茨城県稲敷郡阿見町 鹿島神社のやどり木 ※2024年9月落雷により焼ける

SONY α7RIII / SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G

過去訪問した未掲載巨樹シリーズ。2019年1月3日訪問。
年明け早々友人の狛さんにガイドしていただいた思い出深い巨樹です。

表題に記載のとおり実は2024年9月に落雷被害を受け、現在はこの記事のような姿を確認することはできません。
地元NPO代表の方が落雷被害の詳細および現在の姿をまとめて下さっているのでリンクを貼らせていただきます。)
が、これも当時の姿を残す資料ということで現地のノリそのままに書き進めてまいりたいと思います。ご了承ください。

さて現地到着。茨城県の鹿島神社というと、よそ者の私はどうしてもかの有名な鹿島神宮を連想してしまいますが、こちらどこの地域にも一つは必ず存在するであろう地区の小さな神社といった佇まい。早速参道を抜けた先の御神木と対面するわけですが、うん、たしかに立派なスギの御神木ですよ?しかし何だ、茨城県の巨樹を極めた男として名高い狛さんが新年一発目としてチョイスするほどの大杉なのか?と失礼ながらいささかの不安を感じざるを得ません。

いや、ちょっと待て。何かがおかしい。
勘の鋭い方は既に何か違和感を覚えられているかもしれません。

はい。もう少し寄ってみました。
んん?何だろう。あの黒々とした枝、やっぱり何か違和感がないか?

うおおおお、何だコレは!!
エイリアンがスギの幹を食い破り、しがみつくように枝葉を伸ばしておる 笑
いやいや笑い事ではなく何なんだこのえげつない姿は。寄生…いや、これはもう乗っ取りだろう。

着生植物に張り付かれた巨樹なら少なくありませんが、流石にこのレベルでエグいものはちょっと他に思い浮かびません。
スギの脳に大量の触手を食い込ませ、その意識をコントロールしているかのような。そんな禍々しさすら感じてしまう。

なんというかシルエットがもう完全に生物なんですよ…マダニとかクモとか、そっち系。それも馬鹿みたいにデカいの。
若干明るめのスギの樹皮にこの湿度を帯びたシイの樹皮がまた悪い意味で映えると言いましょうか。
構成する要素全てが絶妙なバランスでエイリアン感を演出してくるわけです。

ここで小休止。休まなきゃやってられねえので解説板でも眺めましょう。
阿見町指定天然記念物「鹿島神社のやどり木」。

はい、天然記念物指定はあくまで「やどり木」が対象であって御神木の「スギ」ではないんですね。
意識だけでなく名誉まで乗っ取られちまったのか…救いが無い。
まあ意識を乗っ取られている説は私の妄想でしかありませんが。

ちなみにこちらの「やどり木」は寄生するその姿を喩えられているだけであって、実際の樹種はシイの木です。
あの樹木に根を張り鳥の巣のようなモコモコに成長する、樹種としての「ヤドリギ」ではありませんのでご注意を。

しっかし本当にすさまじい姿だなと。
正月早々こんなものを見て、今年の初夢がエイリアンだったらどうしてくれるんだよ狛さん…
そう嘆きたくなる私の気持ちが少しは伝わりますでしょうか。冗談ですけどね。

いや、やっぱり冗談じゃないな。
こんなの絶対初夢に出てきてほしくない 笑

「ただ壮大な立ち姿を見て感嘆するだけが巨樹の魅力ではない!」
ええ、そうなんです。狛さんは新年早々その大切なテーゼを再認識されてくれたのでした。私の初夢と引き換えに。
とにかくデカけりゃ強いなんてそんな中学生バスケットボールみたいな世界だったら、我々ここまでハマっていないわけで。
改めて巨樹の世界の面白さ、奥深さが感じられる素晴らしい一本でした。脱帽。

(このエグさ、モノクロにしてみたくなる)

ということで本当に貴重で個性的な巨樹だっただけに、落雷被害が残念でなりません。
流石にエイリアンは無事ではないでしょうが、ひょっとするとスギはまだ希望があるかもしれません。
一日でも長くあの地域を見守ってくれたらと願わずにいられません。

2019/1/3訪問
阿見町指定天然記念物
「鹿島神社のやどり木」
樹齢 推定500年以上
樹高 28m
幹周り 5.4m
※上記の数字はスギのもの

茨城県稲敷郡阿見町吉原287-1

4件のコメント

  1. あぁ、このやどり木は強烈なインパクトを私の脳裏に刻んでいったヤツです。
    狛さんの記事を見て震えあがったのをよく覚えています、エイリアンだと。
    そのエイリアンがもう見られないだなんて・・・結構なショックです。
    落雷による火災は巨樹の天敵と言っても差し支えないくらいですが、それでもこんなことがあるんですね。
    スピリチュアル的?には、エイリアンが成敗されたと捉えることもできそうですが、貴重な存在でしたからね。
    いやーほんとこの目で見られなかったのが非常に残念でなりません。

  2. ご無沙汰しております。
    衝撃的な巨樹探訪初め、あれからだいぶ経ちましたが、いまだ記憶に鮮明です。
    おどろおどろしいスダジイ巨樹、もっと大きな個体も他にもいくつもありましたが、これは唯一無二でしたね。
    動物的・邪悪宇宙生命的な姿に、スダジイの暗いとこがぜんぶ出てるというか……。そう言うとスダジイの名誉を棄損するかもしれないですけども。
    最期まで落雷&炎上のB級ホラースペシャルなのが、ある意味でいっそう凄みを与えたとも言いたい。
    エンディングロールの後で、ドクンドクン……と脈動してるシーンが一瞬映ったはずだと、個人的には信じています。

  3. > RYO-JIさん
    形状が奇跡的ですよね。
    寄生するにしても、こんな成長の仕方があるの?と驚かされます。
    落雷にあった際は樹木医や消防団の方が未明まで見守っていたとのこと。
    邪魔だからと伐採される巨樹も少なくない中、幸せな人生、樹生であったことは間違いありませんね。
    私ももう一度見てみたかったです。しかし、ほとんど最期のタイミングで見ることが出来て本当に幸運でした。

  4. > 狛さん
    体調は復活されましたでしょうか。無理言って読んでいただいてしまい、何だかもうスミマセン。
    この魔物に平山さんのスダジイ、爺杉などなど。どの巨樹も鮮明に記憶に焼き付いています。
    決して貶める意味ではなく、あの禍々しさこそやどり木サンの魅力であったのは間違いありませんね。

    主人公勢がばったばったとなぎ倒されていき、投入された特殊部隊も歯が立たない。
    ああ、これはもう万事休すかと思われたところで落雷炎上…いやいや、そのオチは酷くね?みたいな。
    仰るように、平和が訪れたかと思いきやto be continued…な展開に期待したいものです。
    本当に唯一無二。あのとき出会えなければそのままコロナ入りしていただけに、呼ばれていたのだと信じたいです。

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