
FUJIFILM GFX50S II / FUJIFILM GF 35-70mm F4.5-5.6 WR ・ Nikon Z f / VILTROX AF 20mm F2.8 AIR STM ASPH ED IF
友人のRYO-JIさんと目指した和歌山県のムクノキ巨樹。
事前の下調べほとんど無しで若干迷いながら訪問した一本ですが、さて。
現地周辺は道が狭く入り組んでいる(みかん農家の方の軽トラ向け設計)上に恐らく駐車スペースもなし。
麓の開けたスペースに駐車して徒歩で向かうのが賢明かと思われます。

若干、いえ、かなり迷いながらも何とかそれらしき樹冠を発見!
様子を見に行ったRYO-JIさんが何故だか半笑いで戻って来るではありませんか。
「あれでした。間違いないです。デカいです 笑」早速カメラのレンズを超広角に付け替えるRYO-JIさん。
ええ、私も完全にナメていました。正直なところサイズはそこまで期待するほどのものではないだろうと。
ムクノキ巨樹は朽ちかけているものも少なくなく、落胆しないようあまり期待せずに向かった。というのもあるかもしれません。

うん、これはデカいわ 笑
とてもではないが標準ズームレンズでは写しきれないくらいデカい。
一発目にこのムクノキと出会えたことは幸運であるとしか言いようがありません。
巨樹めぐりでは大体目的となるメインの一本を決めて、それを補強するように数本の巨樹を足してルートを考えます。メインとはタイプが被らないもの、珍しい樹種、時期ものとして見ておきたい樹種等々。メインの一本が期待をさらに上回る存在感を見せてくれたときは当然嬉しいのだけど、サブにしか考えていなかった巨樹が想像の範疇を上回ってくれたときはそれと同等、下手するとそれよりも遥かにテンションが上ってしまう。一つの醍醐味と言えましょう。

幹にびっしりと絡みついた蔓や着生植物が、如何にも温暖な地域の巨樹であることを物語っています。
ええ、同じ関西圏でも盆地暮らしの私が普段眺めているムクノキとは明らかに違う。

このクラスのムクノキとしては珍しく、目立った傷みが見られないのも好印象でした。
空洞化が進んでいるものや枝葉の多くを失っている個体が目立ちますので。

溢れんばかりの生気。
是非とも真冬ではなく、葉を付けた時期に眺めていただきたいものです。

紀の川沿いの街並みを望む。
温暖な気候も相まって、どことなく徳島県吉野川沿いの景色とダブって見えました。
薄曇り…いえ、ドン曇りと言ってもいいくらいの曇天だったのが残念ですが、晴れていれば絶景だったはず。

ムクノキへと至る坂道は紀州富士とも呼ばれる竜門山(龍門山)ハイキングコース・勝神ルートに含まれているらしい。
気持ちよさそうなハイキングコースだと思って帰宅後検索してみたところ、急勾配の激坂が続くのだそうで。
検索したら真っ先に「勝神ルートは悲惨」というブログ記事が検索結果に上がってきました 笑

農作業されていたご近所の方によると、健康そうに見えても実は台風で大枝を折損しているのだとか。
細い路地に入る度、これは道なのか?それとも個人宅への入口なのか?とヒヤヒヤしていた我々に教えて下さいました。
でっかいカメラを抱えて観光地でも何でもない集落を散策しているおじさん=不審者と大差ないので結構気を使いますね…

紀の川市指定、自然保存木。
ここまでのムクノキが天然記念物ではないのか?と気になって調べてみたら市指定天然記念物でもありました。
なお、こちらには記載がありませんが市が公開している文化財一覧PDFによると樹齢は推定400年前後。
余談ですが「賽の森のムク」の下に紹介されている「勝神薬師寺のカヤ」が非常に気になります。

根本に祀られる賽の神。
賽の神と道祖神を同一視する地域が多いそうなので、道祖神のように崇められていたのではないかと。
集落の境界に配置されて外部から疫病や災いが入ってくることを防ぐ神様、ですね。(恐らく)

たくさんの実を付けており、足元には大量のムクの実が落ちていました。
かつてはムクの実も食用とされていたそうですから飢餓から多くの人々を救ったのかもしれません。
今でも落ち葉が綺麗に払われていて、地域の方がムクノキを大切に敬う気持ちが垣間見える。

あまり期待せずに訪問してスミマセンでした…まさかここまでとは。
いえ、本当に素晴らしい巨樹だと思います。ロケーションも文句なし。
新芽をつけた晴天の春にでも再訪してみたい一本です。
2025/11/13訪問
「賽の森のムク」
紀の川市指定天然記念物
樹齢 推定400年
樹高 24m
幹周り 6.0m
和歌山県紀の川市杉原919
さすがto-fuさん、仕事が超早いですね!
記事もとても素晴らしく、昨日の興奮が今また甦ってきました。
というかこの記事を拝読し、そっくりそのままコピペして自分の記事にしたいくらいです(笑)。
そして市指定天然記念物でしたか。
指定に充分値する素晴らしいムクノキでしたからそれを知って何だか嬉しいです。
400年という樹齢もおおいに頷けますね。
あ、そのカヤは一応チェックしておりましたが、かなりの山間部っぽいのでまた時期が来たらですかねぇ。
私もこのムクは季節を変えて再訪したいのでチャンスがあればそちらも回ってみたいですよ。
> RYO-JIさん
現地での熱量が残っているうちに書かねば!と思ったら自然と筆が乗りました。
それに私クラスのだらしない人間になると、少し時間が経つと明日こそ…いや来週こそ…になるので 笑
事前に仕入れた情報の少なさが良い方に作用した巨樹でしたね。
ほんのり黄葉していて時期的にも大勝利間違いなし。
ロケーションの良さも相まって、今までに見たムクの中でも確実に上位に来る一本でした。
カヤは一応車で乗り付けられるみたいですが、これはなかなかの山道ですね…
少なくとも和歌山市街にクマさんが出没した今年は時期が悪すぎます。来年の春以降ですねえ。