- 2024-01-23 (Tue) 8:39
- FUJIFILM GF 32-64mm F4 R LM WR | クスノキ | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別) | 愛媛県
FUJIFILM GFX50S II / FUJIFILM GF 32-64mm F4 R LM WR
この日は自転車で海岸線をちんたら漕いで写真を撮っていたのですが、どうせなら何か目的地を…とチェックポイントにしたのがこちらの巨樹。
境内に足を踏み入れると早速視界に飛び込んでくるのがドンと構える3本の大きなクスノキ。これはインパクトある。
逸る心を落ち着けてまずはしっかり参拝を済ませ、汗が引いてから巨樹たちと向き合うことにします。
大足智姫(おおたらちひめ)神社。初めて聞く名前です。
祭神は神功皇后(=大足智姫?)と應神(応神)天皇。応神天皇ということは八幡神。八幡神社ですね。
地元では「はちまんさん」と呼ばれて親しまれているのだとか。地元京都にもはちまんさん=石清水八幡宮があるなあ、と。
私は自転車だったので問題ありませんでしたが恐らく近隣には駐車場も路肩スペースもありません。
徒歩数分のところにあったザ・ビッグという大型スーパーで買い物して少し駐車させていただくとよろしいかと。
なお2023年から最寄り駅である多喜浜駅前で「かきくらべ」なる祭事が行われているそうです。
書き比べ?柿比べ?カキ(貝)比べ?こちらも初めて聞く言葉なので調べてみました。
なるほど、太鼓台の車輪を外して重さ数トンの太鼓台を男衆が天高く担ぎ上げる神事が「かきくらべ」なのだとか。
新居浜の太鼓祭りといえば岸和田のだんじり級にバイオレンスな喧嘩祭りだと聞きますので、これはかなりの迫力なのではないでしょうか。
※地区によってノリが全然違うらしいので、こちらの地区はインテリジェントな太鼓集団という可能性も大いにあります。
ああ、すみません。巨樹から随分と脱線してしまいました。
しかしこうして地域の歴史や風俗を知れることも巨樹めぐりの魅力の一つだと私は思うわけです。
3本のクスの巨樹が並びますが最も目につくのは、やはり幹周8.3m(「巨樹と花」さんによると2016年実測9.3m)の、この最大のクスノキでしょう。
サイズ的にも雰囲気的にも何となく先日紹介した四国中央市の「八幡大神社のクスノキ」と似たものを感じました。
10m近い大きさの幹の迫力は言うに及ばず、四国のクスらしく広大に発達した根回りだってなかなかのもの。
先の八幡大神社から一つ山を越えたすぐ真裏にこちらのクスノキが生えています。
もちろん神社の御神木として植えられたわけですが、恐らくこれらのクスノキが一里塚のような役目を果たしていたのでは?と私は妄想しています。
ズシン!と大地にしっかり根を張って風雨に強く、何よりデカくて樹冠もよく目立つ。これならわざわざ関西圏でよく見るエノキを植える必要もない。
そう考えるとこのクスノキ天国とも言える四国平野部の巨樹事情も色々と腑に落ちるような気がするのです。
幹の太さのわりには随分と樹高が低い?高さ10m強のあたりで一度折損しているようにも見える。
どうも2005年頃に大枝全てをバッサリいってしまったそうで、そこからまた枝葉を伸ばしてここまでの姿に生長したのだとか。凄まじい生命力。
なお遠近法で小ぶりに見えますが左奥のクスノキも境内ナンバースリー、幹周6.0mの立派な巨樹。
実際目の前に立つと十分な迫力が感じられました。
伐採後しばらくの間は随分寂しい姿になってしまったそうですが、ここまで盛り返せるものなのか。
根元に少し空洞化が見られるのかセメントで埋めた痕が見られるものの樹勢は文句なしの「良好」です。
枝葉が社殿と干渉していたり周囲に住居が並んでいたりと色々複雑な事情があるのは理解しつつ、もし剪定されていなければ愛媛県東部、東予エリアを代表する巨大クスノキになっていてもおかしくないかも…と少々惜しく感じてしまいます。せめて境内がもう少し広かったら…(いくら言っても詮無いことだ)
石垣、社殿に完全に食い込んだ根元。随分と窮屈そうに見える。
こちらがナンバーツーのクスノキ。幹周6.3m。
四国をぶらぶらしていると感覚がマヒして6mか…と特に大きく感じないのですが、冷静に考えると当たり前にデカい。
こちらも更なる生長が期待できるでしょう。(しかし石垣を乗り越えつつある枝葉が心配ではある。)
樹高は3本とも横並びで15mとされています。
しかし、冒頭の写真を見るかぎり明らかに最大のクスノキは20mくらいあるな…
市天指定されているというサイトと無指定だというサイトが混在していて新居浜市に問い合わせてみようとも思ったのですが、市のポータルサイトに市の天然記念物に指定されているという文言を見つけたので、どうやら市天で間違いないようです。サイズ、そして私が実際眺めて感じた存在感的にももっと注目を集めてもいいクスノキだと思うのですが、どうもイマイチ目立たないのは何故なのか。
先述したポータルサイト情報によると新居浜市の「市の木」はクスノキなのだとか。
あまりにも身近な存在であるが故に、どうしてわざわざ遠くからこんなものを見に来るんだ?みたいな感覚があるのかもしれません。
ちなみに恐らく巨樹未満ではありますが鳥居右手に立つクスノキの巨木も立派なもの。
隠れた名所といったらアレですが、もう少し注目されてもいいクスノキ群だと思います。
2023/9/12訪問
「大足智姫神社のクスノキ」
新居浜市指定天然記念物
※最大のクスノキの数値を記載
樹齢 推定350年
樹高 15m(目測では約20m)
幹回り 9.32m(2016年「巨樹と花のページ」さんによる実測値)
愛媛県新居浜市松神子2丁目3−33
コメント:4
- RYO-JI 24-01-24 (Wed) 21:35
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ちょっとスケール感がバグってしまうようなクスノキ達ですね。
冒頭の写真では不思議とそこそこのサイズかなぁと判断してしまいましたが、
その後記事を読み進めていくうちにじわじわ『お~』という声が漏れてきました。
とても立派極まりないサイズのクスじゃないですか。
一時伐採されてしまったのは残念ですが、それでもそこは生命力あふれるクスノキに悲壮感はありませんね。
まだまだ大きくなってやるという意気込みすら感じそう。
四国の道標的クスノキ事情、あまりにも立派なクスノキが多いので、道標になるどころかかえってどれがどれかわからなくなったんじゃないかと思ってしまいます(笑)。 - to-fu 24-01-24 (Wed) 23:28
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> RYO-JIさん
恥ずかしながら巨樹サイトで写真を見てもピンと来なかったので後回しにしていたクスノキです。
剪定のせいで樹高が低めで横への広がりも控えめだからか、遠目に見る分には小さく感じてしまうのが勿体ないかなと。
しかし!だからこそ根元に立ったときの「うお、これはデカいぞ!」という驚きがあるわけで。
もし剪定されていなかったら「大足智姫神社のクスノキ群」として、まとめて県天指定されてもおかしくない巨樹だと思います。
四国の巨大クスノキ、江戸時代なんか今以上にたくさん生えていたのでしょうね…一里塚どころか表札みたいな扱いだったりして。 - 狛 24-01-25 (Thu) 8:10
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雪中の立ち往生も今朝には解消されたようですが、見事なキャンセル判断に拍手を贈りたいです。笑
ヤバそうならきっぱり事前に諦める判断力が大切ですね。
トラブルへの対処力、サバイバル能力? も高められればいいのかもしれませんが、家が壊れたわけじゃないならオコタで寝てれば無事だし……。
たまに通りがかる中学校に立派なケヤキがあるんですが、見るも無残に枝を全部切られてしまいまして。
伐採直後は、ああこれもうダメだな、人々はきっとこの樹を片づけてしまうつもりなのだ……と残念な気持ちになりました。
本当に引導を渡してるケースもあるでしょうが、いわゆる「切り戻し」的事例もあるようで、このクスのように(もしかすると以前にも増して)樹勢が復活する望みもあるかもしれませんね。
そのケヤキも変な綿棒みたいな形になってますが、最近ちょっとした樹冠が復活してきていました。
もちろん全体像としては何十年というスパンで思い浮かべねばならないわけで、人間の時間尺度がいかに短いかも思い知らされます。 - to-fu 24-01-25 (Thu) 10:11
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> 狛さん
名神、北陸道の大雪区間は大雪警報が出た時点で事前に通行止にしておけばいいのに、と思ってます。
こっちの人間としては回避余裕なので、あまり同情する気にもならないと言いますか…
何となく日常的に眺めている名もなき立派な巨木の伐採は本当に悲しいですよね。
狛さんが来られた際に待ち合わせた駐車場の脇に生える立派なクスノキが私の密かな癒しスポットだったんですが、
やはり伐採されてしまって切り株に。健康だったのに。あれは本当に悲しい気持ちになります。
そちらのケヤキは何とか持ち直してくれると嬉しいですねえ。数百年生きた末路が人間のエゴで伐採では残念過ぎます。
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