奈良県桜井市　忍坂山口坐神社のクスノキ

Nikon Z f / Nikon NIKKOR Z 24-70mm F4 S

今年4月、宇陀市の又兵衛桜を眺めに行く際に立ち寄ったクスノキの巨樹。
こちら2019年に一度来たことがあるのですが蚊の猛攻がすさまじく、ゆっくり眺められなかったのです。
今回は春！蚊に襲撃される時期ではない！とワクワクしながらやって来ましたが、はてさてどうなることか。

神社入口から見て拝殿の手前左側に大クスが鎮座しています。
うん、とても立派な立ち姿。いかにも地域の守り神といった風格が感じられる。

ちなみにこちら全国的には珍しい拝殿のみで本殿のない神社。
奈良県では大神神社が本殿なし（御神体は三輪山）で有名ですが、こちらの御神体は一体何なのでしょう？
拝殿の先にそれらしきものも確認できず、結局よく分かりませんでした。近くの鳥見山なのか？

さて。そもそも「忍坂山口坐神社」ですよ。聡明な皆様のことですからスラッと簡単に読めましたね？
はい、そのとおり。「おしさかやまぐちにいます神社」でございます。え？私ですか？読めるわけないじゃないですかこんなもの。

こちらは二代目御神木で初代の大クスは金閣寺建立の折に伐採、天井板に利用されたと言い伝えられています。おおお、あの金閣に…と例のあの姿が思い浮かびますが、現在の金閣寺は昭和の時代に焼失した後に再建されたものですから、初代大クスの天井板も今ではこの世に存在しないのでしょう。悲しいことです。頭の中にストーリーが浮かぶと、自然と巨樹に対して情が湧いてしまうな。

初見の方には全く伝わらないと思いますが、私はこの現地に来て本当に驚きました。
このクスノキの背後は鬱蒼と茂った森だったのですよ。そこから藪蚊の大群が湧いてきて。何なんだ、この爽やかな景色は。

以前はどことなく不健康そうに見えた記憶がありますが、周辺がスッキリすると随分印象が変わるものですね。
折損している箇所こそあれ空洞化、茸の付着も見られず実に健康そうな立ち姿です。

枯れ葉交じりなのは健康状態が悪いわけではなく、訪問時期の4月がちょうどクスノキの葉が生え変わる時期だったため。

5月の後半にはほぼ全ての葉が新芽に生え変わり、鮮やかなライトグリーンの天蓋に覆われる。
個人的には桜シーズンよりも春を感じる、一年を通して最も好きな時期かもしれません。

背面から。ええ、以前は樹幹の頭頂部くらいしか見えませんでしたが樹形がはっきり分かります。
周囲の樹木より背を伸ばして日光を受ける必要があったからか、まっすぐ背の高い、どことなくクスノキらしからぬ姿。
恐らく巨樹自体の枝葉もその際にかなり剪定されているはずです。

と、ここで神社の清掃の方が来られたので場所を譲ってタイムアウト。
結局滞在時間は20分程度か…やはり私はここでゆっくりすることはできないらしい 笑

なお私が来た時点では見当たらなかった車は清掃の方のものだと思われ、こちら神社参拝時に駐車しても問題はなさそうです。
以前はなかったこのスペース。個人宅のものか参拝者用に開放されているものか判断がつかず、私は今回停めなかったのですが。

こちらが2019年10月の姿。改めて見返すと、これはこれで雰囲気がありますね。
というか雰囲気だけなら以前の方が圧倒的かもしれない。ただし人を寄せ付けない藪蚊が…

そうそう。私の記憶では神社手前は全て森だと思い込んでいましたが、そういえば邸宅が建っていたのでした。
どんな写真でも残しておくものですねえ。写真っていいよな、と改めて思う。

2025/4/4訪問
「忍坂山口坐神社のクスノキ」
桜井市指定天然記念物
樹齢　推定300年以上
樹高　30m
幹回り　7.9m

奈良県桜井市赤尾42