京都府京都市 常照皇寺の九重桜

Canon PowerShot G1X Mark III

常照皇寺。京都市…といっても他府県の方が想像するであろう京都市内からは随分と離れたところに位置します。京都市内中心部からは車で約1時間でしょうか。バスが通っているには通っていますが、自家用車やバイク以外での訪問は1日がかりになってしまうのでちょっと難しいかもしれません。(風光明媚なところなので、スローライフ的な日本の原風景が好きな方はのんびりバスで巡ってみるのも悪くないと思います。)個人的に京北は大好きなところで、結構頻繁に来てるんですよね。この常照皇寺も桜の開花時期にかかわらず、よく来ているお寺さんです。

受付で志納金400~500円を渡して靴を脱ぎ、まずは本堂へ。数年前までは300~500円をお気持ちで。ということでしたが、現在は400~500円になっています。春は桜、夏は深い緑と山特有のひんやりした空気、秋は紅葉、冬は雪景色と本当に通年楽しめます。

場所柄もあってそこまで混雑することがないので、凛とした空気を一人で存分に味わえるのです。市街地のお寺も昔はこんなものだったような気がしますが…少なくとも500円を損をしたような気持ちになることは無いと思います。ええ、私なんかしょっちゅう来てしまうくらいですから。

本堂から眺める桜。流石に見事なものです。ちなみにここに腰掛けてのんびりと桜を眺めることが出来ます。光厳天皇(1313-1364年)お手植えと伝えられる国指定天然記念物「九重桜」は中央奥に見えるもの、手前の2本は恐らく九重桜の二世だと思われます。そして左手奥に見えるものが「左近の桜」で、京都御所から株分けされたものだと伝えられています。

境内に腰掛けてしだれ桜が風にそよぐ姿を眺める。風流、風流。
いえ、実際はアホ面晒してぽけーっと眺めているので、その絵面には風流さの欠片も無いと思いますが。

本当はこれらの手前に一重と八重が一枝に咲く「御車返しの桜」という珍しい桜があるのですが、そちらはまだ開花を始めたところで見頃は来週かな?といった具合でした。九重桜が咲き、左近の桜が咲き、それらが散り始めた頃に御車返しの桜が咲くという流れ。この三種の桜が同時に満開を迎えることはありません。長い期間桜を楽しめるようにするための知恵なのでしょう。

こちらが「九重桜」。国指定天然記念物ですがシダレザクラだということもあって先日見た同じ国天の「淡墨桜」ほどの大きさはありません。巨樹的に見るといぶし銀的な、風情を楽しむサクラですね。枯朽が激しく、幹部分は既に朽ちて大きく崩れてしまっています。支柱を退けたら即座に倒壊してしまいそうです。

側にゴロンと転がる崩れ落ちた幹。私が通い始めた数年前(4、5年くらい前?)には既に転がっていたような気がします。貴重な国指定天然記念物ですが、ひょっとするとこの九重桜もこの先そう長くは保たないかもしれません。

一見それなりに元気良く花を付けているようにも見えますが、この写真の前の2枚の空洞化した幹をアップで撮った写真をよく確認してみて下さい。そう、すぐ近くに添えるように二世のシダレザクラが植えられているのです。この写真の中央部分やや左手に見える立派な一枝はその二世のものであって、あくまでも九重桜本体の花は中央やや右側のものだけなんですね。あまりに寂しく見えないよう九重桜を飾り付けるため、側に植えたものだと思われます。

花弁はほんのりピンクがかった白色。この花の色がいちいち上品なんだ。

大量の杭を打ち、全身これでもか!と支柱で支えられた満身創痍のシダレザクラ。それでも昨年の台風に耐えたツワモノですからね。京都府唯一の国天指定されたサクラの木として今後も何とか頑張っていただきたいものです。

山門手前に生えているこちらのベニシダレザクラも立派なものです。
この集落のランドマーク的1本。併せてご覧下さい。

「九重桜」
国指定天然記念物
樹齢 約650年
樹高 10m
幹周り 3.6m

2件のコメント

  1. 不謹慎ではありますが、朽ちかけのものって妙に魅力を感じます。
    この九重桜もそんな魅力をビシビシ感じてしまう存在です。
    桜のサイズとしては立派ですが、それにしてもそのサイズにしては支柱の数の多さに驚きました。
    国天ということはもう国の宝ですから、絶対に倒壊死させてはいけないという強い想いが込められているんでしょうね。
    にも関わらずどうにもならない場合もあるので、これは早々にも見ておくべき桜のひとつでしょう。
    花びらも心なしか儚く見えます。
    京都にしか出せない上品な感じすらしますね。
    このお寺自体もそれだけを目的に行っても良さそうです。

  2. > RYO-JIさん
    分かります。滅びゆくものならではの美しさがありますよね。
    この支柱の量…もはや幹が「立っている」というよりも「立ったように見せているだけ」の方が近いかもしれません。
    他所の天然記念物を見ていても感じることですが、管理されている方は本当に大変だろうなとご苦労察します。
    指定解除されると何だか自分の責任のようにも感じてしまうだろうし、指定して終わりではなくて指定した国や県が
    最後まで責任を持って保護してあげてほしいものです。お墨付きを与えて案内板を送ったらあとは放置…ではちょっと。

    近くにはかつて狛さんと訪問した「伏状台杉群生地」もありますので、ご連絡いただければいつでも案内しますよ!

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