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福井県三方上中郡若狭町 信主神社のタブノキ


FUJIFILM X-T20 / XF 10-24mm F4 R OIS / Film Simulation PROVIA
FUJIFILM X-Pro2 / XF 35mm F1.4 R / Film Simulation PROVIA


上村家のタブノキを撮影する前に訪れていたのがこちらの「信主神社のタブノキ」です。以前から小浜を訪れる度、いい感じにこんもりとした森があるなあと気になっていました。熊川宿の道の駅から少し若狭方面へ、右手にファミリーマートが見えたらその向かいに位置しています。信主神社本殿の真横に注連縄が巻かれた大きなケヤキが生えているのですが、地元の方いわく「そっちはご神木じゃない」との事。注連縄なんて巻かれていないばかりか本殿の裏手にひっそりとそびえ立っている、こちらのタブノキがご神木なのだそうです。ややこしいな。


ここを訪れるにあたって何よりも大切なことがあるんですね。
声を大にして言いたい。頭上注意ですぞ。


タブノキのてっぺん付近に多数の鳥の巣があり、幹の麓はそのフンで地獄絵図と化しています。正直なところ、うわあ頭に落ちてきたら嫌すぎるなあ…という不安が頭から離れず、この巨樹と真剣に向き合うことが出来なかったように思います。だって…ねえ。頭に鳥のフンはちょっと嫌だよ。(その昔三鷹の会社で働いていた頃、昼休みに近くをふらふら歩いてたら頭にハトのフンが落ちてきたことを思い出すなあ。公園の水道で頭洗ったっけ。)


そこらに散乱する卵。風で落ちたのか、別の鳥に落とされたのか。
鶏卵のSサイズくらいあります。何の鳥の卵なんだろう。


推定樹齢は1,100年。冷え固まったマグマを思わせる重厚な樹皮。近くで見ると岩の塊のようにも見えます。


本殿側から見ると健康そうなタブノキですが、裏手に回ると片方の幹がゴッソリと欠損していました。ズシンとそびえ立つこの巨樹は鬱蒼と覆い茂る森の中ではいささか窮屈なように見え、その息苦しさも相まってとにかく痛々しく思えます。


根元からはタブノキの新しい命が…というわけではなく、別の種類の苗木に侵食されようとしています。幹には引っ張ったらターザンごっこ出来そうなくらい頑丈なツタも伸び、ちょっと綺麗サッパリ整えてあげたいなという気になりますね。


森の中は日中だというのにほとんど日が差しません。せっかく人が来てくれるから近々綺麗に整備したいんだと仰っていました。先ほどの鳥のフンの問題もそうですが、正直今の状態では一般の参拝客の方がここまで足を踏み入れることはないでしょう。夏はやぶ蚊も多そうですし、僕もマムシとかいないだろうなあ…なんてビクビクしながら近づきました。


このタブノキは若狭町の天然記念物に指定されています。
が、お墨付きの看板を送って来るだけで結局何もしてくれないんだとぼやいておられました。あまり裕福ではない集落の場合、その天然記念物や有形文化財を維持するだけでも大変なのです。これは美山の「かやぶきの里」の方も仰っていました。美山の場合、かやぶき屋根は観光資源になる分まだマシでしょう。お金をかけてこの森を整備して、果たして採算が取れるのか。結果は誰の目にも明らかです。

ああ、何か暗い話になってしまって本当に申し訳ありませんが、これから更なる少子高齢化が進み限界集落が増えた地方には、巨樹を愛でられるだけの余裕があるのだろうか…そんなことを考えさせられる1本でした。

信主(しんしゅ)神社のタブノキ
若狭町指定天然記念物
樹齢 約1,100年
樹高 約25m
幹回り 約6.6m

コメント:4

18-05-12 (Sat) 23:12

この、椎の木?のこんもりした中から頭一つ高く出ているのがタブノキでしょうか、苦労して生きているような感じを受けますね。
腐朽してきていて倒壊が心配ですが、立派な樹ですね。太いままかなりの高さまで立ち上がるタイプだから、そばで見るとすごい迫力がありそうです。
是非とも環境整備と樹木医に手当をさせて欲しいのですが、そうですよね、でかい樹なんてのはよほどのことが無い限り経済効果はないし、元は取れないでしょうね。
この日本にもまだ案外未開の森があって、知られていない巨樹もあるらしいということには驚きましたが、言われてみれば、これから先、その未開地というのは逆に増えて行くのかもしれないと思いました。
人里の巨樹たちは滅びて行くかもしれませんが、あの野獣のような連中としてみれば何も変わらず、逆にあるべき姿にますます近づいて行くのかもしれません。
踏み込むことができない恐怖の森に……。

to-fu 18-05-13 (Sun) 12:05

> 狛さん
はい。中央の頭一つぴょこっと飛び出しているのがタブノキです。
根元から侵略しているのも椎の若木だと思われ、椎の木には随分と苦しめられているように見えました。

そうですね。言われてみると数百年前には樹木医に診てもらうなんて発想自体が無かったわけで、植物たちが本来の姿に戻るだけの話なのかもしれませんね。このタブノキのように苦しみに耐えながら生存競争に勝ち残る猛者がいて、逆にあの野獣の巣窟にあった「宿り杉」のように敗者となって他の植物の苗床になるものもいる。なるほど自然な状態のようにも思えます。

しかし人里の巨樹巡りを楽しむ者としては、そこらの里山があんな魔界ばかりになってしまうと何処にも行けなくなってしまいそうで。勘弁してもらいたいものですね 笑

RYO-JI 18-05-13 (Sun) 14:40

うわぁ、やだなぁ、頭上から鳥の糞ですか・・・。
うちの嫁さんの車が、鳥の糞でウソみたいにドット柄になってしまって
先日泣く泣く洗車したばかり(写真撮っとけばよかった・・・)。
それもあって、とても集中して巨樹撮影なんかできそうもありません(笑)。

まぁそれはともかく、幹周以上に太くボリューミーな感じがします。
と思いきや、裏側は結構な傷み具合。
半世紀すら生きてない自分ですら最近は色々ガタがきていますから(笑)。
そりゃ1100年も生きてりゃ大きな傷の一つや二つあってもおかしくないでしょう。
しかし、巨樹巡りを楽しむ者としては残念な気持ちになりますよね。
せめて健康的に育つための最低限の環境整備をしてもらえればなぁと。

to-fu 18-05-14 (Mon) 17:27

> RYO-JIさん
あぁ…それキツイですね。あいつら絶対狙ってやってますからね。
可愛らしい顔して、やることがえげつないんですよ。ホント。

1,100年生きる…想像もできませんよね。正直僕はそんなに長く生きたくありません 笑
最低限朽ちた部分だけでもケアして寄生樹を毟り取ってあげてほしいなあなんて無責任にも思うんですが、管理するお年寄りにとっては結構なハードワークですよね。せめてこのツタだけでも引きちぎってあげたかったです。

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