岐阜県中津川市 加子母の大杉

FUJIFILM GFX50S II / FUJIFILM GF 35-70mm F4.5-5.6 WR

下呂市の巨樹を満喫して向かったのがこちら「加子母の大杉」。
もう何年も前から気になっていながら到達するまでに随分時間がかかってしまいました。
ナビに従い近くまでやって来ましたが…ああ、もうアレに間違いないだろ。確認するまでもない 笑

写真でその迫力を伝えることが難しい巨杉は兎にも角にもヒトとの比較写真を見ていただくのが一番かと。
なんと立派な立ち姿か。うん、文句なしにデカい。いやもう本当にデカい!以外の感想要らなくないですか?というくらいデカい。

根本の迫力からすると随分背が低く見えますが、昭和初期の大雪で上部がへし折れてしまったのだとか。
それでも樹高30m。30mといったらそれでも十分大きいですからね。スケール狂いますよ、これ。
へし折れた箇所、つまり今の頭頂部ですら一坪あまりの広さがあるというのだから驚きです。

幹周は13.0m。これこそまさに「写真で迫力を伝えるのは難しい」部分だったりするのですが。
いやいや。これはとてつもない大きさですよ?
計測されたのは平成元年だということなので現在はもう少し大きく生長しているものと思われます。

さて、まずは設置されたばかりの解説板に目を通す。
樹齢は伝承千数百年だが実際はその言い伝えよりもさらに長いと推察される、とのこと。

こちらには記載がありませんが源頼朝が逆さにぶっ刺した杖が生長したものがこの大杉である、いやいや文覚上人が亡くなった折に北条時頼が供養のため植えたものがこの大杉である…等の伝承も伝えられているようです。どちらの伝承も1,200年前後のお話なので、推定樹齢と辻褄が合わないということで解説板には採用されなかったのかもしれません。

個人的には杖(枝だったりお箸だったりしますが)ぶっ刺し伝説を読むのも好きなんですけど。私の居住エリアである関西圏ではぶっ刺す人=空海さんのパターンがとにかく多いため、ヨリトモさんのお名前が出てくると「随分東に来たもんだ…」と変に感慨深かったりもします。

柵に囲まれていて近寄れないのが惜しくはありますが。
解説板にもあったとおり樹皮を剥がしていく不届き者が跡を絶たなかったそうなので仕方ありません。

いや、ご利益のために樹皮を剥がすって時点でもう既に感覚バグってやしませんかね。
私がスギだったら来訪者の幸福や安寧を願うなんてとんでもない。
「いてえなこの野郎、お前に呪いをかけてやる」くらい考えてしまいそうなものですけど。
(加子母の大杉さんは私のように心が狭くなかったからこそ、今現在も敬われ続けているのでしょう)

樹勢は旺盛。寄って眺めるとモコモコしていて一本で森のように見える。
姿形は全く似つかないのだけど、何故だかこのモコモコ感で高知県の「桃原の牡丹スギ」を思い出してしまいました。

とてつもなく大きく枝張りも良い。
どこから眺めても見栄えが良いし、どこから撮影しても楽しいスギです。

わっさわっさと茂った着生植物が野生を通り越して原始を連想させる。
友人の狛さんが恐竜に例えていた記憶がありますが、まさに体表が苔で覆われ、背中に雑草を背負った太古の恐竜を思わせる迫力だ。

直前に眺めた下呂市の「禅昌寺大スギ」も正統派大杉でしたが、こちらも甲乙つけ難い正統派。
これだけの至近距離に正統派国天巨杉が2本も揃っているのだから羨ましいかぎりですよ。

坂下の十二本ヒノキ→禅昌寺大スギ→加子母の大杉。
巨樹愛好家的にはこの3本に全力投球して下呂温泉に浸かってのんびりするだけでも満足度高すぎる旅になるのではないかと。
というか、私がもう一度そんな旅に出かけたい。(下呂温泉の泉質はやはり最高だった。)

この後さらに南下して「大山の大スギ」や「大森神社の大杉」など巡るプランもあったのですが。
いやー、もう次回でよくない?もったいないよこれ。と思わされるだけのパワーがありましたね。

これだけ連続で大物を見たらもういいでしょ。
ベンチに腰掛けてコーヒーを飲みながらそんなことを思い、じっくり眺めてこの日の宿へと向かったのでした。

2025/6/12訪問
「加子母の大杉」
国指定天然記念物
樹齢 推定千数百年
樹高 30.8m
幹周り 13.0m

岐阜県中津川市加子母小郷683-2

4件のコメント

  1. 加子母の大杉には10年前に行きました。
    当然私も撮ったのですが、さすが、tofuさんの写真は迫力が違いますね。
    ブログの写真をtohuさんの写真に入れ替えたいです(笑)
    特に2枚目は、こんな撮り方があったかと思わず唸ってしまいました。
    ちなみに加子母というと私はトマトや里芋(西方芋)を思い出します。
    これらを使ったレトルトカレーも美味しかったですよ (^^♪

  2. > れもんさん
    既に訪問されていたとは…流石ですね。
    いつもログには平然と書かれていますが、気になって現地を調べてみると酷い悪路だったりして、
    れもんさんの冒険心にはいつも驚かされています 笑

    お褒めの言葉恐縮です。
    柵で近づけないこともあって、いざ撮影と思うと難儀させられますよね。
    横着して広角レンズを出しそびれたな…とか色々反省点もあり、もう一度撮り直してみたい巨樹です。
    今回お腹が空きすぎてすぐに離れてしまいましたが、その際は絶対にレトルトカレーをゲットしてきます!

  3. 加子母の大杉の存在を認識したのは、狛さんの記事を読んでからですね。
    名称とその姿にインパクトがあって忘れられない巨樹の一本です。
    実際目にすると、イメージ以上の迫力に頭をガツンと殴られたような感じになりそうです。

    ぶっ刺し伝説も頼朝さんまで巻き込んでしまってましたか(笑)。
    地域が変わればぶっ刺す人も変わるのが面白いですねぇ。

    しかし樹皮剥しはとんでもない所業に感じますが、そういう行為が流行った時期があるんでしょうね。
    屋久杉でもかつてそういう被害が多発したとありましたし。
    パワースポットに人が押し寄せる現代と何かにあやかりたいという心理は同じなのかもしれませんね。

  4. > RYO-JIさん
    狛さんが九州からフォレスタ旅されていた終盤だったかと思いますが、私はあのとき目覚めるまで巨樹に興味すらありませんでしたから 笑
    しばらく写真自体から離れていたので、狛さんが来られるということで数年ぶりにレフ機を充電しましたよ。

    加子母の杉は「ザ・巨樹」という趣があって、とにかくシンプルに見る者を圧倒する迫力がありました。
    我々の関西圏だと薫蓋樟や野間の大ケヤキ的な存在でしょうか。万人におすすめしたい巨樹です。

    スギの樹皮剥がし、イチョウの気根削りはまさに当時の風潮、信仰でしょうから仕方ありませんね。
    流石に現代でそういうのはやめようぜ…と思いますが。乳イチョウなんてあれ、ほとんどがおっさんの乳(雄株)なのに 笑
    日本は基本的に無宗教の国ですが、実は身近なところに様々な信仰があるのが面白いです。
    学歴社会も信仰、阪神ファンだって信仰でしょうからねえ。

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