかどうかは別として、そういう気持ち（ポジティブ）になれること自体がとても良いことだと最近よく思います。
この御神木はそういう意味でも価値ある一本ですね！ - to-fu 24-08-07 (Wed) 22:57
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> RYO-JIさん
四国は回ろうと思えばクスだけで簡単に一日のコースが組めてしまうので、メリハリを付けるのに気を使いますね…
やはり大物は何度行っても見ておきたい！となると二番手三番手はなかなか訪れる機会がなく。
しかし仰るように単体で見たら充分にエリアを代表するポテンシャルを秘めたクスばかりで、行けば後悔しないのも分かってるんですよね。
私も巨樹がパワースポット的にユルく解釈されるのはいかがなものかと思いつつ、コロナ禍の頃に何度も塞ぎ込みがちな心を
解放してくれた経験から考えを改め始めています。見て撮って心が満たされて、明日からまた気持ち新たに頑張れる。
それだけで十分素晴らしい体験だと思いますね。パワースポットか否かなんてのは、実にどうでもいいことです。 - 狛 24-08-12 (Mon) 17:46
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巨樹巡りを重ねていると、だんだん近場のがなくなっていき、熊や滑落の危険がつきものみたいな選択肢になってくるところ、四国の平野部にはほとんど無尽蔵にこうしたクスが見いだせそうですね。
地面は平ら、空中にも何もなく、ごく素直に生育したような樹形。大きなトラブルにも見舞われてなさそうですね。
主役としてこれひとつをクローズアップするというより、とある場面の背景にこんな巨樹が映ってたらすごくいい感じ！ というような存在感。安心して日常的に眺めていられる巨樹はこのクラスなんだろうなと。
贅沢だな、香川県民は。笑
to-fuさんの解説になるほどと思ってmapを見てみましたが、数多くため池が散らばってるところもいかにも香川。
今でもこれ一個一個にも名前がついていて、それぞれ数百年くらいの歴史もありそうなところがまた興味深いです。
ホタルが定着しないとか。仙台でも街中の公園でホタルが復活したとか言ってましたが……なんでしょうね、自然な水の流れが乏しいんですかねえ。 - to-fu 24-08-13 (Tue) 21:12
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> 狛さん
そうなんですよね。危険と隣り合わせの秘境を攻めるか、公園のそこそこ大きなケヤキなんかを巨樹だと思い込んで撮影するか 笑
四国平野部には川と国道と田んぼしかない（失礼すぎる）ので推定巨樹な物体がよく目立つのもありがたいです。
とりあえず高松まで行くかー！って車を走らせると、何の下調べもしなくても気になるブツが最低でも数本は見つかりますから。
この巨樹も地域を代表する特別な一本ではありませんが、素直に「眺めていて気持ちのいいクスノキ」でした。それで十分なんですよね。
一度ぶっ壊した自然はいくら表層だけ戻してみても簡単には元に戻らない、というのはホタルも樹木も一緒なのかもしれません。
そもそもトキ（鳥さん）なんかもそうですけど、他所から無理やり連れてきて復活だ！というのもどうなのか…という想いも。
まあ数百年、あるいはそれ以上の時を重ねて育まれたモノを目先の利益だけ見て安易にぶっ壊すのはよろしくありませんね。
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