奈良県吉野郡大淀町 土田(つった)のケヤキ

FUJIFILM GFX50S II / FUJIFILM GF 35-70mm F4.5-5.6 WR

RYO-JIさんに案内していただいた、この日最後の巨樹。
その存在はもちろん知っていたものの既に朽ちかけている印象が強く、アクセスに難儀しそうなこともあって訪問を先延ばしにしていた巨樹でした。さて、想像どおり既に終わってしまった巨樹なのか。それとも良い意味で予想を裏切ってくれるのか。

山間部のものを除けば奈良県内の巨樹はほとんど見てきたであろう私が何となく避けてきた理由がこの立地。
近隣に駐車スペースが見当たらないんですね。

この左右の駐車場は月極だったか企業のものだったか、とにかく観光客向けのものではないので決して停めませぬよう。
我々も少し…というか結構離れたところに駐車して徒歩で向かいました。

で、デンジャラスな線路を越えた先に目的のケヤキらしきものが見える。
「to-fuさん電車に気をつけてくださいね。」なんて警告の直後、待ってました!とばかりに左手から迫りくる電車 笑
若干カーブになっていて電車がやって来る直前まで車両を視認できないのでご注意ください。
(まあ、注意していれば接近する音で気付けるとは思いますが。)

小さな稲荷神社の祠の奥に立派な幹。この時点で私が予想していたよりもずっと生命感が強い。
ひょっとしてこれは…とテンションが上がります。

うおお…これは…
いや、これは結構すごくないですか?

ネットで見た印象よりも随分デカく感じるし、何よりしっかり生きている。
既に朽ちかけていて見応えがないのではないかと不安でしたが、良い意味で裏切ってくれました。

大淀町指定天然記念物「土田(つった)のケヤキ」。
ツチダだと思っていたら読み方はツッタが正解。大淀町のサイトにも土田(つった)のケヤキとして紹介されています。
なお平成15年に天然記念物指定されたこちらのケヤキ、大淀町に誕生した初めての天然記念物ということです。

しかし壮絶な姿だ。幹は裂け、ほとんど倒壊しているといってもいい。
幹周8mということですが数字以上に大きく見えました。
主幹が裂けて少し数字を稼いでいる感も否めませんが、それでもデカい。

倒壊した3本の幹のうちの1本が今なお横たわっている。
8mのケヤキといったら相当なもの。幹が健在だった頃はさぞ壮観だったことでしょう。
それこそ県天クラスだっただろうと思うと残念でなりません。

少し離れて眺めると巨樹だったものの残骸にしか見えない。けれども力強く生きている。
決して元気をもらう、パワースポットだ!的な巨樹ではありませんが、これだけ満身創痍になっても懸命に生きようとする姿は何か訴えかけてくるものがあります。いやあ、ケヤキさんあんた立派だよ…

根回りを踏み固めないでください。と丁重に扱われる巨樹も少なくない中、真横を数十トンはあろうかという電車がガタンゴトンと容赦なく行き交う。ここまでハードモードな環境下に生きる巨樹は稀有な存在かもしれません。

樹高15mということですが、もう少し大きいのではないかなあ。20mくらいはありそうですが。
周囲の樹木に飾られて悲壮感が薄れて見えることを差し引いても、ここまで生命力の感じられる巨樹だとは思いませんでした。
流石は幹周8m、見応えも十分。愛好家なら立ち寄って損のないケヤキ巨樹ですね。

とはいえ決して環境が良いとは言えないのは明白。少しでも長生きしていただきたいものです。
ある意味では今見ておくべき奈良県の巨樹としては上位に来る存在かもしれません。

2025/11/13訪問
「土田のケヤキ」
大淀町指定天然記念物
樹齢 推定700年
樹高 15m
幹周り 約8m

奈良県吉野郡大淀町土田

1件のコメント

  1. 確かにここまで線路に近い巨樹は少ないかもしれませんねぇ。
    とはいえ、寝屋川の≪萱島の大クスノキ≫みたいに駅のホームで元気にしているパターンもありますからほんと逞しいものですね!

    このケヤキは巨樹愛好家以外では、ご近所さんくらいしか知らないんじゃないかなぁと思ってしまいます。
    電車や車がすぐそばを通過しているものの、あの立地ですから普通は気付かないでしょうし。
    あの壮絶な姿は間違いなく記憶に残りますから、もっと注目されてもいいんじゃないかと思ってしまいますよ。

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